↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の歩き方!  作者: Sakaishi-Nihonshi
第2章, 信頼関係構築イベント
18/33

異世界で初めて見せる余裕

『注意』

この話のフウマさん、キモいです

______________________________________


「なんにその微妙な顔!? 

この俺様と同じ適正だぞ!! 

この10年に一度の大天才の魔法使い、プラティ様と

おんなじ《《石》》なんだよ?!」


彼女にとってあまりに予想外の反応だったのか

表情が一気に曇り、手をあたふたさせる


「いや10年に一度かい 

思っていたよりも現実的なラインですね

……あのぉ私が思い描いていたのは、

紅蓮に光り天にまで突き抜けそうなほど高く燃え盛る、『火』!! か

万物をいとも容易く洗い流し大地をも雄大と切り裂く、『水』!! を

勝手ながら想像していたので………」


座りながら両手のみで

火と水、それぞれを最大限に表す大袈裟なジェスチャーをする

それでなんとかその2つのかっこよさを最大限伝えたかったが……

どうやら弟子様のご機嫌はますます

悪化の一途を辿っているようだ


「えとー あのぅーー……

いやもう言ってしまいますけど 

地味なんですよ!! 石なんて!」


石畳の地面を両手でバンバンと叩き、この身で不平不満を示す

あーもう、ぶっちゃけてしまった

この光景を端《はた》から見ていたら、頭のおかしい人認定されそうだが

僕的には至極真っ当な反応であると思う


大抵異世界の魔法って『火、水、風、土』の四種類だけで、

そっから色々と組み合わせていって、楽しむものだと認識している

でもでもこの世界の魔法は

土OUT 雷、氷、石、INとなっている

雷、氷は正味全然いい 

むしろカッコよくて強そうから

こちらとしては大歓迎ではあるのだが……

石、こいつが駄目だ


将来の僕の大魔法士の姿にはあまりにも不適格となっている

なんてったって再三言っているが石なんて地味属性、他にあるか!?

確かに他の魔法属性に一矢報いるほどの力は

あるのかもしれないが……


なにより僕が重きを置いているのは

1にかっこよさ、

2にかっこよさだ!!

それにおいて石は他の追随を許さないほどに地味じゃないか!?

もしこの世界に魔法のクーリングオフサービス

があるなら今すぐ受けて変更をしたいよ!


「いやいやいや?! 石ってすごいんだぞ!!

実際王都騎士団の魔法が使える人の中で

いっちゃん死亡率が低いのって石適性持ちだし、

防御、防衛性能はピカイチなんだよ?!」


彼女は顔を真っ赤かにして不服そうにしている僕を前にして、

泣きじゃくる子供をあやしてあげるように

必死に熱弁している


「いやです! 正直防御とかはどうでもいいんです!

僕はもっとこう……

攻撃特化で敵をバッタバッタと倒していきたいんです!!

それが僕の無双日記に相応しいんです!」


僕の一生懸命な雄弁にも段々と熱を帯びてくる

頬は時間の経過と共に、どんどんと紅潮していく


「フウマみたいなずっと敬語使ってくる弱腰な奴にゃあバッタバッタは無理だよ!」


プラティ様はしゃがんで、

体育座りをする僕に目線を水平に合わせる

そして無慈悲にも、反論のしようがない正論を打ち込んできた


「礼儀と勇猛さは関係ないですよ!! 

やっぱり石は嫌ですよ

魔法適正ってリセマラできないんですか!?」


胴体に来る鈍痛などは全く気にはならず、僕は魔法への落胆によりイジケテしまう

傍から見たらおもちゃを買ってくれなくて

親にねだり泣き喚く子供にそっくりだ

まぁ、実際厚顔無恥なところは

非常によく似ているからなんとも言えないが……



「あ!! ここにいたのね?! 

