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女神の彼氏は死霊使い?  作者: き・そ・あ
本編 神も悪魔も幽霊嫌い
12/63

9 パーティーを組んだけど・・・

「この町に住んでいるんですか?」


「いや、俺は昨日この町に来たんだ。」


 俺たちは、噴水の前を離れて街を歩いていた。

 彼女もまた、世間知らずなのかこの町のことが物珍しいようで子供のようにはしゃいでいた。

 お昼を過ぎた頃から露店はその数を減らし、いつの間にか昨日俺が来た時の町並みに戻っていた。


「そうなんですか・・・。私、行くところがなくって。・・・この街に住んでみようかなぁ。」


 彼女より1日ばかり先輩の流れ者である俺は、彼女の考えが甘いのではないか?と気になった。

 こんな子供が、一人で生きていけるほど人間界は生ぬるいものではない。


「行くところがないとは?親や家族はどうした?」


「それは・・・」


 言いにくそうに口ごもってしまう。


「すまぬ、立ち入った話を聞いてしまった。・・・よければ、俺にも力になれることはないか?」


「いやいや、そこまでしていただくわけには」


 なにか、彼女には人に言えない秘密があるのだと感じた。

 今まで数多くの死霊を見てきた俺の目がそう言っている。ここで見捨てるのではなく、彼女が自立できるまで面倒を見るのが真の慕われる上司になれるのではないか?

 俺はそう思うとますます彼女を助けたい。と、思う気持ちが胸にこみ上げてきた。

 あの、澄んだ青い瞳でもう一度見てもらいたい。心が、魂が浄化されるような感覚・・・。

 まぁ、実際に浄化されると死ぬが。


「なに、たった1日だが流れ者の先輩として、お節介をさせてくれ。自立できて、大丈夫と思えば消えるさ」


「は、はぁ。それじゃ・・・私もどうしたらいいかわからないので、最初だけ」


 彼女は断るにも断れないような空気になり、そのまま俺の意見を受け入れてくれた。


「うむ。年上の言葉には従っておくべきだ。まずはギルドへ行こう」


「ギルド?」


「お前、ギルドも知らないのか?」


 俺の他にもギルドを知らない人間がいるとは・・・。

 この世界にも世間知らずはいるものだな。


「す、すいません。有名なんですか?その、ギルボ?」


「ギルドだ。ギルドとは、職をさがす場所だ。生きるためには仕事をする、仕事をするためにはギルドへ行く。これは必須だからな。覚えておきなさい。」


「あ、ありがとうございます!」


 つい昨日、猫耳から教わったことを少し自分なりにアレンジして伝えると、彼女はとても喜んだような顔をしていた。

 その姿を、魔王軍の仲間とダブらせてしまう。

 もし、俺にも人徳があって、部下とこういう会話が出来ていれば・・・。

 そんな気持ちを隠しながら、俺はギルドへと足を運んだ。



「ティグ、邪魔するぞ」


「あぁ!気持ち悪いお兄さん!初仕事どうだった?」


「ど、どうも・・・」


 俺の後ろから顔を出すルナ。

 彼女を見るなりティグはカウンターを飛び越えてこっちに迫って来る。


「ど、どどどどうしたの?!そんな可愛い子連れてっ!」


「ふ、・・女神の噴水のところでな。一人でいたから話して、その流れでここに来た」


 凄まじい勢いで詰め寄る猫耳に圧倒されて後ろへ後退してしまう。

 なんだ?俺がルナといると珍しいのか?


「気持ち悪いお兄さんだと思ったけど、まさかこんな可愛い子連れてくるとは・・・。まぁ、歓迎するよ!よろしく!僕はティグ!このギルドの」


「看板娘。なんだろ?」


「ちょっと!僕のセリフ取らないでよ!。まぁ、そういうことでよろしく!お姉ちゃんは?なんて名前なんだい?」


「わ、私はルナです・・・その、可愛いですね。その耳」


 猫耳に握手を求められ、それに応えながら、ピクピクと動くその耳に興味を持ったのかティグの顔ではなく耳ばかり見ているルナ。


「いやー。そこまで見られると恥ずかしいな。この大陸じゃ珍しいみたいだね。僕の耳。なれればどうってことないから!2人はパーティーを組むの?別々?」


「・・・」


「・・・」


 俺には初めての言葉だった。

 パーティー?

 あれか?今日はお疲れ様ー!とか。打倒勇者記念!とかでやるあれか?


「ヴァネット様、・・・いえ、ヴァネット。パーチーって・・・なんですか?」


 小声で裏からルナの声が聞こえる。

 パーチー。そうか、パーティーではないか。聞き間違いか。

 それにしても、パーチーも聞いたことないぞ。

 どうするか。組む。というからにはタッグ戦か?二人で戦えってことか?何と?ほかの冒険者とか?


「どうするのさ?組むの?組まないの?・・・あ、あーんと・・・ルナちゃんだったよね。この紙!必要だから書いといてね!」


 ティグはどっから出したのか昨日俺が書いたものと同じ紙をルナへ手渡す。


「ティグは、どっちがいいと思う?」


 俺は、判断できなくなり、考えることをやめた。

 個人戦でも、人間には負けない。

 タッグ戦でも、個人でも関係ない。人間のやり方に任せようじゃないか。


「そうだねぇ。うーんと?ルナちゃんは神官、巫女かぁ。ヴァネットは戦士だったもんね。いいんじゃない?パーティー組めば。攻撃と回復なんだから相性はいいでっしょ!」


「ティグの意見に従おう。それで頼む」


 なるほど・・・。パーティーとは仲間、チームのことか。

 難しい言葉を人間は使うな。

 しかし、人間界でこうも早く仲間ができるとは・・・。幸先がいいではないか。


「ヴァネットって、戦士だったの?」


「あ、あぁ。一応な」


「丸腰だったから・・・。全くわからなかったわ」


「だってこの人、昨日までホームレス直前の人間だったからねぇ!そりゃ剣も買えないよ!」


 高笑いしながらルナの書いた紙をもってカウンターの向こうへ戻る猫耳。

 なにも、こいつにそのことをばらさなくてもいいものを・・・。


「そ、それにしても神官とは・・名前が女神と同じだけではなく、神に仕える人間だったとは」


「そ、そんな。神官なんて言っても・・・下っ端女神だし・・」


「なんだ?なんかいったか?」


「い、いえ!なんでも!!」


 なにかモニョモニョ言っていて最後は聞き取れなかったな。


「ま、まぁ。これから先頼む。まずは、家を確保しよう!」


 俺たちはまず、衣・職・住の住を手に入れることを決めた。拠点がなくては、落ち着かないからな。

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