第79話 半額
スーパー。
夜。
半額。
惣菜。
私。
鯖。
取る。
隣。
手。
同時。
「あ」
客人。
灰色のスーツ。
ではない。
今日は。
白いシャツ。
黒いパンツ。
普通。
「何してる」
「買い物です」
「食うの」
「はい」
「何を」
「これを」
鯖。
残り。
二つ。
私は。
一つ。
譲る。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
レジ。
客人。
普通に。
財布。
現金。
ポイントカード。
持ってる。
私。
「ポイント」
「貯めています」
「何で」
客人。
少し。
考える。
「失効するともったいないので」
私は。
笑う。
意味。
分からない。
外。
「食事」
客人。
「一緒にしますか」
断りたい。
身体。
逃げたい。
でも。
「どこで」
「公園」
ベンチ。
二人。
鯖。
米。
ペットボトル茶。
暗黒側。
かもしれない。
使者。
と呼ばれることもある。
何か。
半額弁当。
食う。
それが。
怖い。
私。
「味」
「塩が強い」
「そう」
「でも、良い」
「何が」
「食べられる」
普通の。
答え。
「人間を見に来た?」
「あなたを見ています」
「なぜ」
「今も、理由は確定していません」
「自分でも?」
「はい」
また。
意外。
私は。
箸。
止める。
「頭読む?」
「いいえ」
「じゃあ、俺が何考えてるか」
「分かりません」
「そう言えるんだ」
「分からないことは、あります」
私は。
少し。
安心。
して。
すぐ。
それを。
警戒する。
「203をどう思う」
客人。
鯖。
骨。
取る。
「人が意味を足した記号の一つ」
「それだけ?」
「私が確認している範囲では」
「向こうは」
「呼び名です」
「風は」
「現象です」
「佳奈は」
客人。
箸。
止まる。
「人です」
一番。
普通の答え。
だから。
怖い。
「知ってる?」
「知っている、という言い方では足りません」
「また逃げる」
「はい」
認める。
私。
「あなた」
「はい」
「何しに来た」
「今日は食事です」
「本当?」
「はい」
たぶん。
本当。
それが。
困る。
帰り。
別れる。
客人。
「富樫さん」
「何」
「次の人へ」
心。
止まる。
「ノート」
「知ってる」
「読み続けていますか」
「少し」
「なぜ聞く」
客人。
「私も、続きを知りたい」
「読めないの?」
「持っていませんから」
その程度。
なのか。
それすら。
演技。
なのか。
分からない。
私は。
初めて。
別の怖さを。
感じる。
客人も。
知らないものが。
ある。
そのことが。
安心ではなく。
怖かった。




