7ー2
「さあお待たせいたしました! 昨日よりも大きな声! みんなヨロシク頼むぜー!」
客の熱量が闘技場にまで届いていると、ケニー・Jはひしひしと肌に感じていた。皆が同じ思いでないとこの会場は作れない。昂る気持ちを抑えることなく盛り上がりを見せているのは皆が皆、目が離せないからだ。
千人を超える術師の中から残った実力者達に。
「心の準備はできてるかー!? それでは午前の部、第一試合! 選手入場です!」
通路から先に顔を出したのは小さな子供。銀髪に碧眼、どこか女の子にも見える綺麗な顔立ち。女性からの人気が強いことは声援の割合で分かる。
「その場から一歩も動かずに衝撃のKOを魅せてくれたのはこの選手! 子供と思って油断するな、その魔術は大人よりも凶悪! 天才少年、マァァーリィィンッ!!」
しかし容姿で客の目線を奪ったのは最初だけだ。彼は圧倒的な実力でその人気を勝ち取ったことをケニー・Jは目の当たりにしている。
「対するは、常に輝くのは己が威光を示す為! 今日も魅せてくれるのか、圧倒的な瞬殺劇を! 光の魔術師、エリオーット・パァァーク!」
両手を広げて歩く金髪の青年。高身長に端正な顔つき。彼もまた少年と同じく女性人気が高いが男性のファンも多い。それはエリオットが人一倍の努力でここまで上がってきたことを、応援している人達は知っているからだ。
ルール説明を一通り終えたあと、エリオットが先に口を開く。
「その実力は耳にしてるよ。当然、子供だからといって油断はしない」
「ああ、是非ともそうしてくれ。言い訳は聞きたくない」
二人の遣り取りを見て、ケニー・Jもまた昂る。
「両者ばちばちの睨み合い! ベスト16まで生き残った魔術師は果たしてどのような試合を魅せてくれるのでしょうか! さあ間もなく試合開始です!」
どんな結末が待っているのか。
実況でありながら観客の一人でもあるケニーの横で、審判が高らかに声をあげる。
「レディ、ファイト!」
革の鞘から引き抜かれたレイピアが光り輝き、その鋒が少年へと向けられる。
武具に光を与えるエリオットの魔術、光輝たる剣威。
その効果は武具の強度を上げ、殺傷能力と範囲を拡張するという単純なもの。だが彼は十年以上この魔術だけに向き合ってきた。
彼が術師として花開くまでの辛い時期。周囲に等級を追い越されていく中で、自身の可能性を信じ続けるという不屈の精神をもってエリオットは開花した。
「シッ!」
鋭い突きを虚空に放つエリオット。
光り輝く刀剣から放たれる隙のない刺突は闘技場の範囲内全てに届く。距離をとられたら為す術もない剣士とは違う。
彼は魔術師だ。




