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ライバル店

ダンジョンの中間点に商人が武器や食料など様々な店を構えることはよくあること


そして、このダンジョンにもいくつかそういったお店があるのだが


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「やあ、店員のにーちゃん!いつもの頼むよ」

「120ペソです」


勇者が、回復薬を1本購入すると、その場でごくごくと飲みゲップとともにため息をついた


「いやー、やっぱここの店のが1番だわ!最近さー、ダンジョンの入口前にもコンビニが出来たんだけどさ」


レジのカウンターに肩肘をつきながら勇者が、愚痴をこぼしはじめる


「ダンジョン前ってさー、やっぱ準備してても何かしら忘れ物ってあるじゃん?入室許可証とかさ。それで入口前にコンビニがあると便利なのよ」 


「そうですか」


「それに、そのコンビニさ、俺の故郷のはじまりの村の村長の孫が出店しててさ」


村人Aさん、転職したのでしょうか


「でな、コンビニ兄ちゃん!今日は、聖剣忘れてちょっとコンビニで買ってくかーって立ち寄ったんだけど、中入ったら最悪でさ」


んな、雨降ったから傘買うかみたいに。聖剣忘れるとかダンジョンで戦う気0なのか、それともバカなのか


「エルフとドワーフが弁当のとこで、めっちゃ喧嘩してんのよ!その内容がさー、ドワーフが野菜は臭いから食えん!とか、エルフは耳が長くて好かんとか、エルフも肉ばっかり食ってるから肉臭いとか短足だとか」


ベジタリアンのエルフと肉食のドワーフは、昔から気が合わないことが多い


「まぁ、あいつらだけじゃなくてさ異種間の争いって絶えなくてさー、そのへんこのコンビニって、なぜか同族しか会わんから平和だよな!」


それはトラブル回避の幻覚魔法のおかげだが、疑問にも思わないのも不思議だ


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「店主、いつものを頼む」

「160ペソです」

ドラゴンが、店員から痒み止めのクリームを受け取ると古傷に塗る


「やっ!強そうな兄さん、久しぶり!」

「うむ、久しいな。やはり、ここのコンビニは落ち着く。他とは比べもんにならん」

「何かあったんすか?」


小さな鼻息をフンッと鳴らすと、ドラゴンは語り始める


「最近、我の家の近くにコンビニができたのだが。そこが、強盗も絶えなくてな。強盗がくる度にキャーキャーと五月蝿いもんで、しかたなく追い払ってやっていたのだが」

「へーそりゃ大変でしたね」

「うむ、だが、その店主変な羽も生えてるしモンスターの類だと思うのだが、布1枚しか羽織っておらぬし盗んだものばかり売ってるのだ」

「うわーシーフかぁ、最悪じゃん!」


「客がそれは自分が信仰する者に祀ったものだから、返せと言っても、これはお布施だから、売ってもいいとかよく分からぬことを言っておるし、次から次にくる強盗もイベント発生だとかなんとか」

「隠しイベント的な、かんじっすかね」


「我も仕方なく助けようとしたが、あやまって布が燃えても、ゴブリンどもに剥ぎ取られても『やっぱり快感・・・っ』って言うておって裸体を好むとんだ変態だったのだが、今日はオーナーであろうか白い髭の生えた祖父らしきものが迎えにきおったのだ」


あの裸天使、最近みないと思ったらそんな悪趣味な副業してたのか


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「こんにちは、店員さんいつものお野菜売ってますか?」

「はい、あります」


勇者とドラゴンと入れ替えに、入ってきたいつもの常連客のエルフが、陳列された新鮮な野菜を籠いっぱいにいれレジへと置き、会計を済ますと店員が封筒を渡す


「あと、こちらは先月分のお弁当の売り上げ金です」

「ありがとうございます。あの、新商品の方はどうでしたか?」

「とても高評ですよ。めずらしくお肉メインでしたね」


エルフの里で料亭を開いているこのエルフからは、毎月、一週間だけお弁当を仕入れさせていただいている


「それは良かった。じつは、知り合いが極度の野菜嫌いでして、少し自信をなくしていたところでした」


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」


大きな桑を持ち、腰には金槌とミノ、口髭と顎髭を胸元まで早いしたドワーフが一目散にお弁当のコーナーへと赴く


「むん?今日は、もう売り切れか!?」

ドワーフが顎髭をモサモサとかきながら残念そうに太い眉毛を八の字に曲げる


「しかたなし。今日はこれで我慢するとするか」

そういうとドワーフは、ヤングウルフのステーキ丼を手に取り、レジに向かう


エルフが肉の匂いに耐えきれず、鼻元を服の袖で押さえながら、ドワーフに話しかけた


「あの、やはり男性はお肉が好きなのですか?」

「ん?いや、本当は野菜たっぷり月見草スープを食したかったのだわ」


ドワーフが弁当を温めてもらう間、エルフと談笑する


「ワシの好きなオナゴが肉がキライでな。会えば野菜を食え食えうるさいんじゃ。まぁ、ワシの健康を考えて言っとるんだろうが」

「あら、わたくしの好きな男性は肉を食べろとうるさいんです。顔色が、悪いとか心配してくださって。なので、最近はお肉料理の勉強中なんです」

「はは、それは幸せなオトコだな」


それで、最近はお肉メインの愛妻お弁当が増えたんですね


テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」


ちなみに一ヶ月後、ダンジョン入口のコンビニは潰れたらしく村人Aが土下座をしながら村長の後ろについていた




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