↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/81

第47話 彼女

女。


白い服。


水。


――ここ、どこ?


顔。


思い出せる。


でも。


描けない。


私は。

古い写真を見た。


一九八九年。


三崎物産。


倉庫前。


社内行事らしい。


集合写真。


端。


知らない女性。


白いブラウス。


二十代。


「社員?」


佐伯。


「知らない」


「当時の名簿は?」


「この人はいません」


久世も。

首を振る。


榊。


「見たことありません」


河西美津子さんへ。

写真を見せた。


手が。


止まった。


「この人」


「知ってます?」


「主人が」


写真へ。

指。


「探していました」


「誰なんです?」


「知りません」


「名前は?」


「聞いていません」


河西。


失踪前。


数週間。


女の人を。

探していた。


「なぜ」


「仕事だって」


「この写真は?」


「見たことありません」


「それでも、この人だと思う?」


美津子さん。


長く。


見る。


「似ています」


「何に」


「主人が描いた絵に」


絵。


残っていた。


押入れ。


古い封筒。


鉛筆。


女性。


顔。


不鮮明。


白い服。


その背後。


五本。


縦線。


「これ」


「主人が何度も描いていました」


裏。


文字。


〈水上〉


〈声〉


〈戻す〉


戻す。


開く。


ではない。


送る。


でもない。


戻す。


河西は。


何かを。

向こうへ送りたかったのではなく。


誰かを。


こちらへ。

戻そうとしていた?


そこまで考えて。


止めた。


絵と。


三つの言葉。


それだけだ。


女。


誰。


集合写真。


撮影日。


〈一九八九年八月十日〉


河西が消える。


前日。


偶然なら。


嫌な偶然だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。