第63話 二百二個
倉庫。
木箱。
番号。
1。
2。
3。
4。
続く。
久世。
「全部、番号があるんですね」
「数える?」
榊。
「本気ですか」
「本気」
三人。
列。
台帳。
照合。
最後。
202。
私。
「二百二」
久世。
「一個足りない?」
榊。
「何に対して」
その通り。
二百三。
あるべき。
理由。
ない。
私は笑う。
「勝手に期待した」
棚。
奥。
番号。
終わり。
202。
それだけ。
「203はない」
久世。
「珍しいですね」
「何が」
「ない方が、意味ありそうに見える」
自分で言って。
嫌になる。
私は台帳を閉じる。
昼。
倉庫前。
おにぎり。
海。
風。
普通。
久世。
「二百三個じゃなかったですね」
「元から二百二なんだろ」
榊。
「追加された形跡もない」
「じゃあ終わり」
久世。
「寂しいです?」
「少し」
午後。
倉庫。
もう一度。
奥。
革靴の跡。
最後。
202の箱。
そこで止まっている。
私は箱を見る。
開ける。
中。
紙。
一枚。
〈追加〉
日付。
二〇〇七年。
番号。
〈203〉
私は黙る。
久世。
「ありましたね」
「箱がない」
榊。
「記録だけ」
紙。
古い。
でも。
箱。
どこにもない。
「誰かが203を足そうとした」
久世。
「そう見える」
「でも箱はない」
「撤去された?」
「最初から作らなかった?」
榊。
「記録だけ残した可能性」
全部。
あり得る。
私は紙を戻す。
「203に意味があるから足した」
久世。
「かもしれません」
「203に意味があると思ったから足した」
榊。
「それも」
私は棚を見る。
「順番、逆かもしれない」
「何が」
「数字が先じゃない」
「人が意味をつけて」
「それに合わせて数字を揃えた」
203。
部屋。
鍵。
机。
箱。
記録。
誰かが意味あると思う。
次も揃える。
後から見た人がまた信じる。
久世。
「では、203には意味がない?」
「それも決めない」
榊。
「便利ですね」
「便利だよ」
風。
倉庫。
抜ける。
202の箱。
蓋。
少し動く。
閉じる。
私は。
それを見ただけ。
触らなかった。




