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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
44/63

41 幽霊屋敷 3

 月明かりに映し出された影を見て、俺たち4人は息を飲んだ。

 ・・・なんだ?あれは。

 影を見て、体が石になったかのように動かない。

 2人の女神と2人の魔族は目の前の影に恐怖を覚えた。


「ね、ねぇ?あれなに?」


 マナの言葉で、俺は我に返った。

 そうだ、目の前のあいつらを捕まえてなにか情報を聞き出さなくては。


「お、おいっ!!そこの2人!!」


 俺は階段へ向かって走り出す。

 しかし、影は俺が近づくに連れその姿をゆっくりと消していった。階段を上りきり、廊下を見わたすと、そこには人影も、気配もしなかった。


「ヴァネット~?だれかいたのぉ?」


「いや、見失った・・・。」


 頼りない声がエントランスに響く。

 本当に、あれは生き物だったのだろうか?この一瞬で消えてしまうとは・・・。


「ちょっと!なんで逃がしちゃうのよ!」


「しるかっ!逃げられたものは仕方ない!お前が行けばよかったじゃないか!」


「そ、そんなこと言ったって・・・こ、こわかったんだもん・・・」


「2人とも喧嘩しないで!今はさっきの2人を追ってみましょう。2階にいるかもしれないし」


 階段を3人が昇ってくる。

 俺はその間廊下から目を離さずにただ、部屋、廊下で動くものがいないか見つめていた。

 そして、みんなが2階に集まった。


「よし、この先の部屋、廊下でお前たちが来るまでの間身動きは一切なかった。今もどこかに隠れているはずだ。」


「そ、そうね。そんな遠くに行けるわけないわ。どこかの部屋に隠れて脅かすつもりなのよ」


 そう、影が消えてからそれほど時間が経っていなかった。

 おそらく、近くの部屋に隠れているはず。足音も立てずに廊下の奥まで走ることは不可能に近い。


「リアは、・・・」


 ルナにしがみついて動かなそうなリアを見て言葉を失った。


「このとおりです」


「あぁ、使い物にならんな。」


「こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい・・・」


 呪文か何かか?ひたすら震えながら何かに言い聞かせているかのような彼女。

 連れて歩いても足でまといになるだけだ。


「ルナ、リアと廊下で待てるか?俺とマナは部屋を調べてくる。俺たち以外が廊下に出たり、移動している

 様子がないか見ていて欲しい」


「えっ!?うちがあんたといくの!?」


「私はかまいませんよ。リアちゃんも可愛そうだし。廊下にいても、2人とそう離れるわけではないですから。それに、リアちゃんも一緒だし」


「わかった。部屋は任せろ、そっちは頼むぞ」


 こういう時、ルナのマイペース、というかお気楽さが助かる。リアのように恐怖に狂ったりマナのように気丈になり扱いがめんどくさくならないからな


「いくぞ」


「う・・・うん」


 俺は一番近くにあったドアノブに手をかけると、マナの顔を見つめた。

 少し、緊張しているのか強ばった表情のマナ。いつもは強気で、見下すような顔なのだが、このように恐怖を感じる顔はまた少し可愛げがあるな・・・。俺が魔族だから恐怖の顔が好きなのかもしれんが、普段強気な女が怖がる姿とはまたいいものだ。


「な、なに?どうしたの?」


「い、いや。なんでもない・・・いくぞ!」


 マナと目があった俺は気まずくなり、勢いよく部屋の扉を開けた。

 そこには、何も変わらない普通の部屋。

 子供部屋だろうか?

 大人が使うにはいくらか小さいベッド。

 人形、玩具、洋服が数着ハンガーに掛かっている。


「なにも、いないか・・・」


「ほ、ほんとに?だれもいない?」


「あぁ。いない。よく見てみろ」


 俺の後ろに隠れているマナ。

 こんなでは、コイツもいない方がいいのか?

