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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
40/63

37 露出の多い女神様

「あぁっ!きもちよかったぁ」


『ぶふうぅぅぅぅぅぅっ!!』


 Tシャツとホットパンツでダイニングに入ってくるマナ。

 俺は扉が開きゆっくりと入ってくる彼女の姿を確認すると一瞬でお茶を吹き出してしまう。

 胸のあたりにはTシャツから浮き上がる2つの小さな突起物。濡れた髪、ほのかに赤らむ頬、かなり防御力の低いその短いズボンは何事だ!?


「ちょっと、マナ!ヴァネットがいるのにそんな露出が多いの、恥ずかしいでしょ!?」


「ん?別に恥ずかしくないよ?・・・。でも、あんまり見られたら嫌なんだけど?」


 胸を片手で隠し、少し頬を膨らませ怒る姿・・・。かわいいところもあるじゃないか。

 見るなって、同じ家にいてそれはむちゃくちゃだろう。目の前をチョロチョロと動かれては気になって仕方ない。



 ・・・今は、我が家に帰ってきた。


 せっかく、リアのアイデアで凍らせよう、というところまで行ったのだが・・・。なんせ、俺たちは誰ひとり凍らせる魔法が使えなかった。


 俺は、そもそも闇属性。

 リアは、戦力外。

 ルナは、女神の力が封じられ、回復、ちょっとした攻撃魔法がいくつか。

 マナは、光属性、炎属性の魔法。ほかにも使えるらしいが、凍らせるのは無理。


 そもそもの企画倒れだった。

 そして、あの瞬間マナに降り注ぐ緑のシャワー。

 そこで、全てが終わった。


 神は温厚で、すべての罪を許し慈悲深い。では、女神はどうだろうか?

 慈悲なんて言葉は感じない。最後にはバブルスライムを助けたいとすら思ってしまったぞ・・・。

 バブルスライムは炎属性に抜群の耐久力をもつ。

 でも、無敵ではない。

 マナは、2回目のシャワーで理性が飛び、女神パワー全開で2体のバブルスライムを火炙りにしだしたのだ。


 それも、悶え苦しむスライムを微笑みながら見つめていた。

 むしろ、うすら笑いを浮かべていた。


 そして、スライムへ向かって上空から光の槍を何本も投げ下ろした。

 スライムの体を貫通した光の槍は大地に突き刺さり、スライムの体を固定した。

 そして、突き刺さった部分から少しづつ緑の体液が漏れ、どんどん小さくなる。

 断末魔の声を上げながら縮むスライム。最後は剣で突き刺し真っ二つ。

 ルナも言葉を失うほどの残虐的さ。

 俺も、ただ、緑にテカテカしているキレて女神を見ていることしかできなかった。



 ・・・そして、今は家。


 マナは念願のシャワーが浴びれられて満足そうだ。


「まぁ、やることもないからな。ギルドへ報告へ行ってくる」


「あ、私も行こうか?」


「お姉ちゃんは、うちとお留守番してようよ!」


 台所から出てくるルナの腕にしがみついて離れないようにしているマナ。

 まぁ、こうなることは想像できたさ。

 もう、慣れっこだ。


「それじゃ、リアがお兄ちゃんと一緒に行ってあげるね?」


 俺は椅子から立ち上がり、そのまま玄関へ向かうとリアがついてきた。

 さすがに、あのふたりと一緒では居づらいのだろうか?。


「どうした?怪我が治らんぞ?」


「あそこにいても、マナのお姉ちゃんコールがうるさいからね。こっちについてくれば、なにか美味しいも

 の食べれるかもしれないし」


「おまえ、すっかり人間になじんできたな」


 人間界の食べ物が美味いと感じるとは・・・。言動や立ち振る舞いといい、俺なんかよりよほどうまいな。


「あら?ご主人様こそ?」


「なんだ?そのご主人様ってのは??」


 ごしゅじんさま!? いつも、そんなこと言わないのに。

 どんな心変わりだ?


「私はあなたの使い魔。つまり、あなたがご主人様だからたまには立ててあげようかと思って」


 こいつが意味もなく俺を敬うなどありえない。なにかあるのだろう。

 なにか?


