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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
43/63

40 幽霊屋敷 2

 エントランスをとりあえず出た俺たちは、2人の案内で客室らしきところで今後の相談をすることにした。


「まず、この屋敷には他に出入り口はないのか?」


 大きめのダイニングテーブルがある。

 その内のひとつに腰を下ろす。


「だから、ルナと見てきてなかったってさっき言ったでしょ!?」


「いや、まずは整理していかないと・・・」


「おおおお兄ちゃん。リアも早く帰りたいよぉ・・」


 俺の正面に座るマナとルナ、そしてここに来てからくっついて離れようとしないリア。

 そんなリアを、この状況でもマイペースにルナは不思議そうに見ていた。


「なんで、リアちゃんはそんなにビショビショなの?」


 あぁ。そりゃごもっとも。

 さっき外で漏らした、とは言わない約束だしな。ただ、本人がこんな調子じゃ多分言ったとしてもわからないか記憶に残らないだろうが。


「さっき外で水たまりで転んだんだ。」


「そっかぁ。風邪ひかないようにしないとね。早く出れればいいんだけどなぁ」


「お姉ちゃん!そんな他人事みたいに言わないでよ!」


「だってマナ、さっき一緒に全部見てきて、どこもしまってたじゃない?ヴァネットたちも来てくれたし、とりあえずそこまで焦らなくても・・・」


「そうだけど・・・。」


 マナの視線が痛い。

 確かに、危機感がないように感じるが性格の違いってやつだな。

 こんな時に頼られても、女神の二人でどうにかできないものを言われてもな・・・。

 マナは屋敷から出れない苛立ちと、ルナのマイペース、さらに役に立てない俺たち。そして見えない恐怖にストレスを感じているようだった。


「外にうちたちのことを知らせるのも不可能よ」


 ため息混じりで、マナが言葉を絞り出す。


「不可能?あぁ。そういえばさっき言ってたな。呼んだりしていたと。全く聞こえなかったぞ?」


「多分、この屋敷全体がなにかの結界に包まれているのではないかと・・・。だからマナの力でも破壊でき

 ず、外部との連絡を遮断されているのかな?っと思うのですが」


「さすがお姉ちゃん!!頭いい!で、その場合どうすればいいの!?」


 いや、そこまでは俺も予想がつく。

 問題はその次。


「結界の元。もしくは魔力を貯蔵している依代を破壊する。・・・でも」


「でも?」


「どこにあるのか、なにが結界の元かわからないのよ・・・」


 そう、俺にもそれがわからない。

 故に、この家から出る方法がない。


「ちょっと、そこの人間!」


「マナっ!ヴァネットでしょ?!名前で呼びなさい!」


「・・・~!。ヴァ、ヴァネット。お前はわからないのか?!」


「まったく。女神様でもわからないモノがわかるわけもないだろう。」


 俺の正論に顔を赤らめて沈黙するマナ。

 正直、俺も意地悪ではなく何も感じない。

 魔力の波動も、魔族の気配も・・・。


「と、とにかく出口を探しましょう。」


 険悪なムードの中、ルナの呼び掛けで、とりあえず屋敷の探索に出ることになった。

 客室の扉をゆっくりと開き、廊下へ出ていく。


(屋敷の中であれば行動は自由なのか)


 不意に、さっきまで俺とリアが歩いていた道にどっかの金持ちの馬車が通るのが見える。


「おぉーいっ!!」


 俺は大声で叫び、扉を開けようとこじ開けてみたり、廊下にあった花台を窓に放り投げるもびくともしない。花台の方がガラスに負け砕けてしまった。

 馬車は何も聞こえない、知らない、見えない。といった様子でそのまま進んでしまう。


「ほんとに、聞こえていないんだな・・・」


「だから言ったじゃない。ホント、信じなさいよ」


「すまないな。一応、確認だ。」


 廊下に散らばった木くずを見て俺を睨みつけるマナ。

 まさか、窓ガラスがこれほど頑丈とは・・・。


「・・・すくす・・くすくすくす・・・」


「ね、ねぇ?ヴァネット。言いたくないんだけど・・・何か聞こえる?」


「なにか?・・いや。俺には何も聞こえないが。」


「そ、そう。ならいいんだけどっ!」


 明らかにおかしな態度でルナは気丈に振舞っているが・・・。誰が見ても強がっているとしか思えない。

 俺には何も聞こえなかったが。


「こっちも、普通の部屋だったのよ。」


 マナは一つ目の扉を開けると、そこには荷物がほとんど置かれていない物置部屋のようなものが見えた。

 窓からうっすらと灯りが差し込む。


「特に、変わったものはないな。」


 俺たちは部屋の中に入り、窓を開けてみるように試みる。が、やはり開かない。

 マナとルナは一度試したんだろう。俺がやっているのをリアと手をつないで見ていた。


(鍵もあいている。冊子がゆがんでいるわけでもない。なぜ、あかないのだ?)


 開けることが無理と判断した俺はガラスを殴るも、びくともしない。


(こりゃ、なにか憑いてるな)


 俺が諦めて3人の方へ振り返った時だった。


 パタパタパタ・・・パタパタ。


『・・!!』


 2階でなにか物音が聞こえた。

 3人は置物のように固まり、抱き合って怖がっている。


「なに?いまの」


「足音・・・のようだな」


「だ、誰かいるのかな?その人がもしかしてうちたちに意地悪してるんじゃ」


「可能性はゼロではないが・・・」


 人間に、こんなことができるのだろうか・・。いくらか疑問だが。


「と、とにかく行ってみましょ。誰かいれば同じように怖がっているかもしれないし」


 ルナの先導で、エントランスに戻り、2階に上がることになった。


「・・っ!!」


「どうしたの?リアちゃん?」


 ルナがリアに手を引っ張られてその場から動けなくなってしまう。


「あああああああ、あれ見て」


 すでに恐怖でまともに喋れなくなっているようだ。マナと目が合い、俺とマナはリアが指さす方向にゆっくりと視線を移すと、そこには月明かりに作られた影が見えた。小さい、リアと同じくらいの影が2つ手をつないでいる姿が映し出されている。

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