やーっと追いついたわ…… はぁはぁ

って………

フウマまた誰かと喧嘩してるの? そんな体勢で?」


「うっ…………

ルナーシュ様、お見苦しい姿を晒け出してしまいって……

申し訳のしようがありません」


いじけてしまい仰向けになり、

四肢をバタバタと揺らすポーズから素早く立ち上がる

他人から見た僕の表情は

さぞ恥辱と恥ずかしさにまみれていることだろう


「うん その対応で正解 

私が来てもずーっとそのままばたばたさせてたら、さすがに引いてたもの……」


「ッッッ……

お恥ずかしい限りです」


いっときの感情に流され子供のように

振る舞ったことへの不甲斐なさで、唇を強く噛んでしまう


「ところでルナーシュ様,質問なのですが……

魔法の属性の《《石》》は

プラティさまの言うとおり強力なのでしょうか?」


立ったまま足の関節を曲げ、姿勢を少しだけ崩す

それに合わせてプラティさまは軸足を右に固定し、

フリーとなった左足をブラブラさせている


「ええ とっっってもね!!」


プラティさまと同じように端の東屋に足を運び、ベンチにゆったりと腰を下ろす

それを見て、

僕含め2人はルナーシュ様のもとにまで寄ってくる

来てみると、東屋についてある屋根のおかげで

日差しが遮られて少しだけヒンヤリすることができた


「ていうよりも、この国最高の魔法使いが石なのだから,

強さは疑いようがないでしょ?」


向かい合わせでいる僕にまろやかなそう言う


「えうぇ? そ,そうなんですか?」


今、僕は心から驚愕している 

是非とも一度はお目にかかりたいものだ

一体全体どうやってこの地味能力で戦えているのかを

(本当に地味なのかは、見ていないから当然わからないけど!)


「そうよ! 

彼は石の『ペイン』っていう名前の基礎魔法をもとに

それを派生、応用してしまくって

王国最強とまで呼ばれるようになったのよ!!」


あからさまに胸は張っているようには見えないが、

まるで自分のことのように誇らしげに語る


「まぁまぁ 他人の話はここまでにして……

まずはやってみようよ!! 

普通、初めてのペインだったら

握り拳大のおおきさの岩が生成できるんだけど……

フウマならきっとそれよりも大きめの岩を作れるよ! 頑張って!!」


そんなキラキラした目でじーっと見つめられたら

もう無理にイヤイヤ引き下がることはできない

プラティさまがそうねだってきたら迷うことなく断っていたが、

ルナーシュ様の頼みとならば拒否する訳にはいかないのだ


「……わかりました やってはみます

あでも失敗しても絶対に笑わないでくださいね! 

これは僕との約束です!!」


僕は彼女に振り返り、そう宣言をする

これは保険をかけざるを得ない

だってそもそも論、異世界召喚者である僕が

魔法を使えるかも当然わからないし……

仮に使えても、

単純に才能がなくてしょぼい結果になったら恥ずかしいし…………


「もっちろん!! 人は誰しも最初は失敗するもの、

そこからどうやって成長するかが一番大事なんだからね」


なんか僕が失敗する前提の励まし文句を貰ってしまい

心境は少々複雑なのだが……


確かに百聞は一見に如かず、

もしかしたら石と僕の相性は抜群で

この屋敷を貫くほどの巨岩ができるかもしれない!


「魔法って技名唱えるだけでいいんですよね! 先生!」


「うむ 体の中のシャフトをどこか1点に集める意識を持てれば

なおよーし」


僕は屋敷の方を向いて手を前方に大きくかざす

後ろを再度振り返り問いを投げると、

プラティさまは出番を待ち侘びたように嬉々としてアドバイスをくれる


「よーし ぶっちるぞ! すーうぅぅぅぅぅぅぅ……

ペイン!!!!!」


そう声高らかに唱えた瞬間、

かざした手がゆっくりと薄灰色の眩い光球に包まれていった

更に手のひらの周りに

小さい光の粒が順々に集まっていく


そして、一瞬だけ鋭い光芒《こうぼう》が発せられたので

僕たちは思わず目をつぶってしまった

あたりを照らす光が収まったのを見計らって

そっと瞼《まぶた》を開けてみると……


***


「え?」「え?」「へ?」


眼前には何も変わらないただの豪邸が佇んでいる

不思議に思い眼下へ目線を下げたら


「うぇ?? 砂利?」


「_________えっとーーね 

フウマ

とても、とーっても、言いづらいけど

多分あなたの魔法の才能がなさすぎて、

岩が岩の形を、石が石の形を保てなくなっちゃって………

砂利になっちゃった……わ 」


ルナーシュ様は共感性羞恥からなのか赤面し、

顔を小さい手で一生懸命隠している

その行為は僕にとって、

下手に笑われるのよりもずっと堪えてしまう反応だ


「あーーーはっはっはっはっはっはっは!!

はーーーーー笑」


それと同時にプラティさまは笑いをこらえる努力なしに、豪快に笑っている

正直、今回に関してはプラティさまの方が

まだましな反応かもしれない



「あ………あ、ぁ」


僕は自分自身の才能のなさと魔法への落胆により

わかりやすくガクッと膝から崩れ落ちてしまう


「あのー大丈夫? えっとーあほら!!

