ペットの神様
産まれてから鏡や水面を見る機会がなければ、自分の姿形の全てを知ることなく、一生を過ごすことがある
互いにどんな姿に見えているのかなんて、このダンジョンコンビニ山田店には関係ないのだが
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
「やぁ!コンビニ兄ちゃん!ちょっと買いたい物があるんだが。最近、中階層でハーピーの群れが急激に増えちまってな!捕獲用の首輪か足輪が欲しいんだが」
「ペット用コーナーにあります」
「ペット?物好きなやつもいるもんだな」
勇者がカップmeーnを手に取り、ペット用コーナーへと行く。まさかまだハーピーのおしっこで食べているんだろうか
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
「御機嫌よう。今日はこの子の首輪が古くなってきたから買いに来たの」
シャナリシャナリと内股で、大きなツバの帽子をかぶったマダムが入ってくる
その手に握られた手綱の先には尻尾をブンブンと振っている四足歩行で、耳が垂れた、お目目がキュートな、マダムのペットである
人面犬だ
「やァ、御機嫌ようミスターコンビニ山田。あいかわず服を着ているのか。だが、最近はペットに服を着せるのが流行っているらしいな」
「山田じゃありません」
人面犬は、やけに整った顔で白い歯を光らせながら、座って後ろ足で耳を掻きむしっている
「ミスターコンビニ山田、最近の売り上げはどうだい」
「ボチボチですね。あと山田じゃありません」
犬の習性だろうか、喋りながらフンフンとコンビニ内をうろちょろして、マーキングをする場所を探すのはやめていただきたい
「パーティーちゃん、メッよ!ここはお外じゃないのよ」
「すまない、マダム!捨てないでくれ!」
この人面犬は元々野良だったせいか、捨てられないように異様にマダムに執着している
「さぁ、貴方に似合う首輪を見に行きましょう」
「マダム!好きだ!ついでにボーンも買ってくれ!」
ボーンは、先ほど来店してましたね
コンビニ内をシャナリシャナリとセレブ街を散歩するマダムと人面犬とすれ違った勇者が目を丸くしてレジにやってくる
「コンビニ兄ちゃん、あのイケメン兄ちゃん何で裸で首輪に繋がれてるんだ!?」
「そういう方もいらっしゃいます」
勇者は、レジに新しい首輪を持ってきたマダムと人面犬を上から下までマジマジと見つめている。
お願いだから余計なことは言わないでほし「おい、イケメン兄ちゃん!なんで裸で繋がれてんだ」クソがっ
「なんだ?貴殿は初対面で」
「裸で首輪とか奴隷なのか?せめて下着くらい履かせてやれよおばさん」
「マダムになんてこと言うんだ貴様っ!この方は私の飼い主様だぞ!貴様こそそんな重りを着けられて奴隷じゃないのか!?」
人面犬が勇者の甲冑を見てキャンキャン吠えている
「飼い主って奴隷じゃないか。それに、これは俺の雇い主(王様)がくれた物だ。俺はお前のために言ってるんだぞ。そんな裸で首輪をさせるなんて今どきどこの奴隷商も下着くらいは着けさせるぞ」
「飼い主にそんな重い服を着させられているお前がおかしんだ!見ろ!あの野良でさえ首輪に裸だ!」
人面犬が裸天使の方を見て、キャンキャン勇者に詰め寄る
「パーティーちゃん、HOUSE」
「マ、マダム!ち、ちがうんだ!こいつが変なこと言って」
「HO・U・SE」
「キューン」
さすがマダム。だてに金歯じゃない
「パーティーちゃん、ママパーティーちゃんにプレゼントがあるの」
そういうとマダムが人面犬に買いたての白Tをそっと着させる
「こ、これはマダム」
「冬は寒いからね」
「いや、下着を買ってやれよ」
「黙れ!甲冑パンツ!分かったぞ!貴殿の服は去勢のためだな!この万年発情期野郎!」
「なんだと!露出狂が」
裸天使がビクッと肩を震わせる
「はぁ、まあいいやコンビニ兄ちゃんいくらだ」
「1250ペソです」
「フフン!貴殿は首輪も自分で買うしかないんだな」
勇者がファ◯クと勇者にあるまじき中指を立てながら、コンビニを後にする
テッテレー♪ガー
「ありがとうございましたー」
後ろ足で砂をかける動作をする人面犬をマダムが抱き上げると、シャナリシャナリと歩き出す
「ねぇ、そこの貴女」
「ふぇっ!」
「貴女の神に裸はもう古いって伝えておいて下さる?うちのパーティーちゃんに悪影響なのよね」
大きな帽子のツバを少しだけ持ち上げると、猫の頭に人の身体のマダムは、裸天使の顎を軽くなぞると尖った金歯をのぞかせる
「アバババばばば!ぱぱぱぱパステト様っ!?」
「服はいいぞ」
人差し指を立て内緒のポーズをするマダムに抱かれた人面犬が無駄にいい顔面で、捨て台詞を吐いて帰っていった
それにしても幻影魔法が効かないって、さすが神聖な神様・・・裸神とは格が違いますね
テッテレー♪ガー
「ありがとうございましたー」




