イートインスペース弟子と師匠
ダンジョンコンビニの中には、店内で購入した商品を食べられるイートインスペースが設けられている
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
「あぁー!もうダルい!ほんっとあいつなんなの!」
足音をダンダンッとたてながら入ってきたのは聖魔道士だろうか、白い衣装に白いベールを被り、手には宝石が装飾された杖を握っている
「何っ回っ!なんかい復活魔法かけさせりゃ気が済むわけっ!こっちもMP枯渇0で天に召されるわ!」
聖魔道士が大きな声で文句をたれながら、冷凍庫から凍ったラムネスライム酎ハイと果実酒が入ったコップを取り出し、つまみコーナーから干しダイオウイカを手に取るとレジにバンッと置く
「650ペソです」
「カードで!!」
支払いをすると、すぐにごきゅごきゅと一気に飲み干す聖魔導士
「ぷっはー!!労働のあとは酒が身に染みるぅ!!マスターおかわり!!」
「コンビニは基本セルフです。あと、マスターじゃありません」
「あぁ?なんやとぉ、山田ー!酒もっれこーい!!さーけ」
「あちらの冷蔵庫にあります。あと山田じゃありません」
「あ?あー!!そーだそーだ!やっだぁ、店主ぁ。ごっめーん!まことぉにすみまめーん」
絡み酒の聖魔導士は千鳥足で冷蔵庫へ向かい、新商品の『神酒と裸の天使』という賄賂酒を購入すると
店内のイートインスペースへとふらふらと向かい、席に座るとぐちぐち文句をたれながら飲み始める
「ったくさー、ほんっと人使い荒いのよあいつはぁ!ドラゴンに毎度、無計画で突っ込んでいくしさー。なぁーにが聖剣よぉ〜古傷1つ切れないボンクラじゃなぁい」
杖を軽く回し、ファイヤーを出してダイオウイカを軽く炙ると足からかぶりつき、くちゃくちゃと噛み酒で一気に流し込むと、顔を真っ赤にして机にうっぷした
「マーちゃーん、おむつ切れちゃったーぁ」
休憩室から、妹を抱っこして授乳をしながら、母親が久しぶりに店内に出てきた
「乳をしまってください」
母親に抱かれた赤子の妹が以前に増して光輝いている。そりゃ、母乳って母親の血だから、伝説の聖女から産まれて直接吸っていれば大変なことになるわな
「父も早くしまってください」
休憩室のドアから父親がサングラスをかけ心配そうに覗いているが、また浄化されそうになっている
「あららー?もしかしてヨーちゃーん?」
「あ?」
追加で買った酒缶を握り潰しながら、振り向いた聖魔導士が手を振る母親を見て、うつろな目を見開き、赤い顔が青い顔へと変わり口に含んだお酒を吹き出す
「ブファ!ゲボゲボ・・だ・・だだだ・・大聖魔導士様!!!ななななな・・なん・なんでここに!??」
聖魔導士が母親の顔をみて正気に戻っていく
「えー、けっこんしたって言ったじゃーん」
「けけけけ・・結婚って・・教会からは駆け落ち・・いや、モンスターに攫われたと・・」
「なーんそれー、ヨーちゃんそんなの信じたのー?」
母乳を吸い続ける妹が光過ぎて、母親の表情がまったく見えないから怖い
「ひぅ!!あ・・あ、いえ!!ご・ご無事でなによりです!!そ、そのお方は・・御息女様で・・」
「そー、この子たち息子と娘ー」
「む・・息子?」
母親が店員を指さすと、冷や汗をかきながら聖魔導士が絡み酒をしたことを土下座して謝ってくる
「あと、あれ旦那」
「ヒュっ」
幻覚魔法の効かない休憩室のドアの隙間から除いているオーガの父を見て口から泡を吹きだし、聖魔道士が倒れた
大聖魔導士は教会トップの存在であり、さらに勇者一行と国を救った聖女の母親は、聖魔道士たちとっては、雲の上の存在として扱っている
そんな天上界の人間が、ダンジョンのしかもコンビニで主婦?をしているのだから、驚くことだろう
「商売の妨げになるので余計なことは言わないでください」
「えぇー?それよりおむつー」
「トイレの棚にストックがあります」
口から魂が抜けそうとしている聖魔導士に記憶操作の魔法をかけて、肩を揺らして起こす
「はっ!!!・・・?・・?」
「お客様、急に倒れまして大丈夫ですか?」
「え・・?あー・・?大聖魔導士様は・・・?」
「先ほどの方は帰りました」
「え・・?あ。そうですか。」
聖魔導士は首を傾げ、イートインに散らかった空き瓶を片付け頭を下げながら出て行った
テッテレー♪ガー
「ありがとうございましたー」




