第62話 倉庫
旧三崎物産。
臨海保管所。
外から見るより。
広い。
鉄骨。
高い天井。
棚。
左右。
中央。
木箱。
段ボール。
錆びた台車。
古いファックス。
「まだある」
私。
久世。
「好きですね」
「好きじゃない」
床。
埃。
厚い。
一部だけ。
薄い。
歩いた跡。
新しい。
革靴。
倉庫。
奥へ。
続く。
久世。
「追います?」
「先に出口」
二人。
見る。
「何」
榊。
「普通ですね」
「火事になったら困る」
避難経路。
二箇所。
確認。
私は倉庫台帳を開く。
一九七〇年代。
八〇年代。
九〇年代。
全国。
荷物。
島から外へ。
ではない。
北海道。
山形。
群馬。
静岡。
福岡。
島へ。
集まっている。
「倉庫なのに、出荷が少ない」
久世。
「保管専用?」
「そう見える」
箱。
一つ。
開く。
灰色の石。
別。
乾いた土。
別。
小瓶。
海水。
別。
壊れた腕時計。
「ゴミ」
榊。
「サンプルかもしれません」
「何の」
「何かがあった場所」
私は箱を見る。
価値。
ない。
少なくとも売り物には見えない。
三崎物産。
商社。
だから。
運べる。
誰かが。
研究所を持たず。
普通の倉庫を使った。
可能性。
足跡。
奥。
棚の前。
止まる。
そこだけ埃が薄い。
棚。
少し動いている。
「最近」
久世。
「誰か動かした」
三人。
押す。
後ろ。
小さな扉。
「図面にない」
榊。
「またか」
鍵。
なし。
開く。
階段。
地下。
私は一段見て止まる。
「行かない」
久世。
「何で」
「昼」
「は?」
「倉庫全部見てから」
時計。
十一時四十八分。
「十二時まで倉庫」
「十二時から飯」
「十三時から外」
久世。
「楽しんでます?」
少し考える。
「否定しない」
そのとき。
奥。
どこかで。
カチ。
ボールペンをノックしたような。
小さな音。
三人。
止まる。
もう一度。
カチ。
榊。
「何の音」
私は胸ポケットを触る。
透明な袋。
中。
東央事務用品のボールペン。
ノック部分。
動いていない。
私は。
それを。
出さなかった。