 照明はつかない。

 窓から差し込む光で部屋が照らされる。

 マナと部屋の中へ入ると、彼女はクローゼットを恐る恐る開けたりしていたが何も見当たらない。


 机の上には写真が1枚。

 子供と、大人の写真。

 この家の家族だろうか?子供は、この部屋の住人だろうな。

 金髪のリアくらいの大きさの女の子だ。

 他には、なにもない。


 風に揺れるカーテン。

 埃もなく綺麗に手入れのされているベッド、机。昨日まで誰かここにいたかのようだ。

 ・・・


「だれだっ!!」


 風に揺れるカーテン。

 そんなわけがない。ここは今窓すらあかないんだぞ!?

 俺はカーテンを振り払うようにめくるも、そこには誰もいない。


「い、いきなりなによ?びっくりするじゃない」


(いない?確かに揺れていたのだが)


「・・・いや、なんでもない。自分の影だったようだ」


「もう!驚かせないでよっ!」


 マナに伝えるか悩んだが、余計なことを離して怖がっても仕方ないと判断した俺は嘘をついた。

 今でも彼女は泣き崩れそうなのだから・・・。


『きゃ、きゃーーーー!!』


「ルナ!!」


 廊下からルナの叫び声が聞こえた。

 マナは目を閉じてその場にしゃがみこんでしまった。

 急いで抱き上げて部屋を出る。

 廊下へ出るとそこには壁際でうずくまるルナの姿があった。


「な、なにがあった!?」


「い、いきなりお尻を触られたの・・・。誰もいないはずなのに」


「リアは!?リアはどうした!?」


「えっ?隣にいたのに・・・。り、リアちゃん?」


 しまった。消えた。

 いや、この場合さらわれた、と言うべきか。

 見えざる敵は俺たちを分散させるつもりなんだ。


【リアっ!!】


 ・・・


【リアっ!聞こえないのか!?リアっ!!】


 テレパシーで呼びかけても返事がない。

 意識を失ったか・・・。それとも死んだか。


「どうしよう・・・。あんな小さい子の手を離しちゃった・・・。リアちゃん、リアちゃん・・・」


「泣くな!今はリアを探すほうが先だ!敵はこの屋敷のどこかにいる!」


 涙をいっぱいに浮かべている彼女も精神的に限界そうだ。

 リアもなついていたからな・・・。


「動く影はなかったのか?」


「うん、だれも。ヴァネットが部屋で叫んだと思ったら、いきなり私のお尻を誰かに触られた気がし

 て・・・。」


 あの瞬間か。

 やはり、見えない何かがいたのか?

 俺にも見えないもの。なんだ?


「マナ、ルナの手を握ってやれ。先は俺が歩く」


「う、うん・・・。お姉ちゃん立てる?」


「うん、大丈夫。早く探してあげないとね、リアちゃん。」


 バンっ!!・・・


 ルナが立ち上がった瞬間、俺とマナがさっきまでいた部屋の扉が勢いよく閉じた。

 俺たち三人は体が一瞬大きく揺れ、驚きを隠せなかった。


 ドンドンドン!!ガンガン!!ドンドン・・・


 部屋の中で数秒、大きな物音が響く。

 何かを壊しているような、それは騒音だった。


「な、なに?これ」


 マナがルナを連れて俺の横に来ると、空いていた手をギュッと握った。


「さぁな。俺にもわからんが、この屋敷が危ないことはわかる」


 物音がピタリととまった。

 さっきの騒音が嘘のように屋敷が静かになる。


 3人は顔を見合わせると、なんとなく雰囲気が扉を開けろ。という方向になった。

 マナは両手がふさがっている。

 ルナは、ショックで涙目。

 俺は、片手が空いている。

 2人は俺を見て頷く。


(俺だって、怖いんだけどな)


 深呼吸をすると、俺はドアノブにゆっくり手を伸ばし、そっと扉を開いた。

 そこには、信じられない光景が広がっていた。


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