21 ユニコーンは処女がお好き
どうにか、リアにコミニュケーションを取り、ユニコーンの鼻を殴るように伝えなくてはいけない。
さて、どうしたものか。
「だれか、誰か助けてー・・、馬面に犯されるぅー」
元々色魔なんだからそんなのお前の得意技だろうが。と言い返したくなる。考え事をしている時は黙っていてもらいたいものだ。
まぁ、やつもすでに泣きつかれてきて声も枯れ、叫ぶ元気もなくなってきたようだが。
このまま黙って見ていても、もしかしたらどうにかなるのではないか?
「ねぇ、ヴァネット。ちょっと、リアちゃん可愛そうかな」
さすがに、ルナもあの異常なまでの怖がり方に対し可哀想。と思い始めたようだ。
しかし、俺にどうしろと。もういろいろ考えている。その結果がこれだ。
(仕方ない。)
俺はため息を付くとリアにテレパシーを使い、馬の鼻を殴れ。と伝えることにした。
このままではらちがあかない。
茂みからリアたちの様子を伺っている時だった。事態は動いた。
ユニコーンはリアに近づくことを諦めたのだ。
いや、諦めた。と言えば聞こえがいいが、実際には近寄りたくなさそうだ。
さっきまでの表情とは違い、明らかにリアを毛嫌いしている。そして、それは一瞬だった。
「げふっ!」
リアがユニコーンの角に薙ぎ払われ丘を転がってくる。
・・・ゴロゴロと。
(どうしたんだ?泣き喚きすぎてうるさかったのか?何が原因なんだ?)
リアを突き落としたユニコーンはブルブルとお怒りの声を上げて再び空へ翔けていく。
「り、リアちゃん。大丈夫?」
ユニコーンの姿がいなくなると、ルナはリアに駆け寄る。
行ってしまった。絶滅危惧種が。なかなかないチャンスが。
「いたた。大丈夫だけど、これはなかなか」
大丈夫、大した怪我ではない。魔族的には。
人間的にはあれだけ転がれば大ダメージかもしれないが。
「大丈夫、キュア・ライト!」
リアのことを抱きしめるルナの体が淡く光る。
おぉ、回復魔法か。そういえば神官、巫女だったな。
「おぉ!お姉ちゃんすごい!怪我が治ったよ!ありがとう!神官さんなんだぁ。知らなかったよ」
「いいえ、元気になってよかった。そういえば、自己紹介とかちゃんとしてなかったね。リアちゃんは、何
ができる人なの?」
「私は調合、調合士とでも言ってよ!道具と材料があれば薬とか作れるんだから!」
「へぇ、調合かぁ。あまり聞かないけど・・・。今度見せてね!」
「うん、このお礼に何か作ってあげるよ!」
(何かって、なんだよ。)
すごく不安だった。
また、コイツはロクでもないもの作るだろうと。
しかし、今はユニコーンが去った理由だ。
「なぜ、あいつは帰ったんだ?」
「さぁ?私はわからないですけど・・・。リアちゃんは?」
「知らないよ!あんなやつ。今度会ったら鼻の頭殴ってやる!」
さっきやれよ。さっき。
まぁ、殴る意志があることはいいことだ。今日のリアは冴えている。
「20歳以下の乙女なら問題ない・・・。はず・・・」
あぁ、わかった。
乙女ではないのか。こいつ。
色魔のリアは、処女ではない。だから、ユニコーンは怒って消えたんだろう。
「なに?ヴァネット。なにかわかったの?」
「えー、お兄ちゃん、分かったならリアにも教えてよぉ?」
リア、キャラが忙しいな。地が出たり、猫かぶったり。
でも、なんて説明しようか・・・。
リアは処女じゃない。
こんな見た目が幼いのに?
この歳で処女じゃないというのは、ルナ的にどうなのだ?
今後、チームワークになにか影響がでないか?
「どうなの!?」
リアが少し怖い顔でこっちを睨んでいた。
考え事していると声が聞こえなくなるものだな。
「あ、あぁ。そうだな。やはり馬だから煩いのが苦手なんじゃないか?」
「そうなのかなぁ。私、どうすればいい?」
「ルナは、黙って座っていればいい。いつもどおりでいい。そして、ユニコーンが近づいたら鼻にパンチだ!」
「パ、パンチ!?」
「そうだ、あいにく、それ以外で泣かせる方法を知らない。」
「わ、わかった。パンチね」
彼女は驚きながらも、殴る練習をしている。
意外と根性があるようだ。人間にしとくには惜しいな。
「ねぇ、それ。私には教えなかったよね?」
「すまん、忘れてた。まぁ、結果的には嫌われたんだから仕方ないな。忘れろ」
「ねぇ!それっておかしいよ!差別だって!」
「そうゆうわけだ。頑張れ。茂みにまたいるから」
うるさいリアを抱き上げると、俺は再び茂みに戻る。
さて、次はいつ来ることやら。
「んで?なにがわかったのよ?」
「なにが?」
ルナから離れると、さっきのユニコーンのネタをぶり返すリア。
「さっき説明したので納得できないか?」
「できない!」
「仕方ない・・・。お前は、20歳以下の乙女か?」
「あったりまえじゃない!どこから見ても可愛い女の子でしょ?」
見た目はな。俺もだから気づかなかった。しかし、ユニコーンは処女にうるさい。それを忘れていた。
「お前、処女か?」
「・・・違うけど」
「だから、はじかれたんだろ」
涙を流しながら、悲しい表情で下を向くリア。そう、お前は乙女ではない。
そして、懲りずに都合よく何度も現れる絶滅危惧種。あいつ、何が好きでこんなところうろついているんだ?そのうち捕獲されるぞ。
「次は、うまくいくかな」
ユニコーン戦、第二ラウンドが始まる。




