7ー12
これで二日目の試合は全て終わった。
自身の対戦相手が決まったことに魔女は複雑そうな表情をする。
たかが数時間の付き合い、偶然の出会い。
それなのにどうして、こんなにも心がざわつくのだろうか。
「ほら、手を振ってるぞ、ドロシー」
「……貴方にでしょ」
「違うな、俺達に振ってるんだよ」
闘技場を見れば、カナメが笑ってこちらに手を振っている。
目を背けたくなるほどの眩しい笑顔。
それにどうして小さく手を振ったのか、ドロシーには分からなかった。
「夜襲ハ仕掛ケナイノカ?」
アラディアの夜は寝静まることなく、路地裏にまで酒場の賑わいが聞こえていた。
人目もなく相対する二つの影。
内の一人ーー罪人が、問いに反応する。
「すると思うか?」
「マサカ。タダ、興味ガアッテネ。魔術王ガドノヨウニ対応スルノカ」
狙われる立場であれば当然、一番警戒しているのは寝込みを襲われることだ。そこに踏み込むことは自身から罠にかかるようなもの。
「マア、データハ明日ニデモ取レルカ」
「準決勝にまで残っていたな、そういえば」
「アテナヲ低ク見積モッテイルノカイ? キミノ所ト同ジデ案外、粒揃イダヨ」
「仕方ないだろう? 瞬殺されているのを目の当たりにしている。まあ、あれは相手が悪いが」
「アア、イルモノダネ、天才ハ。是非トモ欲シイヨ」
「で、シャル達の成果は?」
「殺シタ。明日ニハ広マル」
「そうか」
「君モ、上手クイク事ヲ祈ッテイルヨ」
「心にもないことを」
暗闇に溶けて消えた二つの影。
誰にも観測されず、それらは蠢く。
アラディアの地。
死闘の幕は、もうーー




