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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
48/63

45 幽霊屋敷 7

「な、なによこれ・・・」


「悪趣味だな・・・」


 廊下に出た俺たちの目の前には、床、壁、果てには天井や窓にまで子供の手形、足跡、落書きのような物が書かれていた。

 見渡す限り続くその光景に言葉を失う。

 エントランスへと繋がる扉が半開きになり、ユラユラと揺れている。

 その隙間から見えるものは、この廊下と同じくひどい有様だった。

 騒然としていた廊下にはマナの息づかいが聞こえるほど静まり返っていた。

 無邪気な子供がいたづらをした、と言えば聞こえがいいがどうだろう。実際にはなにかから逃げているように足跡は一定の方向へ向かっているように見えた。


「た・すけて?」


「なにが?」


 俺が振り返ると、そこには困った顔をした彼女がいた。


「ち、違うわよ!ここ、ほら・・・。書いてあるでしょ?」


 マナが指差す方向には、子供、リアくらいの背丈の女の子が届きそうな場所に落書きや手形に混じって小さく『助けて』と書いてあった。


「たすけて?・・・なにから?」


「し、しらないわよ!うちに聞かれてもそんなこと・・・」


 バタンッ!!


「ひぃ!!」


 勢いよくエントランスの扉が閉まる。

 マナが俺にしがみついてくると、勢い余って体勢を崩してしまいその場に倒れてしまう。


「っつつ・・・」


 さすがに、床に思いっきり叩きつけられればそりゃ痛い。

 マナは怖いのか、ただでさえ小さい体を余計に縮こませているように見えた。


「おいっ、マナ。大丈夫だ。しっかりしろ」


 俺が彼女の体を揺さぶると俺の体に押し当てられる柔らかいものが・・・。

 下を向いてみると、これでもかっ!てくらいに押し当てられたマナの胸が見える。

 さっき、風呂上がりに一瞬見た、あの胸が今押し当てられている。


(これはこれで・・・)


「ごめん、いきなりだったから怖くて」


「い、いや。気にするな、仕方のないことだ」


「ちょっと、なんでそんなにやけてるのよ?怖がっているのがそんなに面白いわけ!?」


「ち、ちがう。そうではない!」


 まさか、本当の事は言えまい。


(落ち着け、落ち着け・・・。)


 深く深呼吸をして呼吸を整える。

 一瞬でもあの状況が続けばいい、と思っていたから自然とにやけたのか?


「もしかして・・・エッチなこと考えてた?」


 ビクッ!!と体が動いてしまう。

 エッチなこと?

 もし、抱きつかれて胸が当たる事が卑猥なことを連想することと同義語であれば彼女の意見は正当だろうが、この場合、俺は勝手に胸を押し付けられ、あまつさえ転倒事故もある。

 この場合、俺は被害者だ!。

 別に不愉快ではなかったから、このままでもいいか。と感じただけで、それ以上何も考えていない。


「そんなことを、言っている場合ではないだろう。」


「そ、そうよね。うちってば、どうかしてたわ」


 少し照れたような態度を見せるマナは、ルナにはないいじらしさと可愛らしさがあった。


(なんかもったいねー!!)


 俺が歯を食いしばりながら先へ進もうとしたときだった。


「まって」


「今度はなんだ?」


「えっ?」


 振り向いた俺に驚いた顔のマナ。


「今呼んだろ?待てって」


「うちじゃないわよ!空耳じゃないの?」


「俺は。・・・つまらないいたずらしてないで、進むぞ」


 マナのいたずらだと思い、俺は先へ進もうとするが視界になにか違和感を感じた。

 彼女の裏に見えるエントランスへ通じる扉。

 人間界では、扉に手首が生えているだろうか?

 俺は自分の目がおかしくなったのかと思うような光景を目の当たりにした。


(なんだ?あれは)


 その手首はゆっくりとこちらに伸びてくる。

 肘、肩・・・。ゆっくりと俺の前にその姿が現れる。


「な、なによあれーっ!!」


 視線に気がついたのか、振り向いたルナは驚きのあまり飛び跳ねながら俺の後ろに隠れる。

 俺も、その姿をただ見ているだけしかできなかった。

 不思議だ、あの手から何も気配を感じないぞ・・・。


「待って。そっちはダメ」


 エントランスの閉まった扉をすり抜けて、そこにはひとりの少女が俺たちの前に現れた。


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