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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
20/63

17 言い訳

 俺は、家を出た。

 サキュバスと共に。

 もし、このままあの家にいたらルナになんと言われるかわかったもんじゃない。


 酔って記憶を失った次の日に俺の他にもうひとり増えている。しかも、女。

 この状況をどう説明しろと?

 一応、『ギルドへ行ってくる。』と書置きは残してきたから探しに来ることはないだろうが・・・。


「それにしても・・・。お前、もう少しまともな格好ができんのか?」


「し、仕方ないでしょ?人間なんて知らないし、変身出来るだけありがたく思ってよっ!」


 隣に、ルナよりも小さい女の子。

 赤い髪の、紫色の瞳の12歳くらいの女の子がいる。


(年増のくせに・・・なぜ幼女に。変態色魔め)


 俺は若干、本当に微々たる軽蔑の眼差しをサキュバスに送ると、彼女は少し苛立った顔をしていた。


「なぁに?何か言いたいことでもあるわけ?」


 声まで子供だ。

 純情そうな皮をかぶった色魔め。


「いや、別に。・・・それにしても、声まで変わるんだな」


「まね。そっちはどうなのよ?」


「・・・意識したこともない。人間になるのも、初めてだしな」


 女神の噴水までくると、再び腰を掛けて朝日の市を眺める。

 とんだ厄介者を拾ってしまった。

 しかも、幼女とは・・・。さて、どうしたものか。


「ねぇ?まさか、私のこと捨てようとか思ってないよね?」


「・・・」


「ちょっと!返事くらいしなさいよ!」


「うるさい。今考えてるんだ。・・・」


 頭が痛い。

 人間の娘と、サキュバス、しかも幼女モデル。

 この二人をどのように引き合わせたらいい?


「お兄さん?・・・って、もしかして気持ち悪いお兄さん?」


「あぁ?」


 俺が顔を上げると、そこには猫耳のティグが紙袋を両手で抱えて立っていた。


「お前、いつまでその気持ち悪いってのついてくるんだ?」


「あははっ!もうお兄さん=気持ち悪いだからねっ!飽きたらやめるよ!それより、どうしたんだい?こんなちっちゃい子連れて歩いて・・・。幼女誘拐の依頼かい?」


「どんな依頼だ。むしろ、そんな依頼来ても断れよ」


「あははっ!ちがいない!まぁ、冗談はいいとして・・・よいしょっと」


 ティグは俺の隣に腰掛けると、紙袋の中から大きなりんごを取り出した。


「まぁ、食べなよ!今日はお姉さんのおごり!そっちの可愛い子も、一緒にどうだい?」


「わぁっ!どうもありがとう!猫耳のおねえちゃん!」


(おいおい、こいつ、どっから声出してるんだ?)


 聞いたこともないような声、見たこともない笑顔・・・。不気味な物をみるような顔でサキュバスを見つめる。

 その視線に気づいたサキュバスは小さく・・・


「揉んだくせに・・・」


 耳元で囁く。


「き、貴様っ!それは今後口にするなと!!」


「きゃーっ!!お姉ちゃん!こわいよぉ・・・」


 俺が立ち上がるとサキュバスはティグの背中に隠れてしまう。

 くそ・・。あれほど口に出すなと言ったのに・・・。


「気持ち悪いお兄さんっ!ダメだよ!いじめたら。気持ち悪くて幼女をいじめる変態なお兄さんになっちゃうよ!?」


「・・・もう、どうにでもしてくれ」


 俺は馬鹿らしくなり、その場に座り込む。

 ティグの背中に隠れているあの憎たらしい笑顔の小娘・・・。後で覚えてろよ。


「それで、お嬢ちゃんはなにしてるの?この変態なお兄さんと」


 あぁ、気持ち悪いから変態にランクアップしたのか。

 魔王軍最強の戦士も終わりだな。


「わ、私は・・・その。お兄ちゃんと一緒に旅がしたくてっ!!」


「・・・ええぇぇえっっ!!!お、お兄ちゃん!?おに、おにお兄さん!妹がいたのかい!?」


「いや、・・・俺も初耳だ」


 こいつ、何を言い出すんだ?

