第44話 二人の森山
写真。
二枚。
本社人事。
森山孝一。
三崎物産。
森山孝一。
同じ顔。
少なくとも。
私には。
そう見える。
田所。
「生年月日が違う」
本社。
〈一九五九年二月三日〉
三崎。
〈一九六〇年二月十三日〉
一年と十日。
また。
十三。
私は。
そこを見ないことにした。
「誤登録」
田所。
「あり得る?」
「昔なら」
「社員番号」
違う。
「じゃあ二人?」
「同姓同名」
写真。
同じ。
ように見える。
「兄弟?」
「それなら社員番号は説明できる」
「写真も似る」
合理的。
私は。
それを採用した。
仮説。
森山孝一は。
二人。
一人。
本社人事。
一人。
三崎物産。
写真は。
取り違え。
または。
似た兄弟。
役職の矛盾。
解消。
社員番号。
解消。
生年月日。
解消。
「全部、説明できる」
田所。
「よかったじゃん」
「うん」
本当に。
そうなら。
いい。
久世へ話す。
「二人説」
「可能性はあります」
「反対しない?」
「しません」
「つまらないな」
「怪異を期待してるんですか」
「してない」
夕方。
三崎物産。
佐伯へ。
二枚の写真。
「どっちが森山さん?」
佐伯。
迷わず。
三崎の写真。
「こっちです」
「本社の方は?」
「知らない人ですね」
私は。
久世を見る。
「違う顔に見える?」
「私には、ほぼ同じに見えます」
小野寺。
「似てますけど、別人じゃないですか?」
山根。
「同じ人に見えるけどな」
石井。
「兄弟じゃないですか」
割れた。
同じ二枚。
なのに。
写真原本を。
調べる。
どちらも。
紙焼き。
スキャンではない。
裏。
撮影日。
本社。
〈一九八七年四月〉
三崎。
〈一九九八年四月〉
十一年。
私は。
二枚を並べる。
髪。
目元。
頬。
口。
老けていない。
と。
言いたくなる。
でも。
写真の状態。
光。
画質。
撮影距離。
違う。
田所。
「これ、怖いやつ?」
「まだ」
「まだ?」
「普通でいける」
二人いる。
写真が。
似ている。
それだけなら。
普通だ。
たぶん。
私は。
その仮説を。
捨てなかった。
捨てないまま。
封筒へ。
二枚を。
一緒に入れた。




