22 処女かどうかは問題じゃない!
ユニコーンは、大人しかった。
高台で座る銀髪の少女。
それは絵になる美しさだった。
いい感じに順調だった。
このまま、ユニコーンがルナに近づき、心を許した時に鼻にパンチ!!それで今日の依頼は達成されるはずだった。
しかしなぜだろう。あの馬、また様子がおかしい。
「ねぇ?あの馬野郎、また様子がおかしくない?」
「あぁ、俺も気になっていたところだ」
ルナは、いいように役を演じている。
何が問題なのだ?
二十歳以下の乙女・・・。
まさか、ルナが乙女ではないのか!?
俺は、ルナが処女でないはずがない!!と先入観から聞かなかったが・・・。またか?、またユニコーンはそれを警戒しているのか?
「ルナが、・・・処女じゃないというのか・・・?」
「ちょっと、なにそんなショック受けてるのよ!いいからよく見て!さっきとは微妙に違うわ!」
「・・・確かに」
俺はリアに励まされ、心が崩壊する手前で我に帰った。
確かに、ユニコーンは何かを葛藤しているようだった。
でも、なにに?馬の本能に何があったというのだ?
・・・でも、このまま見ていて、万が一ルナを認めなかったら、それはルナが処女ではない。ということになる。
「俺は、ルナを信じる」
「・・・ちょっと、何してるの?」
俺は近くにあった小さな木の実をいくつか拾うと、右手に魔力を込めた。
その光景を見ていたリアは、不審そうに俺を見ている。
「いや、なぁに。失礼な馬野郎のケツに魔力弾を当ててやろうかと。それも痛いだろ」
「ちょ、あんた!さっき信じるって言ってたじゃないのよ!」
「万が一!・・・万が一だ。ルナがこれで認められなかったらどうする。」
「それは、あの子が処女じゃないか、二十歳以上ってことでしょ?見た感じ、二十歳はいってないと思うけど・・・。」
「俺はっ!・・・その時に彼女へかける言葉を持ち合わせてはいない!」
俺は茂みに隠れ、スナイパーのようにユニコーンの尻へと照準をロックする。
「言ってることカッコよく聞こえるけど、なんだかよくわからないわよ!」
「うるさい!使い魔!黙って主人を見守っていろ!!」
「・・・上司は選ぶべきだったわ・・・」
ふん、こっちだって部下は選びたいわ!
これ以上時間がかかるとる何危険が及ぶ。と核心した俺は相手にすることをやめ、全神経を手のひらの木の実と、指に集中する。
(この馬面がっ!!)
俺は怒りの炎に身を焦がしながら、手のひらの木の実・・・いや、魔力を纏った魔力弾を指で弾いた。
バチっ!!!
「!!!!」
表現できないような声で、ユニコーンが泣いた。鳴いた。悲鳴にも聞こえるが。
ルナは驚いてたじろいている。
「リア!ルナを守るんだ!!」
「はいはい。ごしゅじんさまー」
やる気のない声を出してリアはルナのもとへ走っていく。
バチっ!!!
2回目の魔力弾が当たると、ユニコーンは涙を流し空へ逃げていく。
しばらく空で旋回し、俺たち3人を睨みつけると最後に一際大きな雄叫びを上げるとそのまま雲の切れ間に消えていった。
「大丈夫か!?ルナ」
「う、うん。びっくりしたけど・・・。でも、ほらっ!」
彼女が持っていたのは2つのクリスタル。ユニコーンの涙だった。
「おぉ!2つもあるじゃん!お兄ちゃん、さすがぁ!」
二人共喜んでくれている。
俺も嬉しい、ルナが処女か、非処女かユニコーンが判断する前に追い払えたことが・・・。
一瞬、ルナに聞いてみようかとも思ったがそれはやめた。
俺の中では処女。そして今彼女はリアと笑いながら喜んでいる。
それだけで、いいじゃないか。
「やるねぇ、気持ち悪いお兄さん!ユニコーンの涙なんて、そうそうゲットできないのに!」
やはり、俺は騙されていた。こんなレアアイテム、いくら稼ぎが良いと言ってもそんな簡単に手に入らない。
ギルドでは俺たちが持ってきたユニコーンの涙を見て猫耳をピンっと立てながら目を丸くしたティグが感心した顔で出迎えてくれた。
今回はあいつがたまたますぐに現れたが、現れなかったら今頃野垂れ死ぬところだぞ。
「私もリアちゃんも頑張ったもんねっ!」
「うん、すごいよ!僕も驚きだよ!これ、報酬ね!!」
「こ、こんなにいいのか??」
袋いっぱいの金貨を出すティグ。いくらだ?100万Fくらいあるぞ?
「正直、クリアできると思わなかったからね。これでホームレスとはおさらばだね!」
「あ、あぁ。そうだな」
信じられない。ユニコーンのケツをひっぱたいたくらいで100万とは。
人間たちが乱獲したい気持ちもわかるな。
「やったー!今日も美味しいご飯が食べられる!」
「リアも、美味しいご飯食べたぁい!!」
「リアちゃんの歓迎会だね!今夜はたくさん食べよー!!」
俺を置いて2人で外へ飛び出していく。
ルナは、昨日の露店にはまったのか?
リアは、人間の食べ物が食えるのか?口に合うのか?
「お兄さん、そのお金、案外早くなくなりそうだね?」
「そうだな。ホームレスに戻る日も近そうだ。」
ニシシっとカウンター越しに笑うティグ。その笑みを見て、適当に返事をする。
(まぁ、今日ぐらいいいか。)
リアを加えて初めての仕事は、思いがけない大金を手に入れて幕を閉じた。
こんなラッキーでいいのか。俺は。人間界での生活は順調だ。




