第58話 再生確認
会社。
翌朝。
いつもの。
席。
昨日の海が。
嘘みたい。
コピー機。
電話。
小野寺の。
ため息。
佐伯の。
咳。
普通。
私は。
点検日誌の写真を。
印刷する。
八月十一日。
五人。
立会。
空欄。
押印。
潰れている。
本社。
田所。
電話。
「古い印影、照合できる?」
「何の」
「三崎の」
「また?」
「また」
送る。
昼。
返事。
一致。
しない。
河西。
でもない。
森山。
でもない。
当時の。
三崎物産。
社印。
でもない。
「じゃあ誰」
田所。
「分からん」
「いい答え」
「お前、最近それ気に入ってるな」
切る。
午後。
榊。
観測所から。
持ち帰ったもの。
机。
小さな。
カセットテープ。
「どこにあった」
「点検箱の底です」
「昨日あった?」
「ありました」
「言えよ」
「濡れていたので、乾燥させました」
「勝手に持ち出していいの?」
「所有者には確認済みです」
本当に。
こういう時だけ。
仕事が早い。
ラベル。
白。
鉛筆。
〈K〉
一文字。
河西。
とは。
書いていない。
久世。
「河西かもしれません」
「Kは多い」
「はい」
古い。
ラジカセ。
榊。
持ってくる。
「何であるんだよ」
「必要になると思いました」
再生。
ザー。
長い。
無音。
遠く。
水。
男の声。
小さい。
――記録。
日付。
聞き取れない。
――こちら側。
ノイズ。
――向こうを。
ノイズ。
――見るな。
私は。
停止。
「もう一回」
巻き戻す。
再生。
同じ。
――こちら側。
――向こうを。
――見るな。
久世。
「向こうを見るな、と言っています」
「間にノイズある」
「はい」
「文章か分からない」
「はい」
榊。
腕。
組む。
「声は河西に似ています」
「聞いたことある?」
「古い録音で」
「じゃあ似てるだけ」
再生。
続き。
ザー。
男。
――五つ。
――全部。
――こちらに。
ノイズ。
――戻せる。
私は。
止めない。
最後。
長い。
雑音。
そして。
一言。
――六番目を、数えるな。
停止。
部屋。
静か。
久世。
榊。
私。
誰も。
すぐ。
話さない。
「今度は全部聞こえたな」
私。
久世。
「はい」
「だからって、六人目がいるとは限らない」
「立会」
榊。
「役割かもしれません」
「人かもしれない」
久世。
「記号かもしれない」
私。
「録音した本人の勘違いかもしれない」
三人。
全部。
あり得る。
私は。
テープを。
ケースへ戻す。
ケース。
透明。
ひび。
裏。
小さな。
青い線。
一本。
私は。
指を。
止める。
同じ色。
に。
見えた。
でも。
比べなかった。
その日は。
仕事が。
残っていた。




