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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
21/63

18 登録は速やかに

「随分早かったね。気持ち悪いお兄さん・・・」


「ま、まぁな。お前も早くしろと言っていてたからな」


「た、確かに言ったけど・・・」


 俺たちはティグと別れたあと、ルナに見つかる前に、これ以上ややこしくなる前にギルドの扉が開くのと同時に中に入った。

 誰もいないギルド。なぜだ?どことなくティグの顔が引きつっていて、気まずい。


「久しぶりだね。開店と同時に来る人・・・。ま、まぁほら。新しい仲間は大歓迎だよ!僕は-」


「僕はティグ、このギルドの看板娘なんだ!よろしく。・・・だろ?」


「・・・気持ち悪いお兄さん。やるねぇ。記憶力もいいお兄さんじゃないか」


 お決まりのセリフを言い出す前に、噴水での仕返しを兼ねてティグの言葉を遮る。


(ふふふ、してやったぞ。小生意気な猫耳め。)


【お、大人げない・・・】


 俺の頭にサキュバスの声が届いた。

 テレパシーでつながっている以上、相手の気持ちも流れてくるのだ。

 おれは、無言で睨む。

 他人には何も聞こえていない以上、知らんぷりして誤魔化すサキュバス。


「はぁ、新しいセリフ考えようかな。気持ち悪いお兄さんに覚えられちゃったし・・・。はい、これ」


「な、なんですか?これ。」


 ルナの時と同じように、紙を一枚サキュバスへ手渡す。


「お兄さん、知ってるでしょ。代わりによろしく!僕、朝礼に行かないといけなくて」


 そう言ってティグは若干めんどくさそうに言い残してカウンターの裏にある扉から出て行った。


「ほらぁ、あんな小さい子いじめるから、すねちゃったんですよぉ」


「うるさい、黙れ。元はお前のせいだ。・・・それに、あいつは子供じゃない。」


 近くのテーブルでエントリーシートを書くために座る俺たち。

 このギルドには、今は誰の気配も感じない。


「子供ですよ。あんな小さいのに」


「あれは東の大陸にいる民族だ。猫耳が特徴のな。成長が15歳程度で止まる。あいつらは魔法に長けていて、お前など即殺されるな」


「あ、あんなに可愛いのに、そんなに強いんですか?」


「お前、俺よりも人間界に長くいるのにそんなことも知らんのか」


「私の世界は、あの家の中だけですからっ!すいませんね!」


 ベーっと舌を出してサキュバスは紙を書き始めた。


「あのー、職業って、なんですか?」


「それは、特技とか、自分にしかできないことみたいなものだな」


「あぁ。じゃあ色魔ですね」


「あぁ。色魔・・・って馬鹿かお前はっ!そんなこと書くな!」


 俺は書きかけの紙を奪い取ると、色魔の部分を上からグリグリと塗りつぶした。


「馬鹿だ。お前は馬鹿だった。いいか?お前と初めて合うやつが、いきなりズボン脱いで襲ってきたらどう思う?」


「この人、よほど性欲が強いんだなぁって」


「その幼女の見た目で卑猥なことを言うな!」


「そしたら、その幼女に卑猥な質問やめてください!」


 ・・・

 ま、まぁ。言い負かされてしまったが、これでこいつがまともな思考回路ではないことだけはよくわかった。

 さて、どうしたらいいのか?コイツの特技・・・。

 色魔以外に思いつかない。


「お前、特技あるのか?」


「それは、サキュバスの特殊能力以外で、ですか?」


「当たり前だろう」


「そうですねぇ・・・」


 はぁ。こいつとルナを引き合わせて大丈夫だろうか。

 ルナに変なこと言ったり、しなければいいが。


「あっ!私、調合ができます!」


「調合?」


「はい!材料と道具さえあれば。ずっと昔、こんなにここが大きくなる前に調合をしているおばあさんをず

 っとみてて、なんとなくできるようになったんです!」


「いいではないか。では、特技は調合にしておけ」


「はいっ!ヴァネット・・・お兄ちゃんの役に立てるように頑張るねっ!」


「なぜ、言い直した?」


「だって、この人間界で、平穏に暮らすのが夢なんでしょ?」


 ま、まぁな。

 そう言われると、何も言えない。

 意外と、こいつも家の外に出られて楽しいのかもしれないな。

 急に人間を襲うこともないし、色欲に狂わなければ案外いいやつなのかもしれない。


「お待たせっ!気持ち悪いお兄さんたち!書けた?」


「どうなんだ?」


「うんっ!こことぉ・・・これで・・はいっ!お姉ちゃん、書けたよ!」


 サキュバスは紙をティグへ渡す。


「え、え~と・・・。ごめん、さっそく聞きたいんだけど、サキュバスって書いてあるんだけど、・・・読み間違いかな?」


「な、なに!?」


 俺は急いでティグから紙を奪い取った。

 た、確かに書いてある。


【あははっ、気にしてなかったわぁ】


【・・・】


 心底、コイツが嫌いだ。このバカさ。絶対に今後役にたたない。

 俺は無言で紙を破り捨てた。


「あぁ!ちょっとお兄さん!!」


「すまん、ティグ。もう一枚用意してくれ。こいつ、文字がちゃんとかけないようだ」


 俺は余りにも馬鹿なサキュバスにどっと疲れを覚えて椅子に倒れるように座り込んだ。

 ダメな部下ほど可愛い?

 まったく、理解できない人間の言葉だ。

 文化の違いは、死霊の王となった俺の頭を悩ますほど深刻だった。

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