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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
30/63

27 ルナの決意 ルナ目線

「ねぇ、リアちゃん・・・」


 私は、目の前を無言で歩くリアを見ながら迷っていた。

 私は、ヴァネットを置いて、町から逃げ出してきてしまった。

 これから魔王軍が来るというのに、人間である彼を・・・。

 そして、私は人間の少女に守られながら避難をしている。


(女神って言ったって、私に出来ることなんか・・・。私みたいな各下女神じゃ人間を助けてあげることもできない・・・。)


 人間界で、目の前で人間が困っている。

 ひどい目に合っている。

 魔族が現れている。

 そんな時に、仮にも女神の私はなぜ逃げているのだろうか・・・。

 本来であれば天界に属する身として、人間たちを導き、守護するのが私の役目。

 それが、ひとりの人間の好意に甘えて、私は投げ出してしまった。

 既に夕刻。

 西の空は黄昏に染まる。

 彼に命も、この陽の灯りと共に落ちるかも知れない。私は後悔をしていた。


(もし、私が人間界に来なければ・・・)


 私は、自分の仕事がいやで、選定する魂を女神の立場でありながら羨ましいとさえ思ってしまった。

 そして、妹を置いて一人で人間界に逃げ出したのだ。

 当然、無事なわけがない。私は大天使に呪いをかけられた。


 ・・・人間の温かみを知り、他人を愛し、慈しみ、女神としての心を育てること。


 女神としての力は封印されている。ただ、一時的に解放することができる。


 ・・・愛しき人への愛情を持って、くちづけする事。


 それが、女神としての力を解放する唯一の方法。それも、時間制限付きだけど。

 でも、愛情とか、そんなのわからない。

 私はただ、人間みたいに、この世界で自由に生きたかった。

 べつに、誰かと恋をして、家庭を持ちたかったわけではないのだ。

 私には大天使さまからのこの呪い、解除する方法なんてなかった。


「っいた!!ご、ごめん、大丈夫?」


 急に歩みを止めるリア。それに気づかずに後ろからぶつかってしまう。

 リアは終始無言だった

 機嫌が悪いのか・・・。なにか考え事をしているのか・・・。やはり、ヴァネットのことか・・・。


(リアちゃんにとっても、ヴァネットの存在は特別なんだな)


 ・・・も?。

 私は、今無意識に心の中に浮かび上がってきた、リア『も』。の言葉に疑問を抱いてしまう。

 特別って、なに?

 この、モヤモヤ胸に渦巻く感情はなに?

 いてもたってもいられない。今すぐ、ヴァネットに会いたい。

 彼が戦っている。私も、神官として使える少ない魔法で彼を助けたい。

 隣に彼がいない。

 いつも、なんでも知っているような目。

 何があっても動じない、おおきなヴァネットの存在は、こんなに私の心にいっぱいある。


「あぁ、お姉ちゃんたち!無事に避難してこれたんだね。・・・でも、気持ち悪いお兄さんはどうしたんだい?」


 目の前にティグが台車に座り休んでいた。ここは街からだいぶ離れている。彼女の場所から前方を確認すると、所々に街から逃げてきた人たちが休んでいる姿が見える。


「ぁ・・・」


 私は、言葉が出なかった。

 街を守るために、戦うと言って残った。

 ううん。違う。私が置いてきたのよ。

 私が、人間界で手に入れた生きる場所を失いたくないってわがままを、彼は真に受けて魔族が攻めて来る場所に一人残っている。


「いないわよ」


「いない?って。ま、まさか」


「そう、魔族と戦うんだって。」


「な、なんで止めなかったのさ。そんなの無理だよ!殺されちゃう」


 こ、殺される。

 ティグの一言が胸に刺さる。

 私が見殺しにしたのも同然。返す言葉がなかった。


「猫耳のお姉ちゃん、私たちも、次の街まで一緒にいていい?流石に2人だと心細くて」


「あぁ!、全然構わないよ!僕も一人より大勢いるほうが嬉しいからね。森を抜ければ小さな宿場町がある

 からそこまでは一緒にいよう!」


「うんっ!ありがとうねこみみのお姉ちゃん!よかったね!これでとりあえず一安心だよ!」


 リアが私に振り返って、満面の笑みで笑っている。

 そして、すぐに私に抱きついてきた。

 力強く・・・。


「ど、どうしたの?リアちゃん。」


「うんうん、なんでもない。人間って・・・。お姉ちゃんたちって、いい匂いがするし、すごく温かい。

 私、お姉ちゃんの事大好きだよっ!猫耳のお姉ちゃんのことも・・・。でも。」


 ・・・


「・・・リア、ちょっとトイレ!すぐに行くから、お姉ちゃんたちは先に行ってて!」


 私たちにそう言い残し、リアは岩陰に姿を隠した。

 戻りが遅いことが気になり、私はリアを探しに行ったが彼女の姿は既になかった。


「リアちゃん、どこいったのかしら。」


「おぉい!!2人とも、おいてくよぉ!!」


 ティグは出発の準備を終え、再びゆっくりと歩き出した。

 でも、ヴァネットの次はリアまで置いていけない。


「ごめんなさい!リアちゃんが見つからないから、見つけたらすぐに追うわ!先に行ってて!!」


 私はティグに告げると、薄暗くなる街への道をゆっくりと戻りだした。


(きっと・・。ヴァネットのところに行ったんだわ)


 女神として、これ以上人間を見殺しにするわけには行かない。

 私に何もできなくても、なにかの役に立ちたい。

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