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俺の知ってる戦国時代と違う! ~歴史知識が通じない世界で、優秀すぎる家臣たちが天下を目指す~  作者: チャプタさん


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第八十八話 戦わぬ城

第八十八話 戦わぬ城


保護圏の平和な発展が続く中、今川方は、依然として、慎重な姿勢と、突発的な小規模攻撃を、繰り返し続けていた。ある日、拠点周辺の、一つの小さな砦が、今川方の一部隊による、包囲を受けることとなった。


一益は、いつものように、迅速に、この状況についての情報を、拠点にもたらした。「殿、拠点近くの砦が、今川方の一部隊に、包囲されつつございます」


私は、その報せに、緊張を覚えた。「その砦、無事に守り抜けそうなのか?」


一益は、慎重に答えた。「砦を守る兵の数は、決して多くはございませぬ。されど、これまでの経験を踏まえ、住民たちは、すでに、周辺の安全な場所へと、避難を終えております」


私は、その説明に、少し安堵しながらも、なおも緊張を保っていた。(住民が無事なのは良かった。でも、砦を守る兵たちは、大丈夫なんだろうか)


数日後、この包囲についての、続報が届けられることとなった。今川方の部隊は、砦を包囲したものの、実際には、決定的な攻撃を仕掛けることなく、その場に留まり続けているという。


「これは、いったい、どういうことなんだ」私は、その報告に、少し困惑した様子で尋ねた。


一益は、丁寧に説明した。「殿。今川方の指揮官は、この砦に掲げられた、殿の旗印を見て、うかつに攻め込むことを、ためらっているものと、推察いたします」


私は、その説明に、深い感慨を覚えた。「そうか……。また、あの旗の力なんだな」


数日間の膠着状態の後、今川方の部隊は、補給の限界を迎え、ついに、包囲を解いて、撤退していくこととなった。この一件は、拠点にとって、これまでにない、静かな、しかし確かな勝利として、記録されることとなった。


砦を守っていた兵たちが、拠点に、この一連の顛末を、報告に来た。「殿、まことに、不思議な戦にございました」その部隊の隊長が、感慨深げに語った。「我らは、一度たりとも、槍を交えることなく、敵を退けることができました」


私は、その報告に、心底から安堵した。「よかった……。誰も傷つかずに済んで、本当に良かった」


(訳:これが、俺にとって、いつも、一番望んでいることなんだ)


隊長は、続けた。「殿の御威光と、これまで築いてこられた評判の力が、この砦を、まことに、守り抜いてくださったのでございます」


私は、その言葉に、複雑な思いを抱きながらも、深い充実感を覚えていた。(俺一人の力じゃない。みんなが、これまで、それぞれの形で、この場所を、守り続けてきてくれたからこそ、こんな結果になったんだよな)


その日の夕刻、私は、この砦を、実際に訪れる機会を得た。かつて、包囲を受けたばかりだというのに、砦の様子は、これまでと変わらぬ、穏やかな日常を、取り戻しつつあった。


「信照様」砦を守る兵の一人が、私に気づき、深々と頭を下げた。「此度は、まことに、お世話になりました」


私は、その言葉に、素直な喜びを感じながら答えた。「みんなが無事で、本当に良かった。これからも、しっかり、この砦を守っていってほしい」


(訳:本当に、誰も傷つかなかったことが、俺にとって、何よりの喜びなんだ)


兵は、その言葉に、深く感激した様子であった。「殿の御言葉、この身に、しかと刻みまする」


砦を後にする際、私は、周囲に広がる、穏やかな田園風景を、改めて見渡した。かつては、常に、脅威に晒されていたはずのこの地が、今や、確かな平和を、静かに享受している。私は、その光景に、深い感慨を覚えていたのである。


帰路、私は、傍らを歩く一益に、率直な想いを語った。「なあ、一益。こういう風に、戦わずして、砦を守り抜けるようになったのって、本当に、すごいことだよな」


一益は、静かに頷いた。「殿がこれまで築いてこられた、確かな信頼の力にございます」


私は、その言葉に、少し照れくささを覚えながらも、深い誇らしさを感じていた。(俺は、これからも、みんなを守るという、この変わらぬ想いを、大切にしていきたいな)


その夜、私は寝所で一人、この日の出来事を、静かに振り返っていた。「血なき勝利」――この、誰も傷つかない勝利の形は、こうして、保護圏全体の、確かな誇りとして、さらに、その重みを、増していくこととなるのである。

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