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「それに、見ず知らずの隊員を助けたことも聞き及んでいる。そもそもオリヴィエは私達とは無関係なのに命を狙われた。君が狙われる理由は充分にある、どころか、敵にとっては最優先事項だと思われる」
「……なるほど」
「その為、今後の行き先も知っておきたい。アラディアに滞在している間は私が君を守ろう」
「いや、自分の身は自分で守る。それに、その様子だと知らないようだな」
「知らない、とは?」
「もし俺が元の姿に戻れるよう知りたいことを知ったとしても、エルドラでは元の姿に戻れない」
「……どういうことだ?」
「どうやらオリヴィエからは聞いていないらしいな」
衣服をたくし上げ、上半身に刻まれた術式をアイザックに見せるマーリン。
「これは……」
「俺をこの姿にしている元凶ーーエルドラとブリタニアの術式、その混合だ。そして俺はまだ、両方とも解読できていない」
「……そういうことか」得心がいった様子のアイザック。「もし元の姿に戻るならエルドラではなく、ブリタニアでということになるのか」
害意のある魔術として認識していたが、それはオリヴィエとの出会いでひっくり返った。
少年の手は未だ、何も掴めていない。
「寧ろ敵に知っておいてもらいたい事だ、これは。俺がどれだけ無害な存在か」
はあ、とわざとらしく溜息をこぼす少年。
見た目相応の態度には見えない。
そのことにアイザックは僅かに惑う。
「お前等が俺を守ったところで利はない、何なら恩を売って協力してもらおう、そんな考えが透けて見える。若しくは俺を囮にして敵を釣ろうとしているか、だ」
「…………すまない」
「謝らなくていい。人死にが出ている、できることはするべきだ。だが、協力はしない。これはお前達がーーエルドラが解決するべき問題だ」
何か思うところがあるのだろう。少年を前に拳を強く握り締めるアイザックからは悔しさが見てとれる。
「さっきも言ったが自分の身は自分で守る、餌にするなら俺を泳がせていろ。それと国王に伝言を、アイザック」
「……承ろう」
「俺に気を遣うな、自身を労われ。そう伝えてくれ」
意外な言葉だったのか。
間を置いて、巨漢は頷きを返す。
「分かった、しっかりと伝えておこう。二人とも時間をとらせて済まなかった。いまから闘技場へ?」
「ああ」
「健闘を祈らせてくれ。それと君達の邪魔にならないよう、遠くから見守ってもいいだろうか」
「好きにすればいい」




