第68話 録音
観測室。
戻る。
十六時二十四分。
時間。
少ない。
森山。
棚。
一つ。
開ける。
「これ」
箱。
147。
榊真理の箱は。
146。
隣。
小型テープ。
ラベル。
〈真理〉
榊。
触らない。
私。
「聞く?」
榊。
長い。
「聞く」
再生。
ザー。
若い女。
――記録。
――二〇〇四年八月十日。
榊。
目。
閉じる。
妹。
声。
――立会をする。
――意味を決めない。
――そう言われた。
間。
――でも。
――私は決めたい。
――兄を置いていきたくない。
榊の肩。
少し。
動く。
続く。
――向こうへ行くのではない。
ノイズ。
――こちらへ戻すために。
――道を開く。
私。
水原佳奈。
思い出す。
「戻す」
河西の記録にも。
あった。
でも。
同じ意味。
とは限らない。
テープ。
――水原佳奈。
三人。
見る。
森山だけ。
見ない。
――彼女が最初ではない。
――ここには何人もいる。
――戻せるかもしれない。
ノイズ。
長い。
――でも。
――一人を戻すことで。
音。
欠ける。
――別の一人が、向こうへ行く。
停止。
久世。
「交換」
私。
「真理さんが、そう考えた」
森山。
「はい」
「本当?」
「確認できていません」
榊。
「真理は?」
再生。
まだ。
続き。
――だから私は。
――戻さない。
――道だけ残す。
――次の人が。
――別の方法を見つけるかもしれないから。
音。
終わる。
榊。
泣かない。
座る。
私。
今度は。
聞く。
「生きてるか」
森山。
「分かりません」
榊。
小さく。
笑う。
「それでいい」
「本当に?」
「よくない」
手帳。
握る。
「でも、真理が何をしようとしたかは分かった」
しようとした。
そこまで。
結果は。
まだ。
分からない。
久世。
窓のない壁。
見る。
「連絡が切れて、かなり経っています」
「組織が来る?」
「可能性は高いです」
森山。
「可能性ではなく、来ています」
遠く。
エンジン。
海。
北。
小さい船。
一隻。
私。
「知り合い?」
久世。
「たぶん」
「たぶん?」
「私の組織なら」
「敵?」
久世。
「そういう分け方は、しないでください」
いい。
答え。
時計。
十六時三十九分。
四人。
倉庫へ。
戻る。




