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デジタルな世界で生きるアナログな僕ら  作者: 久遠
狐疑逡巡自己矛盾あゝ無情
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16/20

十四

 規則的に並ぶ光が照らしている道を、物思いにふけりながら、一人歩く。

 少しだけ肌寒い空だが、湿気もなく気持ちの良い風だ。

 暗い小路を進んでいると、突然、露出している左腕に痛みを感じた。


「……っ」


 何かがかすったような痛み。鋭利な物で切られたというより、小さなものが高速で通り過ぎた、という感じである。

 左腕を確認すると血が出ていた。見たところ大した傷ではない。しかし、小さな傷口に熱い痛みが走り、その波打ちに心臓が呼応する感覚が奇妙であった。

 闇の中の微かな照明下で目を凝らし、幾ばくか傷を眺めてから、早く帰って手当てしようと思い、顔を前に向ける。

 刹那、砲丸ほどの大きさの石が目の前から向かってきているのが分かった。分かったと言っても、認識できただけで、どうすることもできない。避けることもできないし、それを跳ね返すなんて尚更だ。

 とてつもない勢いで迫る塊。当たれば頭が吹き飛ぶかもしれない。そんな恐怖を抱く時間すら与えられなかった俺は、また違うものを目にする。

 黒を染める白い翼に、闇を霞める温かな光。

 マーシャは大きな翼を払い、高速で接近していた石を破壊した。


「……」

「私の方がバッティングセンスあるんじゃない?」

「お前……どこから……」

「境にしては質問が的外れね」

「……お前、いつから」

「朝から、厳密に言えば昼からよ。お寝坊さん」


 マーシャは神々しく映える翼を仕舞い込み、荒々しく輝く天の輪も一瞬で視界から消す。


「ご要望通り姿は見せないでいたわよ? 何かご不満でも?」

「今日の出来事、全部見て聞いていたのか」

「ええ、ばっちりと。摩耶っていうボンキュッボンの可愛い幼馴染とイチャコラさっさしてたり、佐藤っていう男子と中二くさい会話してたり、もう一部始終隅から隅まで余すとこなく、嫌になるほど見させてもらったわ」


 うわああああああああああああ! 死にてえええええええええええええ!


「案外アクティブな所もあるのね。少し印象変わったかも」


 印象、か。


「……俺もだ」

「へ?」

「とりあえず帰るぞ。話はそれからだ」

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