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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
47/63

44 幽霊屋敷 6

 1階に降りると、さきほどと変わらない風景が広がっていた。

 ここまで来て全く情けないが、2人を敵にさらわれただけで全く収穫がない。


「マナは、なにか感じないか?」


「なにかって、なによ?」


「そうだな・・・。敵の気配、魔力、なんでもいい」


「うちら女神には気配を探るとかできないから・・・そのへんは人間とあまりかわらないの」


 やはり、マナでは敵を探るようなことはできないか。

 ルナもいない。リアもいない。さすがに焦ってきてはいる。どうしたものか・・。

 一応、エントランスに来たついでに玄関の扉を押してみるが、やはり動かない。

 閉じ込められている状態に変化はないようだ。


「とりあえず、先にすすもう。」


「こっちは、さっき食堂があったわ。」


 マナの手を取ると、エントランスから出て食堂の方へ通じる廊下にでた。


 パタパタパタ・・・。


「な、なに?今の音」


 誰もいなかったはずの2階から子供が走るような足音が聞こえる。

 マナが心細いのか、俺の手を固く握る。


「誰も、いなかったよな?」


「・・・」


 黙って頷く彼女。


「行くか?」


「いやよっ!」


 首を横に振り、拒む。

 まぁ、そりゃそうだ。


「それじゃ、気にせず今は先に進みますかね」


 俺が一歩踏み出した時だった。


 ドンッ!!


 2階から叩きつけるような音が響いた。

 俺とマナは一瞬体が大きく震えた。


「こ、こっちだ!」


 とにかく一番近い部屋に入り、鍵を閉めた。


 ドンドン!!ダンダン!!バタバタバタ・・・


 マナは耳をふさいでしゃがみこんでいる。

 部屋の外。

 屋敷の2階、1階では運動会でも始まったようにうるさい。走り回ったり、壁や床を叩いたり。

 ・・・音は、一斉におさまった。


「マナ、もう大丈夫のようだぞ・・・。マナ」


 俺は彼女の体を揺すると、ゆっくりとその顔を上げた。


「なぁに?今の」


「わからんが、さすがに焦ったな。・・・ん?これは?」


 部屋の隅にある机。その上に1冊のノートが置いてある。

 俺はそれをめくる。

 埃もなく、ついさっき置かれたようなものだった。


「なぁに?それ」


「日記・・・のようだな。子供が書いたようだ」


【○月×日】

 今日は、遠くの町からお勉強の先生がきた。お兄ちゃんみたいな人で、話しやすくてとっても好きになった。


【○月×日】

 今日怒られた。なかなか勉強って難しい。私ができないと、お兄ちゃん先生はすごく嫌そうに怒る。嫌われたくないから頑張らないと。


【○月×日】

 今日、パパとお兄ちゃん先生に褒められた。難しい問題ができるようになった。今度、王都へ見学に連れて行ってくれるって約束をした。パパも賛成だった。すごく楽しみ。


【○月×日】

 いよいよ明日が王都へ行く日。パパも一緒に行くと言ってくれた。久しぶりにパパとお出かけできる。今日お兄ちゃん先生は馬車を仮に隣町へ行くと言っていた。明日が楽しみで今日寝れないかも。


「お兄ちゃん先生?」


「いいとこ、都会から呼び寄せた家庭教師だろう。金持ちだからそのくらいできるんじゃないのか?」


「でも、怒るって書いてあると、厳しかったのかな。」


「どうだろうな。まだ続きがあるぞ」


(ん?)


 ページの合間に挟まっていた紙。そこには問題の解き方が書かれていた。文字からして、大人のものだろう。先生が書いていったものか?


【○月×日】

 今日は王都へ行く日だった。

 でも、お兄ちゃん先生は来なかった。パパも怒ってたけど連絡が付かないと言っていた。


【○月×日】

 お兄ちゃん先生は来なかった。今日は勉強の日。でも、いつもの時間に来なかった。パパにお兄ちゃん先生のことを聞くと怒るようになった。


「どう思う?」


「どう思うって言われても、俺には逃げたようにしか思えないがな」


「やっぱ、そうだよね」


【○月×日】

 今日・・・・先生が来た。・・・・パパ・・・・私・・わからない


【○月×日】

 今日もお兄ちゃん・・・。パパが・・・引越し・・・明日には・・・大好きな家・・・悲しい


【○月×日】

 パパが、今後お兄ちゃん先生のことを言うなと朝食の時に言っていた。

 今日の夜には引越しになる。これが最後のページになるんだと思うと悲しくなる。・・・先生・・・見えない・・・


「最後のページ、ほとんど読めないね。」


「あぁ、なんか、赤黒いインクみたいなので滲んでるな・・・。とりあえず、出てみるか。外も静かになったからな」


 日記を元に戻すと、俺たちは再び廊下に出た。

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