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異世界の歩き方!  作者: Sakaishi-Nihonshi
第1章, 波乱にまみれた出会い
6/33

ぼろぼろの攻略本

______________________________________


『ザザッザザザザーーー,,,,,お,,,,い!! この女ザザッしば,,,,,,,とけ!

あとでザザッ,,,,,,たっザザァァァり可愛が,,,,,,,ザザてやるよ

ザザァッーーーーーーー,,,』


映っているのはあの少女とそれを取り囲む5人余りの奴隷商人たちだ

蔚々(うつうつ)とした森の中で、その少女は縄で樹木に縛り付けられている

少女の口には麻布でつくられた猿轡(さるぐつわ)がはめられており、

うまく発声しようにも出来ていない

そんな凄惨な現場に見入っていると、

まるでカメラをぐるっと一周させるように視界が360°ゆっくりと回転していく

その後、

少女が体を揺らし必死に抵抗しているのを背景として

画面が段々と暗闇に染まっていった


______________________________________


「ウッッッッッッッ……

ハァァァ!!! はぁはぁはぁ……」


「ちょっと!! きーみ!?

大丈夫なの?!」


未来予知を見終えて

僕は痛みの余波に苦しみ、息を切らす

頭に走る激痛自体は止んだのだが、気持ち悪さは依然として残っていた

するとベットの横から僕を心配する声が聞こえた

その声は若い男の子のようで、声色には焦りが滲(にじ)んでいる


慌てて横を向くと

あの少女とは別の看病人がそこにいた

もともとこの病室はあの少女とこの少年の2オペで回している

少女が僕の替えの包帯を取りに部屋を出ていったので

今現在、この部屋で僕らの看病をしているのはこの少年だけだ


「え…… あぁ……

大丈夫、です すみませんご心配をかけて」


「本当に!?

なら良かったけど……

取り敢えずほら! お水飲んで」


少年は僕の体に付着している嘔吐物をタオルで拭きながら、

低めの棚(サイドテーブル)から水の入ったコップを差し出してきた

僕はそれを徐(おもむろ)に受け取り一気に飲み干す


***


………喉(のど)を潤し、なんとか落ち着くことができた

それじゃあ

先ほどの未来予知で得た情報の整理をしよう

もしかしたら場所を特定できて少女を救えるかもしれない……

聞いた限り、

あれは少女が奴隷商人から暴行を受ける寸前の場面だった

少女は泣いていて商人らがそれを嗤(わら)っていた


景色は……景色はどんなだった?

視覚した情報を掘り起こすんだ


……確か、森は森でも山の頂上みたいだった

山頂と言っても傾斜は緩やかで、森の茂ったおむすび山のようだった

そして兎にも角にも見晴らしが良くて

眼下には美しい街並みとその奥には壮大な海が広がっていた

下にある街の建物は一軒一軒がきちんと視認できていたから

山自体の標高はそれほどだと思う

あと、後ろには山頂であることを登山者に示す巨大な石碑が置かれていた


未来予知の時

視界が360°回転していたから

見れた景色や受け取れる情報量自体は圧倒的に多いはずだ


ただ、もう思い出せない 

……他は? 他は何が見えた?

くそ……ダメかもしれない

頭に走った激痛に記憶が上書きされちまっている


「頼むぅぅぅ…… 頼むから思い出してくれ……」


そう自分に発破をかけて

さっきの未来予知で見た、色褪せた画面を頭の中に思い浮かばせる

したらばその中から場所を特定できそうな要素を

隅から隅まで舐め回すように確認をする

僕の目の前では変わらずにあの少年が

ゲボを拭き続けてくれている


「何かないのか? 何か使えそうな情報は……」


…………見つかった!!!

映像が途切れるその直前、

少しの間だけ

山頂に建てられている古城が映っていた

古城と言ってもそんなロマンチックな物ではなく

石壁は大きく崩れ落ち、蔦(つた)が城全体を覆っている

自ら進んで住んでみようとは到底ならないような、

そんな時間が止まった古城だった


ただ1つだけ

不可解……っていうか違和感があった

それはボロボロの石壁の側に幾(いく)つかの

鉄格子の檻(おり)があったことだ

誰からも忘れ去られた古城には

似ても似つかないような立方体の檻が置かれていて

圧倒的にミスマッチだ


そして……その中には沢山の人が閉じ込められていた

1つの檻の中に10,20人が所狭しと入っていて、

みんな不潔でボロボロの衣服を着ていた


……容姿と状況から考察するに

この閉じ込められてる人たちは

僕らと同じ、”奴隷として売られる予定の人”ではないか?

流石に理由なしにあんな状況になってるとは思えないし

こんなことをしたのは誰かと言われれば

あの奴隷商人以外にいないだろう


なのならばあの山頂の古城が

あいつらのアジトだという線が濃厚になってきた

そうでもないと、

あんな重い鉄格子の檻を山の頂上まで運ぶはずがない

わざわざ持ち込んだということは、この古城を拠点として使っている証拠だ


奴隷販売に限らず、

犯罪集団に必須な秘匿性も

1本か2本ある登山道を部下に封鎖をさせれば成立はする


これまでの考察を総合すると

奴隷商人らは山頂にある、誰にも使われていない古城を拠点にしているのだろう

あいつらは誘拐や借金のかたとして手に入れた人たちを

貴族や富豪から注文が入るまで、そこで一時的に幽閉《ゆうへい》する

そして奴隷船が港へ到着すれば

夜陰に紛れて売り物を運び、そのまま異国へ送り出す


………どうだろうか?

この推理が正しいのならば

あとはあの少女とその従者たちに事情を話して、

打倒奴隷商人の協力を仰いだら

無事にミッションクリアではないか?


だったら最後に必要なのは……”山の場所の特定”だ

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