第52話【魔王】
魔王を倒す為に魔族を探していたが意外とあっさり見つけられた……いや、俺を待っていた感じだ。
「待ってたぞ、勇者」
「初めて見る顔だな」
「こちらにも色々あるんでな…………」
サイのような顔と筋骨隆々な体をした魔族……パワーはありそうだが、勝てない相手じゃないだろう。
「お前は魔王様を倒しに行くのだろう?」
「そうだ……邪魔をするか?」
「……いや、邪魔をするつもりはない。 むしろ案内してやろう」
「お前が魔王の所にか?」
「そうだ。 罠じゃないから安心しろ」
「そんなあからさまに罠とわかっていて行くバカはいない」
「……信じられんのも無理はないが……これは魔王様直々に勇者を連れて来いと言われている。 それに我々と一緒でなければ魔王様の所には行けぬぞ」
確かに、色々と情報を集めていたが魔王の居場所については何も情報が無かった……だが安易と着いて行って罠にハマるつもりも無い。
「どうしてお前らと一緒じゃないと魔王の所へは行けないんだ?」
「それは簡単だ。 我々魔族しか行けない別の空間にいらっしゃるからだ」
「なるほど……」
別空間か……確かに情報が無いわけだ……。
「いいだろう、罠にハマってやるよ。 その魔王様がいる場所に連れて行け」
「……こっちだ……」
魔族に触れると何処かに転移する。
そこは暗く青白い蝋燭が何本も灯り、一本の石の通路が続いていた。
「この奥だ……」
どんな罠が待ち受けているかと用心しながら進む。
この場所はサーチが発動せず、転移も発動しない。
「進むしか無さそうだ」
先に進むと大きな石造りの広間にでた。
「勇者か……」
「待っていましたよ」
広間には五人の魔族が待ち構えている。
「やはり罠か……」
攻撃態勢を取ろうとした時、魔族達は道を開けて奥の部屋に俺を通すように並んで頭を下げた。
「な、なんだ? 戦わないのか?」
「この先に魔王様がお待ちです」
「どうなってるんだ……」
挟み撃ちでもするのかと思っていたが、先に進んで小さな部屋に入ると扉が閉まり冷たい空気が流れる。
「閉じ込められたか?」
真っ暗な空間……だが壁の松明に青白い火が灯ると目の前に黒くドロドロとした液体が入った場所がある。
そのドロドロした液体がスライムのようにグニグニと動き始め、人形へと形を作って行く。
『待っていたよ』
「誰だ!」
突然頭の中に響くような声が聞こえ始めた。
『目の前にいるじゃないか』
「な、なんだと……」
まだ若い少年のような声はこの人形のドロドロとした液体から聞こえて来ている。
「何者なんだ?」
『わかってるでしょ? 僕は魔王って呼ばれる存在だよ』
「お前が魔王だと!?」
こんなドロドロしたスライムみたいなのが魔王?
魔王って言えば牙があったりツノが生えていたり翼があったりするものじゃないか?
『残念だけどそうはならないよ』
「こいつ……俺の心を読めるのか?」
『まぁね、それで君は僕をどうして倒したいんだい?』
「仲間のためだ」
『そっか……君には仲間がいたんだっけね……、……だけど君も見てきただろ? 人の為に命をかけるなんて意味無いって事を』
「そうだな……だが仲間のためならその価値はある」
『そっか……それじゃ戦うしか無さそうだけど、先に僕の話を聞いてくれるかい?』
「どんな話しだ?」
『魔王と勇者の誕生の話しさ』
正直言って興味は無い……だが勇者と言う存在について知りたい事もある。
「少しだけなら聞いてやる」
『それはよかった……まずは最初の魔王と勇者の話しを……』
魔王による初代魔王と初代勇者の話が始まった……。
読んで頂きありがとうございます。
頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