「・・・おねだりってやつか?」


「どうでしょ?でも、ご主人様が買ってくれたら・・・リア嬉しいにゃ?」


「にゃって。それは猫耳のティグのセリフだろ」


 満面の笑みで笑うと、リアは小さな体で俺に駆け寄ってくる。

 小さな手だ。

 子供の、小さなリアの手が俺の手をつないでくる。

 もちろん、偽物とはわかっているが・・・。それでも、不思議と胸にモヤモヤと渦を巻くものがある。

 ほかの人間のように、子供、というものがいたらこのような感情を抱くのだろうか・・・。

 仕事帰りに、自分の娘とこのように夜の屋台へ買い物へ行き、なにかうまいものを食って帰る。

 家に帰ると母親がいて、土産でも買って帰ろう。ダダをこねた娘が仕方ないと笑い合い、帰って一緒に食卓を囲む。あぁ。人間とは暖かく素晴らしい生き物だな。

 リアの母親役は、ルナがいいな。

 一瞬、マナも頭に浮かんだが、俺では手に余るだろう。

 夜風とは不思議なものだ。魔族の俺にこのようなことを思わせるのだからな。



「ここは、いつも慌ただしいな。」


 ギルドの中は今日も忙しそうに人が出入りしている。

 なにがあったのだ?

 また魔族の進撃か?もう勘弁してくれ。


「ほ、干されたお兄さん!今ヒマかい!?」


 カウンターから手を振っているティグの姿。

 いつもなら自分から出てくるのに・・・。あいつは何をしているんだ?


「暇と言えば、・・・」


「お兄ちゃん、今やることないもんね?」


「うるさいぞ。」


「まぁまぁ!その感じだと、バブルスライムは倒したみたいだねっ!」


「まぁな。だいぶ手こずったが・・・」


「うんうん!まずは無事で何より!それで・・・ごめんっ!。報酬は今なくて、明日の支払いでもいいかい?」


「まぁ、構わないが・・・。それよりも、ここはどうしたんだ?今日はだいぶ混んでいるようだが・・・。」


「町外れのお屋敷、この街では有名なお金持ちなんだけどね。なんでも呪われたらしくて・・・。屋敷には悪霊が彷徨っているらしいんだ。」


「悪霊・・・ねぇ?」


 俺はリアに視線を向けると、その視線に気がついたリアは一瞬わかっていないようだったが、自分もある意味、家にとり憑いていた悪霊の類だと理解すると笑っていた。


「そこの除霊を頼まれているんだけど・・・なかなか神官や除霊に自信がある人がいなくて」


 神官?

 女神は、一応神官か?

 女神なら除霊や退魔の魔法や心得があってもおかしくはないともうのだが・・・。


【ルナたちなら、どうにかできると思うか?】


【えっ!?あの2人!?・・・無理じゃないかなぁ。また、マナが暴走して屋敷ごと破壊したらどうするのよ・・・】


【まぁ、それもそうか・・・】


 リアの言うことはごもっとも。

 女神は女神でも、破壊の女神と力が使えないほぼ人間の女神しかいないからな。

 俺も前回の戦いで死霊を使役できない以上、変なことに首を突っ込みたくはない。


「まぁ、誰か見つかるといいな。」


「えっ!?干されたお兄さん、そこは引き受ける流れなんじゃないの!?」


 あっさりと引き下がる俺を意外そうに見上げるティグ。

 そうなんども、おまえさんの手口には引っかからんよ。


「すまん、今回はやめておく。他の2人にも相談してなかいことだしな。他をあたってくれ」


「えーっ!!干されてノリの悪いお兄さん!頼むよぉ!」


 ほ、干されてノリの悪い?

 だいぶ言い方がひどくなったな・・・。こいつ、自分の思うように俺が動かないと評価が下がるんだな。

 だが、今回は絶対に譲らん!


「報酬はまた明日にでも取りに来る。今回俺はパスだ」


 いつものことながら、あいつの頼みを聞いてロクなことにはならないからな・・・。

 俺はリアの手を握るとそのままギルドを後にした。



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