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白い場所に立っていた。
見渡す限りの真白い空間は、なんでもある箱庭とは対照的に、何もない。
遠くに何かあるのでは、と遥か彼方を眺めてみるも、何もない。
本能的に、ここはここにはない、箱庭よりもずっと遠い場所であると私は悟った。
床も天井も壁も扉もベッドも窓も本棚も、何もない場所。
本当に何もない、ただ白だけが広がる場所。
私はそこに立ち尽くしている。
素足の裏は冷たくもなく、温かくもない。硬くもなく、柔らかくもない。心地いいわけでも悪いわけでもない。感じたことのない、奇妙な感触だった。
いったい、ここはどこなんだろう?
私は途方に暮れたように立ち尽くしたまま、目を見開き続けた。二十秒経っても、涙は出てこないし、視界が霞むこともない。呼吸で時間が流れる間隔を図ろうとすると、一秒は果てしなく長かった。ずっと息を吐くことができる自分に驚いた。逆に息を吸うことも、ずっとできた。
延々と続く真白に、するはずのないめまいがした。
私は時間の流れに身を任せることにした。再び呼吸に意識を向ける。
一秒、二秒、三秒……。
それは十秒だったかもしれないし、百秒だったかもしれない。
ややもすれば、私には到底数えきれない永遠だったかもしれない。
四秒、五秒、六秒……。
このまま白い場所に居続けた場合、次に起きたときに世界はどうなっているのだろうか。リタやアイリ、ムウはみんなおばあさんになっているのかもしれない。パパがもう居なくなっているのかもしれない。あの家は朽ちて崩れ、私は森の中で目を覚ますかもしれない。
そんなことをぼんやりと思う。
七秒、八秒、九秒……。
次第に、辺りに光がにじんでいく。私は今、光の中に眠ろうとしている。




