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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
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42 幽霊屋敷 4

 さっき、ほんの数分前に入った部屋。それは人が成せる業ではなかった。


「なに・・・これ?」


「なんだろうな。よっぽど優秀なメイドか執事でもいるのかもな」


 俺たちが見た光景は、ベッドがひっくり返され、机は引き出しが全て抜かれ、カーテンは締まり、クローゼットの中は全て床にばらまかれ、写真は写真立ての中で裏返しにされていた。


「気味が悪いよ・・・。なんなの?これ」


「この部屋にはなにもない。いいから出よう。」


 俺は2人を連れて部屋を出る。

 この部屋には何もなかった。見えない敵による精神攻撃で2人の意識が正常を保つためにはあまり長いあいだここにいない方がいい。と判断したからだ。

 廊下には相変わらず、誰の気配も感じない。


「とにかく、次に行こう。リアも心配だ。どこかの部屋に閉じ込められているかもしれない。今は先を進もう」


「うん、リアちゃん。絶対に助けないと」


 まだ部屋はたくさんある。この屋敷の中のどこかに居るはずなんだ。


「2人とも、俺から離れるなよ」


「うん、わかった」


「しょ、しょうがないから・・・言うこと聞くわよ」


 2人は俺の後ろに手をつなぎながら歩いてくる。

 そのまま、次の部屋の扉を開ける。


「ここはまた・・・。なにもないな」


 次の部屋は殺風景なところだった。

 机がひとつだけ。


「なんの部屋でしょうか?」


「・・・」


 部屋を見渡しても、真ん中に机がひとつ、壁際には机、というよりも物置台みたいなものがひとつあった。


「机の上になにかある・・・」


「なぁに?それ」


「人間の世界の事?これ」


 2人が1冊の本を見ている。


「ここは、勉強部屋みたいなものだろう。子供がいたようだしな」


 ふたりが見ているのは教科書のようなものだ。この田舎街では学校などないからな。金持ちのことだ。違う街から教師を雇っていたのだろう。


「人間の世界もいろいろ大変なのね」


「お前たち、次に行くぞ」


「ちょっと、まちなさいよ!」


 本を机の上に置いて、俺たちは次の部屋を目指した。


 むぎゅ・・・


(むぎゅ?)


 部屋から出た俺は、何かを踏んだ。

 むぎゅ?っと。


「う、うわぁっ!!」


 恐怖に染まる心を押し殺しながら、ゆっくりと下を向いた俺の目に飛び込んできたのは、子供部屋にあった人形の一つだった。

 俺の足に顔面を踏まれ、醜い顔になっている。

 俺は恐怖のあまり慌ててそれを蹴飛ばした。


「ちょ、何やってるのよ!!」


「いや、あんなのがあれば誰でも怖くて蹴飛ばすだろ!」


「蹴らないわよ!」


 2人は俺の背中に隠れながら遠くに飛んでいった人形の姿を見ている。


(た、確かに蹴るのはまずかったか?しかし、あの状況で冷静な判断などできないだろう・・・。)


 針の穴ほどの後悔の気持ちが胸を刺した時、人形は何も言わずにゆっくりと起き上がった。

 顔面は俺に踏まれたせいで、ブサイクなまま。

 見方によっては、顔面を殴られて骨が折れたようでかなり怖い・・・。


「お、起き上がったぞ」


「み、みりゃわかるわよ、どうにかしなさいよ」


「ど、どうにかって・・・」


 俺は近くの壁に飾ってあったレプリカの剣を取り外し、構える。

 人形は、ゆっくりと、こっちに近づいてくる。

 歩く、というよりも床スレスレを浮いているようだ。


「ヴァネットぉ・・・」


「そんな、情けない声を出すな!女神だろう!?」


 ルナが泣きそうな声で言葉を振り絞る。


「だって、もう怖くて怖くて・・・。」


「マナ!なにか魔法は使えないのか!?」


「魔法って言われても・・・」


 あぁ!!もう使えない女神ども!


「お前に恨みはないが、消えてもらう!」


 レプリカの剣を勢いよく人形の首をなぎ払うように振り払う。

 刀身は砕け、壁に突き刺さる。


『キャーーーッ!!』


 人形の首は刎ねられ、壁に勢いよくぶつかるとルナたちのもとへコロコロと転がっていく。

 それを見た2人は叫ぶ。

 ルナはしゃがみこみ目を隠して動かない。

 マナは、涙を目に溜めながら転がってきた人形の頭をひきつった顔で見ている。


 ・・・カタ


『アハハハハハハハッ!!』


 人形の潰れた顔面が歪み、急に笑いだした。

 その声は気が狂っている、としか思えず、男でも、女でもない声が廊下に響く。


「いや、いや・・イヤーーッ!!」


 マナも負けじと?叫びながらその場でジタバタと足踏みをしていたが急に人形を睨みつけると、勢いよく足で頭部を踏み潰した。


(や、やりやがった・・・あいつ)


 俺は何も言えずにその光景を黙って見ていた。

 マナは涙を流しながら、放心状態になり、その場に崩れるように座り込んだ。

 俺は胴体の方に折れた剣を突き刺し、一応動かないようにしておく。


 ルナは目を伏せ泣いている。

 マナは、放心状態で泣いている。

 マナの方が、目を開いたまま心ここにあらず、といった感じで時折不気味に笑う分、みていて不気味だ。

 踏み潰された頭部は、動くことなく、その場で沈黙している。


 俺は壊れた頭部に触れてみるも、魔力を感じることはできない。

 これは、魔族や天使が関係しているものではない。

 魔力を持たぬ者が首謀者だ。

 今、それだけは理解できた。その代償はあまりにも大きかったが・・・。


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