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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
23/63

20 ユニコーンの涙

 俺たちは、また騙されたのかもしれない・・・。

 町をでて少し歩くと、森を抜け、広い高台にでる。そこに現れるユニコーンの涙を持ってくる事が依頼だった。


 ユニコーンは、女たらしだ。

 そうだな。たとえがないのが残念だが、女なら基本ストライクのはず。ただし、20歳以下の女に限る。それが彼、ユニコーンの条件だった。

 角があるのがオスらしい。


「こんなところがあるんですねぇ!すごい・・・。風がきもちいい」


 ルナは高台の、一番上まで登りきると両手を広げこっちを見ている。

 俺たちも少し遅れて頂上にたどり着く。

 ここに、ユニコーンが来るらしい。

 ユニコーンの涙は純度の高いクリスタルになると言われている。

 涙を流し、大地に落ちる頃には結晶化されると噂されているが、この俺も見たことはない。


「ユニコーンに、ばれたりしないかな?私たちのこと」


「獣ごときでは、正体まではわからないだろう。魔族ということはバレるかもしれんが。所詮女好きな獣だ」


 相手が喋る魔物なら警戒は必要だが、所詮馬の化物。人語が話せなければ俺とリアが魔族とバレたところで、ルナにそれが知れることはないだろう。もし、万が一にもルナにバレることがあればこのなまくらソードで真っ二つにしてやる。


「何を話してるんですか?」


「なぁに、ユニコーンがルナとリア、どちらが好みなのかな?と思ってな」


 ルナが心配そうな顔で見てくる。


「リアちゃん可愛いから、きっとユニコーンもメロメロですね!」


「そうかなぁ、お姉ちゃんは綺麗だし、ユニコーンもお兄ちゃんもメロメロになっちゃうんじゃない?」


「えっ!?お、お兄ちゃん・・??」


 このばかっ!また余計なことを・・・。

 せっかく意識してなかったのに、ギルドでのことを思い出し顔を赤らめる彼女。


「誰が?・・・誰に?・・・なんだと?」


「ひ、ひゅあっ!・・こ、こわいよ?お、お兄ちゃん?」


「ユニコーンの餌にしてやろうか?・・・このガキ」


 リアの両手を掴み、そのまま中吊りにして持ち上げる。

 足をジタバタとして暴れる幼女。端から見たら真の変態、もしくは虐待だな。これは。


「いやいや!!それはまずいって!!仲間じゃん!今のはかるい、雲よりもかるぅ~い冗談だよ!冗談!」


 冗談・・・ねぇ。

 俺は視線をルナに移すが、彼女はもう冗談では受け取っていないようだ。

 なんだ?なにがあったんだ?昨日まで普通だったじゃないか。


「リア、俺たち、仲間だよな?」


「う、うん。なにをいきなり?」


「チームワークって、知ってるか?」


「い、一応」


 リアの顔に詰め寄る。それこそ、くちびるがくっつくんじゃないかってくらいに。

 俺はじーっとリアの目をしばらく見たあと、に手を離し、地面に下ろした。


「よし、リアよ。俺たちは茂みに隠れる。ユニコーンもこれほどたくさんの人間がいたら来ないだろう。お前一人でここにいろ」


「ぅええ!?いやだよ!置いてかないでよ!!」


「大丈夫、すぐその辺にいるから」


 子供のように真剣に泣きじゃくるリア。これは、演技なのか?本気なのか?


(こいつ、ほんとに人間みたいだな・・・。)


 泣き喚くリアを振りほどき、俺とルナはユニコーンに見つからないように茂みへと身を隠す。


(来るのか?こんなところにユニコーンなんて)


 ユニコーンは数年前に魔界で乱獲が全面禁止。さらにもし人間に襲われるようなことがあれば全面的に守るように、とお達しがでたばかりだ。

 天界や、人間どもがユニコーンを私欲のために乱獲し、飼い慣らしているとまで噂には聞いたことがある。

 ウソかホントかしらないが、生育数が減っていることは確かだ。

 そんな絶滅危惧種のユニコーン。来るなら大したものだな。


「来ますかね!ユニコーン」


「ルナは、見たことあるのか?」


「いえ、ないですけど、見れたらラッキーじゃないですか!」


 この世間知らずは、冒険ができて、楽しければいいようだ。

 俺の隣で目を輝かせている。


「そうか。来るといいな」


 俺は長期戦になることが想定されたので、草むらの上に横になる。

 人間界の草原とは、魔界の毒の沼地と違ってチクチクしないものだな。

 そんな、そうそう絶滅危惧種に会えるなら苦労せんよ。


「き、来ましたよ!!」


「何が?リアが泣きながら帰ってきたか?」


「違います!ユニコーンですよ!!」


「なにぃ!?」


 俺はなにかの見間違いだろうと思ったが、ルナの指差す方向を見てみる。

 確かに、ユニコーンだ。

 翼もないくせに、空を飛ぶように翔けるその姿。長い一角。紛れもないユニコーンが今、リアの近くにいる。


「すごぉい・・・。初めて見た」


「・・・。」


 俺は言葉が出なかった。

 ユニコーンが来たからもある。しかし、大前提にリアに言い忘れた。

 ユニコーンの泣かし方。

 まぁ、鼻を強く殴ればいいのだが・・・。

 動物、誰しも痛ければ泣くだろう。あいつがそれに気がつけばいいのだが。


「ヴァネット!リアは上手に出来るかしら?」


 こいつ、泣かせ方を知っているのか?

 何を上手にするのだ?

 突っ込みたいところは色々あるが、今は黙っておこう。

 ちなみに、テレパシーは今は使えない。ユニコーンは感が鋭く、感受性が強い。万が一、何か悟られたら面倒だからな。リアにも言っておいたが・・・。あれではきっと忘れているな・・・。

 なんせ、ユニコーンを見ながら号泣しているのだから。

 ユニコーンも困っているではないか。近寄っていいのか、悪いのか。

 おそらく、ユニコーンからしてみても遭遇して喜ばれることはあっても号泣されることはそうそうあるまい。


「見て!ユニコーンがゆっくり近づいてる!!」


 泣きじゃくりながら、首を横に振り獰猛なモンスターか動物と遭遇した時のような暴れっぷり。


(ダメだな。あれじゃ。)


 とても、二十歳以下の清らかな乙女って感じではないぞ。


「あっちいけ!この馬面!そんな顔で見るんじゃない!来るな!来るなぁ!!」


 ギャーギャー喚いてばかりだ。

 おとなしく座ってればいいものを・・・。

 ルナは、2人に興味津々。リアは、獣に戦々恐々。どうするか、これ。

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