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異世界の歩き方!  作者: Sakaishi-Nihonshi
第1章, 波乱にまみれた出会い
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聞き込み調査

「あのぅ……

こんな時になんですけど

あなたってこの港町の出身ですか?」


途中から僕も少年と一緒に大量の雑巾片手にゲボ処理を行って

ちょうど今、繊維に深く染み込んだもの以外は拭き終えることができた

そんなタイミングで僕は目の前の少年に問いを投げかける


「ふぇ? ボク?

ボクはここじゃなくて、ずっと向こうの王都出身だよ!

王都の方から奴隷商人の確保及び被害者の治療保護の命が下ったから来たの」


床に置かれている使い終わった沢山の雑巾、

少年はそれを木のバケツに次々と放り込んでいる

後で洗濯でもしてくれるのだろうか


「あ……そうなんですか…」


僕が求めているのはこの港町出身の人だ

ここ出身の人なら、さっき言った

特徴の山がどこにあるのかを知っているかもしれない

窓から外の風景を見てみた感じ、

この街は三方を山に一方を海に囲まれている

鎌倉みたいな地形だからお目当ての山を見つけ出すのは至難の業だ


だから誰かが山の場所さえ教えてくれれば、

後はあの少女にことの顛末《てんまつ》を話して

万全の布陣であいつらの確保に行ける


***


「くっそ…… 仕方がない

………すみませーーーーん!!!

静養されている最中に申し訳ないんですけどーー!

どなたかこのメーデーの港町ご出身の方はいませんかねー?」


僕はやおら顔を上げて周囲の患者さんたちを見渡す

そしてここ一番の大声を出して、

この中に1人でもこの街出身がいないのかを質問した

患者たちはみんな驚いて、体を僕の方に向ける

だがちらと一瞥《いちべつ》するだけで

すぐにベットに体を倒し、眠りに入り直す人がほとんどだった


当然だ、

まずここにいる人の大多数は

僕と同じように別の街から誘拐されてここに来た人だ

そして何より

もしいたとしても、突然なんの脈絡のない質問をするゲボ吐き男なんて

誰も進んで関わろうとはしないだろうし


でも、1人だけいた

ゲボ吐き男に進んで関わろうとしてくる人が


「あんちゃん、

おいは生まれも育ちもここなんだがよ……

それがどうしたんだ?」


僕と向かい合わせのベットにいる大柄な男だった

屈強な体つきで口髭《くちひげ》と顎鬚《あごひげ》がつっついている

その特徴的な容姿を見て僕は思い出した

こいつが昨日か一昨日、

あの倉庫で僕のパンを奪えとみんなに呼びかけていた男だと

体の輪郭しか見えないほど薄暗かったが

それだけは覚えていた


そのせいで今こんな包帯ぐるぐる巻きの

重傷になっているので僕は若干の怒りを抱えた

ただ今はそいつ以外に聞ける相手が他にいないから

あの特徴の山の場所を聞くために

僕はやおらベットを下りて、

その通路を横切りその男のもとにまで詰め寄る


「あんた……

あの倉庫で散々僕のことをボコボコにしてくれたよな?

だったらそのお詫びとして質問に教えてくれ」


もう既に敬語を忘れかけているが、

今はそれを気にかける心の余裕はない


「お,おう ええで

反省している

なにかこの街に関することなんやろ?」


僕は男の肩をガシっと掴み、

半《なか》ば脅迫みたいに同意を求めた

すると男は当惑の表情を見せたが了承してくれた

なので僕はあの山についてこう問いかかる


「この街のどこかにこんな山があるはずです

綺麗な円錐状をしていて、山頂には小さめの古城が聳《そび》え立っている、

それがどこにあるか教えてください」


男は10数秒の間沈黙をして考え込む

そしてシンキングタイムが終わると僕に山の場所を教えてくれた


「…………あの山だ

5年くらい王都にいて、記憶が曖昧になってるが

あんちゃんの条件に合う山はあれしかないはずだ」


そう言うと男は体を捻《ひね》り、背後のガラスを指差す

その指先の延長線上には……

あった

おむすび状で、

米粒みたいな大きさだが山頂に建造物が建っているのが見える

その建造物はおそらく古城だろう

あの山に違いない


「ありがとう あの山だ」


「?? あんちゃん、それを聞いてどうするんだい?」


「僕らを世話しているあの少女に協力を取り寄せて……

登る」


断言をすると、

男は目を見開き驚きを露わにする


「なに言うてまんがな!?

あっこは20年前に山頂で集団焼身自殺が起きて

それ以来曰く付きの山やで!?

みんな呪いを恐れて、だーれも登っていない!!」


「そうですか……

むしろ僕の考察に信憑性が増しました

ありがとうございました」


僕はそう言い残し、

男に背を向け部屋から出ようとする


「それに……そんな体でか!?

そんな重傷じゃ、登山どころか歩くのですら精一杯だろ!!」


男は焦りを隠せなくなり手を伸ばして肩を掴み

僕を止めにかかる


「ごめんなさい、行かせてください

僕は……僕はあの少女を助けたいだけなんです」


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