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俺の知ってる戦国時代と違う! ~歴史知識が通じない世界で、優秀すぎる家臣たちが天下を目指す~  作者: チャプタさん


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第八十二話 明国への風聞

第八十二話 明国への風聞


南蛮商人を通じて、遠く海の向こうにまで、私の噂が届いていることを知った拠点は、これまで以上に、外部との繋がりに、確かな意識を向けるようになっていた。しかし、その噂の広がりは、南蛮だけにとどまらないことが、程なくして、明らかになるのであった。


ある日、拠点に、堺の港を拠点とする、別の貿易商が訪れることとなった。彼は、これまでの南蛮貿易とは、また異なる、明国との交易を、主に手がける商人であった。


「信照様、御拝謁を賜り、恐悦至極に存じます」商人は、丁寧な作法で挨拶を述べた。「実は、明国の商人たちの間でも、信照様の御高名が、少しずつ、知られるようになっているとのことにございます」


私は、その話に、これまで以上の、深い困惑を覚えた。「明国……? 中国のことか。そこまで、俺の噂が広まっているなんて……」


(訳:本当に、もう、想像を超えているというか、正直、実感が全然湧かないよ)


商人は、続けた。「明国の商人たちは、日本の情勢について、様々な情報を、本国に伝えております。信照様が、戦を避けながらも、確実に力を蓄えておられるという話は、彼らにとっても、大変、興味深いものとして、受け止められているようにございます」


私は、その説明に、複雑な思いを抱きながら、素朴な疑問を口にした。「明国の人たちは、俺たちのことを、どんな風に見ているんだろう」


商人は、慎重に答えた。「詳しい報告の内容までは、それがしも、正確には把握しておりませぬ。されど、日本の武将としては、珍しく、経済的な繁栄を、力による支配ではなく、信頼によって、築いておられるという点に、大きな興味を、抱いているようにございます」


私は、その説明に、少し安堵しながらも、なおも深い戸惑いを覚えていた。(俺、そんな、経済的な戦略とか、全然考えていないんだけどな。ただ、みんなが、自由に、豊かに暮らせるようにしたいと、それだけを願っていただけなのに)


数日後、私は、この明国からの関心について、藤吉郎と、詳しく話し合う機会を持った。「藤吉郎、明国の商人たちが、俺たちのことを、興味深く見ているって、これって、俺たちにとって、いい話なんだろうか」


藤吉郎は、しばし考え込んだ後、答えた。「殿。これは、決して、悪い話ではないと存じます。むしろ、我らのこの地における仕組み――寄進、援軍、そして、保護圏という、独自の統治のあり方が、遠く海外にまで、興味を持って迎えられているという事実は、殿の御方針が、いかに普遍的な価値を持っているかの、確かな証にございましょう」


私は、その説明に、少し誇らしい気持ちを覚えながらも、素直な疑問を口にした。「でも、そんな遠い国からも、注目されるようになったら、これから、何か、大きな変化が起きるんだろうか」


藤吉郎は、慎重に答えた。「正直なところ、それがしにも、確たることは、申し上げられませぬ。されど、殿が、これまで一貫して貫いてこられた御方針を、これからも守り続ける限り、いかなる注目を集めようとも、我らが、揺らぐことはございますまい」


私は、その言葉に、深く頷いた。「そうだな……。俺は、これからも、みんなを守ることだけを、大事にしていきたい」


その日の夕刻、私は、拠点の一角で、藤吉郎から取り寄せた、明国の書物の断片を、興味深く眺めていた。見慣れぬ文字、そして、これまで見たこともない、精巧な意匠の品々――それらは、私にとって、まさに、未知の世界の、確かな断片であった。


「信照様は、こうした異国の品々に、興味をお持ちなのですね」藤吉郎が、私の様子を見て、微笑みながら言った。


私は、素直な感想を口にした。「うん、なんか、すごく新鮮な気持ちになるんだ。俺、こういう、遠い国の文化とか、正直、大学時代から、興味があったんだよ」


(訳:さすがに、歴史学専攻だった頃の知識だと、明国のこの時代のことは、あまり詳しくないんだけど……。でも、こうやって、実際に触れられるのは、本当に、貴重な経験だよな)


藤吉郎は、興味深そうに続けた。「殿がお持ちの、その広い視野が、この保護圏という、前例のない仕組みを、生み出す礎となっているのやもしれませぬな」


私は、その言葉に、少し照れくささを覚えながらも、深く考え込んだ。(俺の、単なる歴史オタクとしての興味が、こんな風に、この場所の発展に、繋がっているのかもしれないな)


その夜、私は寝所で一人、この日の出来事を、静かに振り返っていた。海の向こうの、見知らぬ国々にまで、確かに届き始めている、私の存在――その事実は、私にとって、もはや、単なる噂話としてではなく、確かな現実として、その重みを、増しつつあったのである。


(俺は、これから、どんな未来を、迎えることになるんだろうな)


その素朴な問いを胸に、私は、静かに眠りについたのだった。「東海の賢君」――そんな評判が、明国の記録にも、密かに残されていくこととなる。この時の私は、まだ、その未来の全貌を、まったく予見することはできなかった。

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