Re:Start
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「うぅぅ、ぅん、あばば……」
重い瞼をゆっくりと開くと、
窓の隙間から差し込む柔らかな朝日が部屋を淡く照らしていた
昨日まで全身を支配していた張り詰めた緊張と倦怠感、激痛
はまるで嘘のように消えていた
いや、それは嘘だ
動かなかったら確かに痛みはないが、
寝返りを打とうとして体を捻ると胴に鈍い痛みが走ってしまう
そのせいで僕は毛布を被ったまま不用意に動けずにいる
__深く息を吸い込む
すると温かな布団の感触と穏やかな朝の空気が、
胸の奥を静かな充足感で満たしていった
「……まぶた おもぇなぁ
なんかすげぇ寝心地いいなぁ
お日様もぽっかぽかやし
だったら、ここいらで二度寝としゃれこ………
むな!!!!!」
勢いよく体を起こし、
目を擦りながら周りを見渡す
「はぁはぁ……はぁ あっぶねぇ
危うく永遠の眠りにつくとこだった……
って……
ほ、本当にどこだ? ここ」
目に映る光景を信じることは到底できない
白のベットの上に白の布団を被って寝ていると言う構図自体は
前の病院と変わりないが,
小学校の音楽室みたいなサイズのこの部屋に人は僕以外誰もおず、
ベットの広さは10畳は軽くありそうなほど大きい
床は大理石で、壁は彩釉テラコッタによって華々しく彩られている
右を見てみると、
窓は天使の姿を形どったステンドグラスが朝日を通していて、
窓の隙間からは時々鶯らしき鳥のさえずりが聞こえる
左にはオークの木で作られた本棚が壁一面に並べられており
様々な色の背表紙をしている
「確か、山の頂上に奴隷商人がいて
そいつらが水で流されていって……」
頭の中にあろうじて覚えている記憶を追いかける
あの時、意識を失って気絶していたから
その前後の僕の記憶が曖昧になっているようだ
病院にいる時のはある程度は鮮明に思い出せるが、
そこからはところどころの
断片的なものしか分からなくなっている
「そんで 女の子が僕に感謝を言ってくれて……
あれ? そうだっけな??」
もうしっちゃかめっちゃかだ
多分これ以上無理に思い出そうとすると、
僕の脳内で存在しない記憶を勝手に作り出してしまって
ややこしいことになっちゃう
なので記憶の捜索はここで打ち止めとしよう
「結局ここがどこかはわからんけど……寝るか
起きたら何か思い出すかもしれない」
『ギィィイイイイイイ』
頭を枕へ下ろし二度寝をしようとしたその時、
左斜め奥にある巨大な両開きのドアが
軋みながら’’嬉しそうに’’開いた
この世界では珍しい黒髪且つオールバックをしている若い中背の男が入ってきた
ヤンキーみたいなギザギザの歯が唇の隙間からチラ見えしており、
灰色基調の古びたのタキシードを身に纏っている
そして両開きのドアが大きな音を立てて閉まり切る直前……
突然のことに戸惑っている僕の目を見て
開口一番、
「……あ? 誰だてめぇ?」
右手を横腹にあてがい、
首を少し傾げて男はそう言った




