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祖父母降臨

年末年始、24時間ブラックダンジョンコンビニ山田店は、あいもかわらず休みなど存在しない


実家に、帰省しようにも休憩室が家と化しているし、祖父母の城もとんでもなく遠い


なので、今日もいつも通り顧客の対応となるのだが



「働き過ぎだな」


ふと、店員の足元からエコーの効いた野太い声がする


「そうよねぇ〜あなた。年末年始なのに可愛い可愛い孫に、世紀末くらい会ってなかったのよぉ」


宅配用の異次元床下収納の扉がゆっくり開き紫色の光とともにゴゴゴ・・・という効果音が聞こえ、立派な角が生えた頭が生えてくる


「いらっしゃいませー」


魔王と大魔道士(祖父母)襲来だ


「久しいな、孫よ」

「終末期以来ね〜」


漆黒の長い髪にくるりと円を描く鋭い角が生え、1ミリも表情筋が動かない祖父と、赤紫のウェーブがかった髪に口元に藤子黒子をつけ、妖艶な雰囲気を醸し出す祖母が、最愛の孫に詰め寄る



「お年玉だ」

んな、勇者の聖剣差し出されても。今年の勇者は、また魔王に負けたのか


「ンンッ!ところでお前一人か」

「家族なら休憩室にいます」

「まぉちゃんねー、待望の女の子産まれたでしょー会いたい会いたいうるさくってぇ」

「ンンッ!ママよ、バラすでない」

「あらやだウフフー」


休憩室を覗くと、魔王の気配を察知したのか、父親がスーツを着て正座をしながら頭をさげていた


「あ〜ママ〜パパ~久しぶりーどーしたのー」

「どーしたのーじゃないわよーあんたたち世界滅亡まで会いにこないつもりー?」


滅亡するかどうかはあんたたち次第なのだか

「女神はンンッ!雌の孫はどこだ」

「えーパパったらー目の前にいるじゃなーい」

「ンンッ!神々しくて目が潰れてしまっていたようだ」


そもそも光属性の妹とバリバリの闇属性の祖父は、相見えるのだろうか


「どれ、抱いてやろう」

「あ、パパ気をつけないと」

祖父が妹を抱きかかえ高い高いすると、妹の身体が光り、あたり一面を包んだ


「だから言ったのにー」


目を開けると真っ白な髪のヨボヨボなお爺さんが、腰と足をカクカク震わせて孫を必死に抱いていた


「ダメよ~ダメダメ。頭上まで高い高いしちゃー、貴方より高位クラスって認めちゃうことになるじゃない」

頭が高いってことか


祖母がヨボヨボの祖父から、妹をとりあげると

「さぁ〜ばぁばのおちちを吸いましょうねー」


ただでさえ、聖女の母乳を吸ってるのに大魔道士の聖気まで吸ったら完全無欠の赤子が爆誕してしまう


「そ、そもそも母乳がでらんじゃろう」

「あらやーだ、まぉちゃん年明け108人目の子を作ろうて言ったじゃなーい」

「ンンッ!そうじゃったかのぅ」


急に口調がお爺さんになったな。にしても、108人目の子供って、年末に煩悩だらけだな


「ほら、パパこんどは低い低いしないと」

「おぉ、どれど・・ぐおっ!!こ、こしが・・・」


カクカクして、デスメタルのヘッドバンギングみたいになってる


「もぉーまぉちゃんったら振るのは頭じゃなくて腰だけにして〜」

「ンンッ!」


年末年始にこんなに早く帰ってほしいと思う祖父母もどうだろう


「さてと〜そろそろ帰らないと年明けの鐘を鳴らすのに間に合わないわぁ〜ぱーぱ帰りましょう」


魔王城で煩悩吹き飛ばす鐘を鳴らすとか、無理がある


「じゃ!良いお年を〜。さ、パーパ夜は長いわよ〜、頑張って108発かましちゃいましょう!」

「ンンッ!またな」


鐘のことだよな


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「くっ、今年も駄目だった・・」

「あんたさー、年末までパーティー集めて魔王倒しに行くとか労働基準法超えてるから!」


ボロボロの勇者一行がやってきた


「だいたい年末年始で防具屋閉まってて装備とか不十分だし、しかも何?聖剣奪われてるし?取り返しに行ったら、年末年始の休みのお知らせ貼ってあって魔王城入れないし散々じゃない!」


意外とホワイト企業の魔王城



「あの・・・これ」

「俺の聖剣!店員の兄ちゃん!なんでここにあるんだ!?」

「お年玉だそうです」


24時間ダンジョンコンビニ山田店、今年も来年も休みなく働かせていただいています


テッテレー♪ガー


「ありがとうございましたー」








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