裸の王子様
物語の世界でもファンタジーの世界でも現実世界でも、偉い人・国をまとめる者・支配する者は存在している
ちなみにダンジョンコンビニ山田店は、ダンジョンの中のどこかに存在するのだが、顧客は様々な国や世界からやってくる
ダンジョンコンビニにつながる入り口は様々なところに存在しているが、例えば、この店内の天井をまっすぐに突き破って、上に行ったらどこにつながっているかというと
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
「たのもう!」
金の王冠に金の髪、高そうな服に、赤いマントを羽織り、指には宝石をこれでもかというくらいつけ、いかにも偉そうな態度で入ってくる男がいる
「そこの店員よ!今すぐ我の質問に答えよ!さもなくば首をはねるぞ!!」
「・・・・」
「ここに金の髪の女神がいるだろう!!?」
「いません」
「断罪じゃー!!!皆の者!この者をとらえよ!!」
その理不尽で偉そうな男は、どこかの国の王子らしい
かつて、母親が聖魔導士として勇者一行と旅をしていたときに、魔王城へ行き、魔王を倒してこいと命令した王の息子。ちなみに魔王は、父にあたるので母にとっては実家に里帰りだったのだが
「探し人でしたら、警察へ」
部下の剣や攻撃を颯爽とよけ、店員は眼鏡を整えながら、胸のポケットからカッターナイフと羽ペンを取り出し王子の首元にあてる。そもそもここにたどり着くまでに、部下がボロボロになっているので相手にもならない
「ぐぅ!!やるなお主!!降参だ!!」
早っ。
王子は両手を上げ、重そうな王冠を外すと楕円に剥げた頭を下げ、深々とお辞儀をした。あ、結構中年男性だったのね
「いきなり押しかけて悪かった。許せ。私は、この国の第1皇子アレイキナリ・ハゲアルマゲドン二世と言う者だ。実は、探し人がここのコンビニにいると伺い、参上まつった限りだ。金の髪の女だ!知っているだろ」
アホなのか真面目なのか禿なのか、どれか一つにしてほしい
「金色の髪のお客様はたくさんいるので答えかねます」
「その娘とは、とある泉で出会ったのだが」
あぁ語り始めた。何でここにくる客は、自分語りが好きなのか。長くなりそうだから、帳簿の見直しと計算をしながら聞き流しておこう
「その娘は、泉で水浴びをしていたのだが、何かに追われているようだった。われの存在に気付くとひどく怯えた様子であった」
そりゃ禿げた中年男性がのぞき見してりゃ怯えるやろ
「われはそっと近づき娘に何があったのか問うと、夜盗に襲われ、さらにドラゴンに炎を浴びせられ衣服も跡形もなくなったという」
「・・・・」
「だが、われが驚いたのはそれだけではない」
「・・・・」
「その娘の背中に羽が生えていたのだ。われは、すぐにその娘が女神であると確信した」
その光景が容易に脳裏によぎり計算に集中できない。巻き込まれたくないので、早く帰ってくれないだろうか
「我は、その女神を助けようと手を伸ばした。だが、今度は裸の老人が表れてその娘を攫っていったのだ」
神様ですね
「国中その娘を探したが、見つからず、ずっと心残りであったのだが、この前、勇者一行の1人が我にこう言ったのだ。このコンビニには大聖魔導士様がおると!運命の乙女として神から啓示を受け、我々に国の在り方を示してくれる聖魔道士様なら、きっと有力な情報を知っていると我は確信した!そうだっ!そうだった!店員よ!大聖魔道士様はおられぬか!?」
「いますよ」
王子が両足を床につけ、天を仰ぐ。本当になんでこんなにめんどくさいお客様がいる時に限って、外の客がこないんだ
「ま・ま・ままじでぇ!?まじでおんの?」
「いますよ」
ただ、今は妹のオムツ交換の時間だ。休憩室からほんのりと香りがする
ここで母親に声をかければ、開放タイムを邪魔された妹の泣き声で父親が浄化されるか、逆に断れば仮にもどこかの国王の息子だ、国際問題に発展してしまう
「今は、(うん)国際問題で手が離れないようで」
「なに!?さすがは大聖魔道士様、現役を下りてもなお、忙しい方なのだな。致し方なし!では、店員よ、この手紙を渡してはくれないか!?」
「手紙ですか」
「あぁ!この手紙を大聖魔道士様に神の居場所を聞き、神から女神へ呈示していただきたい」
そういうと王子は、らくらくちっちゃい便に依頼するという形で帰っていった
テッテレーガー♪
「ありがとうございましたー」
客足も減ってきた頃、休憩室の母親に手紙のことを伝えると『神っちとはメル友だし〜王子には、啓示で返事するよう伝えとくー』だそうだ。ちっちゃい便の手間賃が減るし、たまには良いことするな
後日、王子が頭元で神様より『女神と会いたくば、お布施を増やすことが条件である』という啓示をうけた
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
さらに数日後、『彼女好みのペアルックで待ち合わせ』と裸の王子様がやってきたが、雑誌コーナーで裸に金銀財宝を纏って雑誌で大笑いをしている彼女には『下品な女もいたもんだ』と一言言い放ち、来るはずもない女神を待ちぼうけていた




