平和という名の休戦期間③
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率直なところこの屋敷……馬鹿でかい!
今僕はルナーシュ様の案内に沿って屋敷を闊歩しているが、
ほんとに敷地だけで東京ドームくらいだったら
余裕でありそうな気がする
ここへきて初めて
窓を通して外の景色をじっくりと眺めることのできたが、
これもはっきりいって圧巻だ
綺麗に剪定された低木、
一面を覆い尽くすほどの花畑、
悠々とその姿を構える噴水とその周りを円形状に広がる広場……
イメージ的にはヴェルサイユ宮殿の風景がよくマッチしている気がする
広大な広場のはるか先には、
草木1つのない赤砂色の
不毛の荒野が広がっているのが確認できる
歴史系のニュース特番でしか見たことがなかったような,
超がつくほどの豪邸に心を弾まない男は……いや女性もか
絶対にいないだろう
外観が凄ければ内観も同程度に凄まじい
聞いた話によれば、
お手洗いは20数個、浴槽は大きいのが3つ、小さいのが7つ、
最近はあまり使ってないらしいが来賓室は15部屋、
総括して、大小合わせた総部屋数が驚愕の300部屋……
このことだ
「いやバケモンだろ?!」
「え? なにが??」
「300ですか!? 30じゃなくて? 間違いないですよね?
僕らの価値観だったら6部屋でも
十二分な豪邸だっていうのに!!」
「そう? でもでも!
他の侯爵様たちのお屋敷も似たような部屋数よ」
ライフのグングン減る音が僕の心の中で大音量で響く
何も不思議に思わず、当然のように爆弾級の発言をする
この少女が今ではちょっぴり敵にすら見えてしまう
改めて…
とんでもない世界に来てしまったのだと
実感せざるおえない
なんかこの世界に来てばっかの頃はおふざけ半分で、
お嬢様をチートで助けて邸宅へ招待される
って妄想をしていたのだが……
脱線することとか苦痛に思うことは多々あったものの、
案外計画通りにいっているのが
自分でも末恐ろしく思う
「あっもういいです
これ以上僕にショックという名の負荷をかけないでほしいです……」
ルナーシュ様は僕の顔を見つめ、無言で優しくはにかむ
その笑顔にどんな意図が込められているのかは分からないが、
悪意が一切ないことだけはなんとなく察せられる
ルナーシャ様の誘導に従って、屋敷を縦横無尽に闊歩しているうちに
いくつか判明したことがある
この屋敷は上から見たら”ロの字型”の構造となっており
僕が目覚めた寝室は2階の四隅の内
南東側の角に位置していたっぽい
究極の朝方人間の僕にとっては南東は
お日様がよく当たる神みたいな方角なので
これからはあの部屋で寝れるって考えると……ワクワクが止まらない
世間では角部屋について賛否がまっぷたつに割れている
印象があるが……
僕からしてみれば北向き以外であれば
基本どんな角部屋でも大大歓迎だ
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暫くの間、右手に杖を携えて歩く
前方にはルナーシュ様がおり、
新たに扉が現れるたび
その部屋について解説をしてくれる
説明の時間は部屋によってまちまちとなっていて
10秒から最大1分までの拡大スペシャルでお届けしてくださる
部屋の解説の途中で
クッソ長い一本道の回廊の終着点を迎え、回れ右して角を曲がった
すると正面にちょうど部屋から出てきた女の子がいた
「おぉー フウマ!!
テリウムから話は聞いたぞ!
師匠を助けてくれたんだよーな!! ありがとうな!」
小さな女の子だ
パッと見ただけでは平均的な小学4年生の身長、って受け止めだ
習字で使う朱墨に気持ち程度の水で薄めたような髪色をしている
本来耳がある場所はその長髪によって隠されており、
代わりに頭の先っちょから縦長の白い兎耳が生えている
「え、えっと……
あ!! 商人に誘拐された時、僕を病院まで運んでくれた!!
名前が確かなぁ……
何でしたっけ〜?」
死に際に微かに聞こえてきた名前まで
一言一句覚えることは流石にできなかった
「プラティね プ、ラ、テ、ィ
一応私の弟子?という形をとってる可能性があるかもぉ……
しれない子ね」
巷で人気の売れ筋商品を紹介するニュースキャスターのように
視線は僕の方を、
手は女の子の方を向かせ、
言葉を若干濁しながら補足を入れてくれた
「その濁すような言い方はやめてください師匠!!」
朱色髪の女の子は師匠の突然の裏切り行為に
悔しくて地団駄を踏む仕草を見せる
「まぁそんなことより、フウマ!!
正午だ!
あっこの噴水広場で定例の魔法の稽古に行くぞ!!
フウマが俺様の稽古の初めての参加者だ!!!」