 昨日やはり殺しておけばよかった。

 もし、神に懺悔する時が来るならば、こいつを生かしたことを悔いたい。


「は、初耳って!自分の妹を他人のようにするなんて、人間のすることじゃないよ!魔族だ!このお兄さん心は魔族なんだよ!」


 おぉ。一周回って核心を突いたな。

 魔族だから、仕方ないよな。そりゃ。


【おい、どうにかしろ】


【ど、どうにかって言われても・・・。この人間、めんどくさいよぉ】


【とにかく、今すぐ妹は取り消せ】


 俺は使い魔にしか聞こえないテレパシーを使い、サキュバスにこの現状をどうにかするように伝えた。

 なんせ、目の前で小さな猫耳が飛び跳ねながらうるさいのなんの・・・。俺の意見は聞かないし、正直たまったものではない。


「あ、あのね。お姉ちゃん。そのひと、お兄ちゃんなんだけど、ホントのお兄ちゃんじゃないの」


「え?どういうこと?」


「その、名前が呼びにくいからお兄ちゃんって言ってるだけで、・・・その・・・」


 なにか取り繕ってる感はあるが・・・。それでもティグの心が動き始めたぞ!そのまま押しきれ!誤解を解くんだ!


【もうひと押し!なんでもいいから行け!】


「お兄ちゃんは死んじゃったから、その人が新しいお兄ちゃんになったのぉー!!」

 ・・・

 終わった。なんでもいいとは言ったが、またわけのわからないこと・・・。

 こいつ、言ってることがめちゃくちゃだ。


「え?お兄ちゃんは死んじゃって、この人が新しいお兄さん???なにがどうなってるんだい?」


 俺が聞きたい。

 ティグは収拾がつかなくなり、俺に説明を求める眼差しを送る。

 さて、どうしたものか。


【しゃべるなよ。なにも。】


 俺はきつめにサキュバスに言い聞かせると、弁解を始めた。


「その、なんだ。こいつの実の兄かは知らんが、森で二人してモンスターに襲われててな。それを助けたんだが、兄の方は間に合わなくてな。すまないことをした。そこで、放ったらかしにもできないから俺が今面倒を見ている。・・・ただ、それだけだ」


 おぉ。我ながらうまいフォローじゃないか。

 流石は魔王軍最強!こんなこともそつなくこなすなんてデキる男は違うな。


「ふぅーん。そうなのか。さっきは幼女好きとか、魔族とか、ロリコンとかひどいこと言ってごめんよ。お兄さんは気持ちわるいけど、優しい気持ち悪いお兄さんだね!」


 優しい気持ち悪いって、随分悪化したぞ。それ。

 魔族の方がかっこいいし、随分マシに聞こえる。


「ま、まぁ誤解が解けなたならかまわん」


「うん、ごめんよ!てっきり銀髪のお姉ちゃんに愛想つかされて逃げられたのかと・・・」


「あいつは、二日酔いで寝ている。」


「えぇ!そんな大酒飲む人に見えなかったのに・・・。見た目だとわからないねぇ」


「そうだな、俺も意外だった・・・。」


「ところで、そのお嬢さんもギルドに来るのかい?」


「ギルドに?」


「うんっ、パーティーに加えるなら、早めに申請してね?それじゃ、僕は行くよ!それじゃあ!」


 なんなんだ。あいつは。

 散々言いたいこと言って、嵐のように消えていったな。


(パーティーに入れる・・・か)


 そうか、新しい仲間だ。と、言えばルナも納得してくれるかも知れない。猫耳のお節介も、役に立つものだな。

 俺はサキュバスの手を掴み、ギルドへと向かった。

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