26 死霊使いVS死霊
ガンっ!!・・・バラバラ・・・
大きな音を立てて、砕け散った。
骸骨兵と、愛しきなまくらソード。
骸骨兵は上から下へ一刀両断。白い骨をバラバラに砕かれ崩れ去った。目の輝きが失われ、活動停止したことが分かる。
こいつらは死霊。死霊使い(ネクロマンサー)が入ればいくらでも復活できるのだが、俺以外の死霊使いがいるのならそいつを叩くけばいい。だが、だれがわからない。
(これは、我慢勝負だな。)
人間の姿を保ったまま戦う俺の体力、魔力が尽きるか。
相手が数で攻めて来るか・・・。
それが勝負の別れどころだろう。
「に、にんげぇぇん!!」
襲いかかる骸骨兵の群れ。
何十体・・・何百体いるのだろうか。
俺は一気に骸骨兵に囲まれてしまう。
ついこの間まで、俺はこの骸骨兵たちを指揮し、人間を蹂躙する立場だったわけだ。さながらあの骨の剣士スカルナイトのポジションか?確かに、雑兵の裏でのんびり構えていると言われても仕方ないな。
「お前らごときが、我に叶うと思うな!!雑兵ども!!」
砕いた骸骨兵が持っていた魔界の剣かしらんが、また微妙ななまくらソードを拾い上げると俺は一刀両断に取り囲む骸骨兵どもを切り捨てる。
途中、刀身が折れようとも関係なく、力で押し切った。
俺のひと振りで10体あまりの骸骨兵が上半身と下半身を切り離され音を立てて崩れていく。
「主に逆らうとは・・・。この愚か者が。」
1体の骸骨兵には目の輝きが残っていた。かろうじて、意識をつなぎとめているようだ。
「ま、まさか・・・。本当にヴァネット様なんじゃ」
カタカタと骨が当たる。
衝撃で歪んだのだろうか。うまくしゃべれないようだ。だが、こいつらは俺に喧嘩を売った。
人間界とは違い、魔界では勘違いで許されるような、そのような情は持ち合わせていない。
「ふん。人間界の言葉であるな。後悔後に立たず。と良う言葉が。我等魔王軍は、無駄に生き過ぎたのだ。進化を諦めた種族に、未来はない。我らは、人間よりも劣っているのだ。・・・お前を倒した男は、名も無い村の名も無い人間だよ」
「ヴァ、ヴァネットさ-」
俺は最後の言葉を待たずに髑髏を踏み砕いた。
「やるではないか・・・。人間にしておくにはもったいないな・・・」
俺は砕いた髑髏を見つめていると、この現場の大将。スカルナイトが声をかけてきた。
いくつかの骸骨兵の壁を縫いでてきた奴は、骸骨ながら笑っているような骨の動きだった。
「そうか?だったらどうするんだ?」
スカルナイトは両手に剣を持つと、ゆっくりと俺に近づいて来る。
そう、これも魔王軍のやり方のひとつ。人間を一瞬油断させ、襲う。
人間は必ずスキができる。その一瞬を狙うのだ。
だが、俺はそんなやり方には引っかからない。
「俺が進言して、ゴーストライダー様に魔王軍へ入れるように掛け合っていただこう。今、我らが争っていることはなかったことにするのだそれで-・・・あ、あれ?」
俺は手に持っていた折れた剣を奴のスカスカな髑髏へ向かい投げつけると、等身は口を貫き、後頭部を砕き突き出た。
その事に気がつかなかったのか、スカルナイトはあわあわと手を動かし、自分に起きた現状を理解しようとしていた。
「お前ごときに、そのような権利があるわけ無いだろう。戯言ばかり抜かすな。・・・お前のような部下を育てた我の過ちだ。消えろ。」
俺は人差し指に赤黒く燃える炎を作ると、そっとスカルナイトに投げつけた。
「あぎゃあぁぁぁ!!」
スカルナイトの悲鳴が森に響く。
周囲に居るほかの骸骨兵は燃えゆくスカルナイト姿をただ見ているのみだった。
そう、骸骨兵なんて知能は大したことない。自分の親玉がやられても何も感じないだろう。
骨が燃え、黒く変わるとそのままカサカサに乾いた木炭のようになり、それは風に乗り姿を消した。
俺は地面に落ちている剣を数本拾い上げると、街の入口まで走り抜ける。
骨の砕かれる音、大地に散らばる音。剣が何かにぶつかり、無理やり金属を引きちぎるような甲高い音。
ひと振りで3体以上の骸骨兵を砕き、剣が折れるたびに新しいものを調達する。俺は無我夢中で骸骨兵の大群へと突っ込み、目の前に現れた敵をなぎ払い続けた。
敵の攻撃が時折俺の腕をかすることもあるが、そのような攻撃は俺にはダメージと感じさせるものではない。
「そこをどけ!浅ましい死霊ども!!」
俺は大きく魔力を込めた剣でひと振り剣をなぎ払う。
刹那、大きな物音が響く。目の間にいる骸骨兵のほとんどが俺の魔力の衝撃波を受け体を維持できなくなり、その場に一斉に崩れ去る。
(ここを・・・守りぬくのだ。ルナのために・・・)
俺は街の門まで戻ると、街を目指してくる骸骨兵を1体1体確実に破壊していった。