たぶんもうそろそろ晩御飯の準備が始まるから!

居室に来て、ご飯ができあがるのを

待っていたらいいと思うわ!! ね!?

お腹いっぱいに食べたらちょっとは楽になるかもよ?」


ルナーシャ様はこの重苦しく、気まずい雰囲気を

なんとかしようと頑張っている

だが効果は何もなく、

燃え尽き呆然としている僕と

ゲラゲラ笑っているプラティさまの構図は

なにも変わっちゃいない


「あぁ………

じゃあもう私行ってるから!! 

居室への案内はプラティにしてもらってちょうだい じゃあね!」


逃げた 

よほどこの気まずさが堪えたのだろう


「うーんと 俺様も行っていい?」


さっきまで人目を気にせず笑ってたのに

急に笑うのを止め、淡々と整然と聞いてくる


「…………」


「沈黙はダメって意味だけど……

ごめん!! 行ってるね!」 


逃げた 

よほどこの2人きりの雰囲気が堪えたのだろう


「あっ!! そうだ

居室は玄関入って左にまっすーぐ進んだら右手にあるからねー」


玄関に向かって走り出す前、

プラティさまは思い出したように振り返って

僕に助言してくれた


***


誰もいなくなった広場

太陽は徐々に傾き始めて、

映し出す影はどんどん大きくなっている


僕は顎を引いて俯く

そして目の前の地面に落ちている

僕が生成した砂利を手で拾い上げて、

噴水の水溜《みずため》にパラパラと落としていく


砂利の処理も終わったところで……

さあここで一人反省会としよう

貴族様の晩餐会に遅れる、なんてことはないよう手短に


まず……ルナーシュ様は《《普通》》

魔法を唱えれば初経験者でも

拳大サイズの岩は生成できると仰っていた

それで僕が生成できたのは目が荒めな砂利……


まぁこの情報を

客観的に、総合的に、俯瞰的に、合理的に、公平正大に判断すると……

どうやらやっぱり僕は

この世界ではなんら特別な才能もなく

ただの《《普通以下》》らしい


この世界っていうか、どっちの世界でも

才能面で言えば

多くの場合、僕は普通か普通以下だったから

特別大きな衝撃はない……


というのはあまりにも嘘に思われるか


正直……かなりショックだ

こういう異世界召喚ものの主人公は

なにかしらのチートは持っているものだろう

そう思って一度は不便すぎる未来予知に

見事、裏切られたわけであるが……


初めて魔法を打つ前は腹の底で

僕には魔法系でのチートがあると思っていた

いや……確信していた


女神様が僕にくれた正真正銘の祝福は

《《魔法の才能》》だったんだな、と


ただ……違った

その辛すぎる、でもきちんと現実である事実を

僕は受け止めきれなかった

まぁ1人反省会してる今も上手くは飲み込めてないけど


***


……ここで1つ疑問に思ってしまうことがある

何故僕は異世界召喚されたんだ?


あいや、現実世界にあった謎のポータルに入ったのは

純粋に自分自身の意思だったからな 

質問を変えよう

何故現実世界にあんな禍々しいポータルなんかがあったんだ?


そこに入った人間に超有能な祝福とかチートを与えるつもりが《《ない》》のなら

なんで僕をこの世界に召喚させた?

意図がまるで見えない、目的が全くわからない、


さっき言った超有能な祝福。

唯一心当たりがあるとするなら

悔しいけど、やはりあの《《未来予知》》であろう


でも仮にそれが本当に祝福やチートなら……

なんであんなに欠陥だらけなんだ?

制御不能、激痛、爆音ノイズ、情報量皆無、視界不明瞭の

《《不完全な》》状態で僕に送ったんだ?


「ちっ…… はぁ

どうしてわざわざ祝福に

デバフなんかをかけやがったんだよ」


僕はこの世界にいるであろう神様にこれでもかというほど

恨みを込めてそう呟く

太陽は地平線に沈みかけており、夜風が僕の体を通り抜けていく


あいや、わざわざじゃなくて

あれが女神か神にとっての『全力』

だった可能性も微粒子レベルであるにはある……のか?


……まぁ色々とだらだら喋ったけど

こんなちっぽけな存在がいくら考えたって

結論は到底出やしない


なんか不満と疑問を思いっきりぶちまけたら

幾分か楽にはなったし

さっきルナーシュ様が言ってた居間に行ってみよう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。