スライムの正しい育て方
ここはダンジョンコンビニ山田店
毎日、いろんなお客様が出入りするからには店内は常に綺麗しておく必要があるのだが、なにせ店員1人のブラックコンビニ
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
「ほっほ」
ぬらりひょんだ。オーナーが正面から訪れるなんて珍しいと思ったら、とんだ間違いだ
「ほっほ」
「そうですか。分かりました」
なにせ、ダンジョンコンビニ山田店のオーナーだ。平店員が逆らうことなどできるはずがないで
「ぬらりひょん様〜これも良いですか〜」
「ほっほ」
ネズミ男が籠いっぱいに商品をつめこんでいる
「わたしゃサロン◯パスが欲しいねぇ」
「ほっほ」
砂かけ婆が砂を撒き散らしながら、店内をうろちょろしている
「ひょっ!」
隅っこで小豆を洗うのをやめてほしい
「カパパパパ」
ああぁっ!水浴びやめろ河童があぁ!禿が豆腐を振り回すんじゃない!ってだめだお客様は神・・・くそが
そう、ケチなオーナーが経費削減の慰安旅行の観光ツアーとして、百鬼夜行を連れてきやがった
テッテレー♪ガー
「ありがとうございましたー」
ぞろぞろと百人の観光客が帰ったあとは、店内がめちゃくちゃになるため、1時間ほど臨時休業にする必要がある
時は金成。さすがに1人で店内を片付けるのは時間ロスに繋がってしまう
「お願いします」
店員がトイレのドアを開け、ポップなカラーのスライム達に頭を下げると、一斉に店内へと飛び出してきた
青いスライムは水のように汚れた床を拭き取り、赤いスライムが自分の熱で乾かしていく
それぞれに役割があるようで、あっという間に店内が清潔な空間へと変わっていく。ちなみに茶色のスライムはトイレ担当のため待機中である
「・・・しかし、増えすぎましたね」
掃除により栄養を十分にとりすぎて大量に、拡散されたスライムを見て店員がボソッと呟くとスライム達がビクッと跳ね上がり隅っこにまとまりはじめる
「いえ、そんなに怖がらなくても解雇はしませんから」
しかし、増えすぎたスライムたちをこのまま置いとくわけにもいかない
スライムは剣で切っても分散するし、炎で燃やしても「無念!」とか「ご無体なぁぁ」とか奇声を上げるため消すたびに心が病んでいく
かといって、服を溶かす趣味のある変態に渡したり、キャットシーさんにゼリーの加工品として使ってもらうにしてもトイレに住んでいるスライムを渡すのは心が引けてしまう
「どうしましょうかねぇ」
「にーちゃ」
店員が、首を傾げているとズボンをツンツンと引っ張られ、下を向くとハイハイ姿の妹がヨダレを垂らしながら見上げていた
「どうしましたか?」
「にーちゃだっこ」
ふむ、大聖女の妹を抱き上げる行為はいささか魔力を消耗してしまうため大変なのですが、致し方ない
「少しだけですよ」
ほっぺたぷにぷにの妹を抱き上げると、休憩室から恨めしそうにエプロンのはしを噛みしめる父親が目に付く
「にーちゃ、ぷよ◯ぷよ」
「それは著作権が引っかかるので言ってはいけない言葉ですよ」
妹が店内を飛び回るスライムたちに手を伸ばすと、人差し指指が当たった瞬間パンッ!!と弾けた
無表情の店員に抱かれた妹が、目をまんまるくしたかと思うと店内の清浄な空気をいっぱい吸い込んで大きく
「ぎゃああああああああああああん!!!!」
店内のスライムが一斉に弾け飛んでしまった。全クリア無双状態ですね
ちなみに休憩室の父親は浄化されそうになっている
「あぁ、なるほどこういう手がありましたね」
弾け飛んだスライム達は1センチほどの球体へとかわりぴょんぴょんとトイレへと帰っていく
24時間在中の裸天使が妹の聖なる光で召されそうなっているのだが、一体何回堕天しかけているのだろう
「スライムさん方ありがとうございました」
店員は臨時休業の看板を取り下げ、今日も綺麗なブラックコンビニで働いていく
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
「ほっほ」
「第二弾とかやめてください」




