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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
35/63

32 人間界でも・・・ぼっち

 魔族の進行から数日。街は再び賑わいを取り戻してきた。

 天から来た光、この場合はマナのことだが、数人の人間が天から凄まじい勢いで舞い降りる神々しい光が町に現れた。と、噂を広めていた。マナが俺とルナのもとへ飛んでくるのを目撃したらしい。

 まぁ、俺にとっては好都合だ。

 まさか、魔族を相手に1人で挑んでいた。なんて言われては今後この姿では活動できない。

 天からの使者が現れ街を救った。

 実際にルナの活躍もあったんだ。いいんじゃないか?それで。


「・・・お前、その腕どうにかなるのか?」


 俺は女神の噴水の前に座りながら街を見ていた。

 その隣には赤毛の幼女。人間の姿に戻ったサキュバスことリアの姿があった。


「そうね、しばらく安静にしてればそのうちくっつくわよ」


 淡々というが、スカルライダーに噛みちぎられた腕がくっつくのか?

 リアは前回の戦いで俺をかばって左腕を失った・・・。と思ったのだが、俺がマナに圧倒されている間に姿を隠し、噛みちぎられた腕を拾ってきた彼女は今包帯でぐるぐる巻きにしている。

 俺をかばって出来た傷なだけあって、俺も多少なりとも責任を感じている。


「その、なんだ。・・・すまない。」


「なによ、ヴァネットらしくない」


「その傷は俺が油断したせいだ。女のお前に怪我をさせてしまった」


「魔族に女も男もないわよ。でも、その感じだと一応責任感じてるんだ?」


「ま、まぁな。使い魔に無理をさせたのは主人の俺の責任だ」


「ふぅ~ん・・・」


 リアはニヤッと笑うと、隣に座っていた場所からもっと、俺の方に寄ってくる。

 隙間もないくらいに。


(な、なんだ?)


「わたし、サキュバスじゃない?」


「あぁ。」


「最近足りないのよね・・・。いえ、ずっと足りてないの」


「な、なにがだ?魔力が欲しいなら多少は我慢して付き合うぞ?」


「ちがうわよぉ~・・・」


 そっと、右腕を俺の腹にところに伸ばしてくる。

 そのまま、ゆっくりとては下の方へ・・・。


「おま、おまえこんなところで何をしている!?」


「だってぇ?協力するっていってたからぁ!」


 俺はリアの手を振り払うと立ち上がる。

 リアはその場に転ぶように前のめりになってしまう。


「こんなところでなんてハレンチな!何処を触っているのだ!どこを!!」


「うぅ~ん。下腹部?」


「そんなはぐらかしても無駄だ!!明らかにもっと下に手を伸ばしていただろうが!!」


「もぉ!いい年したおっさんが照れるんじゃないわよ!」


「・・・2人とも、何してるの?」


 気が付くと、俺とリアの周りには人だかりが出来ていた。

 その人だかりの間から銀髪の姉妹、ルナとマナが現れる。

 昼下がりの噴水の前。いい大人が10代前半の怪我をしている幼女と戯れている。


(確かに、不自然だったかもしれない・・・。ティグにも初めて会った時に言われたしな)


 マナは冷たい瞳でこっちを見ている。


「リアちゃん、怪我は大丈夫なの?」


「うん、今お兄ちゃんと日向ぼっこしてたんだけど・・・、お兄ちゃんが急に立ち上がるから転んじゃって」


「な、おまえ!!」


「ヴァネット、怪我してるんだから優しくしてあげてね?」


「う・・・うむ」


「さぁ、あんなおじさん置いて帰りましょうね、リアちゃん」


 マナはリアの手を引くと3人で帰っていく。

 最近、風当たりが強いな。これは。

 ちなみ、リアの怪我は魔族の進行の日、凶暴化したモンスターに襲われた。と、いうことになっている。女神たちは俺たち魔族とは違い相手の気配や魔力を探る力はないようだ。俺やリアのことも未だに気が付いていないと思える。


(まぁ、この生活が出来るだけありがたいか・・・)


 遠くに消えていく3人の姿を見送ると、俺はギルドへと向かった。



「おぉ、ティグ。なにか仕事はあるか?」


 ギルドも、少しづつ活気を取り戻してきた。

 人も増えてきて、ここは以前のように賑やかになりそうだ。

 ギルドのせわしなく動いている看板娘。いつもならカウンターの席に座っているなど、それほど動き回っている印象はないのだが・・・。


「あぁ!干されてるお兄さん!ヒマそうだね!ちょっと待ってて、すぐ終わるから!」


 元気よく応えるティグ。気持ち悪いから、干されてるに変わったな。

 なぜ?干されてるのだ?


「なぁ、なぜ俺は干されている?」


「町では有名だよ?美少女に囲まれたおっさんが羨ましい・・・。もとい、最近はひとりでいることが多い、ざまぁみろ・・・。いや、喧嘩したのか?って」


「ところどころ、殺人的に傷つく言葉が隠れているんだが・・・」


「まぁまぁ、僕の言葉じゃなくて、あくまでみんなの言葉だからさっ!」


 ホントかよ。

 この猫耳は狸だからな。イマイチ信用できない。

 ただ、干されているのは事実かもしれないが・・・。マナが来てからルナもリアもとられてしまい、確かに物足りないな。

「やぁやぁ、おまたせ!仕事だよねぇ・・・。これはどうかな?新しくパーティー加入した魔法剣士さんもいるし、いいんじゃないかな?」


「なになに・・・」


 モンスター討伐。

 魔族の影響で暴れてる草原のモンスターを討伐せよ・・・。

 相手は・・・


「ば、バブルスライム・・・」


「そう、4人もいれば、なんとかできるんじゃないかな?」


 バブルスライム。

 大人の身長3倍分程度の大きさで、ローションのようにヌルヌルのボディ。魔族の中でも低級の低級。だが、抜群の炎耐性を誇り、攻撃もなかなか効かない。

 やつらは天界に行く魂を捕食することが仕事だ。しかし、移動速度も遅く、それほど人間に害はないと思うのだが・・・。


「わかった。じゃあ、これで行こう」


「うん、頼んだよ!よろしくぅ~!!」


 大きなハンコを依頼書に押すと、ティグは満面の笑顔で俺を追い返した・・。もとい、送り出した。

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