第53話【魔王と勇者】
「勇者様が魔王を倒したぞーー!!」
「凱旋だー!」
魔王を倒した勇者の城はお祭り騒ぎ、勇者の凱旋パレードで町中から紙吹雪が舞う。
勇者は町中の人に手を振りながら城に入って行く。
「勇者よ……このたびの働き見事であった」
「はっ! ありがとうございます!」
「これで世界は平和になった……今日は体を休め明日、国民に示そうではないか」
「ありがとうございます。 それでは本日はこれで失礼致します」
勇者は豪華な一室で眠っていた深夜……。
「……ガッ! な、なんで……」
「悪いな、王の命令なんでね」
眠っていた勇者の腹に刺さっているのは共に旅をして魔王を倒した仲間の剣。
「王の……だと……?」
「そうだ。 お前1人で魔王を倒した……つまりお前は魔王以上の脅威の存在なんだよ。 だから脅威になる前に消せってことさ」
「くっ……うおおああーー!!」
勇者は逃げた……、……だが途中で力尽き倒れた……。
「なぜだ……みんなを守る為に戦ったのに……、……なぜだあああああ!!」
勇者は黒い影に飲み込まれ消えて行った。
魔王は勇者と対峙していた。
そこにいたのは勇者の国の騎士団長。
その騎士団長こそが魔王の正体。
「何故国を裏切った!?」
「貴様の存在だ! 我々騎士団は常に命を張って魔物と戦い民を守って来ていた……だが勇者の貴様が現れてからはどうだ? 命を張って戦っていた我々の存在など無かったような扱いになった……死んでいった仲間もこれではうかばれまい! ならば我らの存在を知らしめなくては!」
「だからと言って俺達が戦うなんて無駄だ!」
「……そうか? お前も騙されているのでは無いか?」
「王はそんなお人では無い!」
「そうか……ならば勇者を倒して我らの存在を示す!」
騎士団長の力は勇者と互角……しかし勇者の装備が騎士団長の先を行き魔王を名乗る騎士は生き絶えた……。
『勇者よ……やはり裏切られたか……仲間にも国にも……、……悔しいだろう……その想い、俺がなんとかしてやろう』
世界は平和になった……だが100年後、国は腐り始めていた……。
そんな時、魔王復活の知らせが世界中に轟いた。
しかし、勇者はもういない。
そんな時、1人の魔法使いが異世界より勇者を召喚する儀式を生み出した。
そして異世界より召喚された勇者は魔王を倒すが、仲間は魔王を倒した褒美を自分達だけで分けようと国へ戻っている時、勇者は殺された。
そして100年後、魔王は新たに魔族を生み出し勇者召喚が唯一出来る国を襲い始めた。
その時、異世界から勇者が召喚された。
『その時に召喚されたのが僕さ』
「それじゃお前は元々勇者だと言うのか?」
『そう、僕も国に騙されて傷つきながら魔王を倒したんだけどね……国へ戻った時、魔王になり得る存在として処刑されたのさ……国民の前でね……せめて1人だけでも僕の為に泣いてくれる人がいれば……、……残念な事に泣く人はいなく、代わりに石を投げつける人はいたよ……僕はなんのために勇者として召喚されたんだ? 君もそうだろ? だから君は国を滅ぼした』
「……そうだ……俺を勇者として勝手に召喚しておきながらいいように使いやがって……」
胸の奥が痛み出した……黒いモヤが心にかかっているようだ……。
『知ってるよ。 君も騙されて戦いの道具にされていたんだろ? 王様やお貴族様は優雅に晩餐会でもしているって言うのに、君は命がけで戦っている……そんな事が許せるかい?』
「そうだ……俺が命懸けで戦っている時……王は……アイツらは……」
黒いモヤが全身を包み込み始めた。
「……そう……人は……」
『存在する価値は無い』
「存在する価値は無い」
真っ暗なモヤは黒いドロドロした物へと変わり、俺を包み込み黒いドロドロした場所に沈んで行った……。
読んで頂きありがとうございます。
頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




