36 バブルスライム 3
「よし、さっさと帰ろう。こんな低級魔族は倒して」
俺はマナを抱きしめ、みどりの体液がびっちょり付いていた。それは、俺の横にいるマナも同じ。
「えぇ。今回はあなたの意見に賛成するわ。早く帰ってお風呂に入りたい。下着までぐっちょりよ」
(下着・・・)
俺はまた。卑猥なものを想像してしまった。
どうしたというのだ。今日は。おかしいぞ?
マナのパンツ。たったそれだけではないか。確かに、ルナと瓜二つだが、こいつはルナではない。
いい加減にしろ!俺!
「あんた、なにやってるの?」
急に頭を振り出す俺を、隣で気持ち悪そうに見つめるマナ。
「い、いや。すまん、その、なんだ。武者震いってやつだ」
「震えすぎでしょ?それ。・・・またなにかエッチなこと考えてたんじゃないの?」
「ばばば、馬鹿にするな!!い、いくぞ!!」
こいつ、テレパシー能力かなにかあるのか?
今日はイマイチ調子が出ない。
俺は愛刀のなまくらソードを軽くやつに切りつけてみる。
ぶにゅうぅぅ・・・。
っと水風船のような体が凹み、一気に反動が来る。
「うおぉっと!!」
弾き返され、体勢を崩すも俺とスレ違いにマナが天界の剣を片手にバブルスライムへ斬りかかる。
(どれどれ。おてなみ拝見とするか)
「やああぁぁぁっ!!」
勢いよく切り込むも、俺と同じだ。
水風船のような体はぶにゅうぅぅ・・・っと凹むが、一気に反動でマナは吹き飛ばされてきた。
「だ、大丈夫か?怪我はないか?」
「だ、大丈夫よっ!、・・・は、はやく離しなさいよっ」
俺は飛んできたマナを受け止めるも、彼女は迷惑そうな顔をして俺の手から離れる。
彼女がいなくなった後には、みどりのヌルヌルが俺の腕に残る・・・。可愛い女の子の残り香。なんて生易しいものではない。ただヌルヌルして不気味な液体がついている。唯一の救いは無臭であることだな。
(ほんとに、気持ちわるいな・・・)
マナは剣で刺したり、斬ったり、いろいろとつついているようだ。
だが、やはり普通の剣できるなどの攻撃は効かないようだな。
「なかなか・・・苦戦しているようね」
「リア!お前、協力してくれるのか??」
「ばかねぇ。するわけ無いでしょ。女神2人の加勢にはいかないの?」
ずっと離れていたところで観戦していたリアがしびれをきかせて文句を言いに来たようだ。
女神の加勢。と言われても・・・。
向こうは向こうでやってるしな。
下手に俺も混ざったらなんかマナに斬られそうだぞ・・・。
「なんだ?文句を言いに来たのか?」
「まぁね。遅いから何してるのかな?って。」
「お前も行くか?」
「じょうだんっ!!絶対無理!わたし、怪我してるし・・・。あなたみたいに汚れたくないもん。」
目を大きく開いて、本気で嫌がる彼女。
リアにはそれほど不快な生物のようだな。
「私、あーゆーの大っきらい。中年の太ってぶよんぶよんなお腹の男の人の精気・・・魔力って好きになれないのよねぇ」
あぁ。コイツはそういう目でこれを見ていたのか。さすがサキュバス、目の付け所が違う。
「なにか、倒し方しらないか?」
「倒し方?そんなの知らないわよ・・・でも、凍らせてみたら?ブヨブヨでも、凍ればコチンコチンになるんじゃない?」
凍らせる。考えてもみなかったな。
液体でも個体にすれば破壊するのは簡単ということか。
「おぉ。なるほど。凍らせるか。魔法でどうにかなるかもしれんな」
「それじゃ、早くしなさいよ?じゃないと、さっきマナのパンツ見てたこと、バラしちゃうから」
「ば、あれは見ていない、事故だ!決して見たくて見たわけじゃ」
「ふぅ~ん。見たくないものを見せられたってことね?」
こいつ、よく俺がマナのパンツ見てたってことわかったな。
いや、でもあれは本当に不幸な事故なんだ。
たまたま、目の前にパンツが現れた。と言うべきか。
とにかく、俺は自ら見に行ったわけではない!
「違うと言っている!」
「はいはい。わたし、眠くなってきたから早くしてね?」
言いたいことを言い残し、再び戦闘から離れていくリア。あいつ、自由すぎないか?
それにしても、本当にあいつ2人にばらさないだろうな。
見てはしまった。
けっこう、いいもの見た。とも思ってしまった。
だが、これは全力で闇に葬らなくてはいけない。あの幼女・・・。絶対に言わなければいいが。
「どうしたの?リアちゃん、なにかあった?」
あぁ。リアの偽物の笑顔と猫かぶりではなくルナの純粋で清らかな微笑みは魔族の俺が言うのもなんだが、癒されるな。
「いや、疲れたから寝ると」
「腕、怪我してるし、早く寝かせてあげなきゃね。」
「そうだな、そこで、リアからの提案だ」
「提案?」
「凍らせてみたらどうかって。液体でダメなら凍らせて砕け。と言っていたぞ」
「おぉ~!リアちゃん、頭いい!じゃ、お願いします!!」
お願いします?
「マナっ!聞いての通りだ。頼む!」
「わかったわよ!今回は指示に従うわ。やって!!」
やって?
「・・・」
ふたりの視線が俺に集まる。
ついでに、背後のリアもこっちを見ている。
(どうしろと??)
「もしかして・・・みんな、水属性の魔法使えないのか??」
『うんっ』
ダメだ。この作戦も終わった。
その瞬間。マナに2回目のみどりシャワーが注がれた。




