第80話 記入
青いノート。
机。
私は。
ペン。
持つ。
書く。
迷う。
真実。
知らない。
答え。
ない。
客人。
分からない。
風。
分からない。
向こう。
分からない。
でも。
書けること。
一つ。
〈203そのものに、力があるとは確認できない〉
読む。
少し。
硬い。
でも。
今の私には。
これくらいが。
いい。
次。
〈人が意味を作った〉
〈その意味で、人が動いた〉
〈死んだ人もいる〉
〈生きた人もいる〉
〈やめた人もいる〉
〈続けた人もいる〉
止まる。
相原澄江。
帰った人。
〈帰った人もいる〉
足す。
次。
〈だから、数字より、ここまで来た人間の方を私は見たい〉
読む。
恥ずかしい。
「ポエムだな」
消そう。
ペン。
止まる。
河西。
意味を作るな。
真理。
道を残す。
久世。
保留する。
榊。
妹。
主任。
消す。
客人。
見る。
澄江。
帰る。
私。
「まあいいか」
残す。
そのとき。
壁。
音。
水。
久しぶり。
黒い。
染み。
広がる。
私は。
立たない。
見る。
声。
――十兵衛。
名前。
初めて。
呼ばれる。
「何」
――次は。
近い。
――どこ?
私は。
すぐ。
答えない。
「まだ分からない」
少し。
間。
――じゃあ。
「うん」
――探して。
私は。
壁。
見る。
「一人で?」
答え。
ない。
代わり。
遠く。
声。
一つ。
ではない。
男。
女。
子ども。
かもしれない。
重なる。
何人。
分からない。
「佳奈」
――なに。
「そこ」
息。
飲む。
「一人じゃない?」
長い。
沈黙。
――最初から。
壁。
少し。
震える。
風。
来る。
でも。
切らない。
今回は。
カーテン。
揺れる。
だけ。
佳奈。
――十兵衛。
「何」
――あなたは。
途切れる。
私は。
待つ。
――残る人?
私は。
笑う。
「まだ分からない」
佳奈。
――そっか。
染み。
薄くなる。
消える。
私は。
ノート。
見る。
最後。
一行。
足す。
〈まだ、残れるかは分からない〉
そこで。
やめる。
閉じる。
時計。
見る。
二時十四分。
私は。
少し。
眉を上げる。
一分。
ずれている。
それだけ。
なのに。
今日は。
その一分が。
少し。
うれしかった。




