↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の知ってる戦国時代と違う! ~歴史知識が通じない世界で、優秀すぎる家臣たちが天下を目指す~  作者: チャプタさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
106/125

第百六話 兵は減らすな

第百六話 兵は減らすな


「百策伝説」が完成の域に達し、今川方が、これまで以上に、決定的な行動を、慎重に躊躇するようになる中、拠点内部では、依然として、私の一貫した想い――兵を損なわぬ戦という、確かな方針が、これまでと変わらず、貫かれ続けていた。


ある日、拠点近くで、今川方の、これまでとは、異なる性質の部隊による、動きが、確認されることとなった。一益からの、緊急の報告が、私のもとに届けられた。


「殿、今川方の、精鋭部隊と思しき集団が、拠点周辺に、接近しております」


私は、その報せに、緊張を覚えた。「精鋭部隊……。これまでの、単なる小競り合いとは、違うのか?」


一益は、慎重に答えた。「はい。恐らく、我らの実力を、直接、試そうとする、狙いがあるものと、推察いたします」


私は、その説明に、深い不安を覚えた。(もし、これが、これまでとは、違う本気度の攻撃だったら……)


利家が、すでに、出立の支度を整えながら、私に告げた。「殿、この機に、正面から、彼らを打ち破り、我らの、確かな実力を、示すべきかと存じます」


私は、その提案に、思わず、身を強張らせた。(正面から……。それって、これまで以上に、大きな犠牲が、出るかもしれないってことじゃないか)


私は、必死に考えを巡らせた末、これまでと変わらぬ、確かな想いを、口にすることとした。「……兵は減らすな」


(訳:どんな相手であっても、みんなに死んでほしくない。それだけは、絶対に、変わらない想いなんだ)


その一言に、利家は、少し考え込んだ様子であったが、これまでの、数々の経験を経て、その意味を、深く理解するようになっていた。「承知いたしました、殿。これまで通り、犠牲を最小限に抑えながら、この精鋭部隊に、対応いたしましょう」


一益が、静かに続けた。「殿。この精鋭部隊、恐らく、我らの、いかなる対応を取るかを、注意深く、観察しているものと、推察いたします。ここで、いかなる形であれ、確かな『対応力』を、示すことができれば、それは、今後の、決定的な抑止力と、なりましょう」


私は、その説明に、深く頷いた。「そうだな……。犠牲を出さずに、でも、確かに、彼らを、退けられる方法を、考えてほしい」


こうして、四天王は、これまでの経験を、余すことなく活かし、この精鋭部隊への、緻密な対応を、練り上げていくこととなった。一益が、事前に、その精鋭部隊の弱点を、綿密に調査し、小六が、地形を活かした、確かな退路と、誘導路を確保する。そして、利家が、必要最小限の兵力をもって、その精鋭部隊を、巧みに、翻弄していったのである。


この戦いは、これまでの、単純な小競り合いとは、確かに、異なる、緊迫した展開を見せることとなった。しかし、四天王の、これまでの経験に裏打ちされた、確かな連携により、拠点側は、一人の死者も出すことなく、この精鋭部隊を、最終的に、撤退させることに、成功したのである。


戦の後、利家は、拠点に、誇らしげに、報告に来た。「殿、此度の精鋭部隊、見事に、退けましてございます。我らの側の犠牲は、軽傷者が、数名出た程度にございます」


私は、その報告に、心底から、安堵の息をついた。「よかった……。本当に、良かった」


(訳:あんなに緊張した戦いだったのに、誰も死ななかったなんて、本当に、みんなのおかげだよな)


利家は、少し誇らしげな表情を浮かべながら、続けた。「殿の御方針――兵を損なわぬ戦を、この利家、これほどの緊迫した状況においても、決して、忘れることは、ございませんでした」


私は、その言葉に、深い感謝の念を抱いた。「利家、本当にありがとう。お前が、そうやって、いつも、みんなの命を守ってくれるおかげで、俺は、こうして、安心して、この場所にいられるんだと思う」


その日の夕刻、私は、戦から戻ってきた兵たちの様子を、実際に見に行くことにした。彼らは、疲れた様子を見せながらも、皆、確かな安堵の表情を、浮かべていた。


「信照様」ある兵が、私に気づき、深々と頭を下げた。「殿の御庇護あればこそ、我らは、こうして、無事に、戦を終えることができました」


私は、その言葉に、素直な喜びを感じながら答えた。「みんなが無事で、本当に良かった」


その夜、私は寝所で一人、この日の出来事を、静かに振り返っていた。(どんなに、相手が強くなっても、俺の、この『兵は減らすな』っていう想いだけは、絶対に、変わらずにいたい)


その素朴な、しかし、確かな決意を胸に、私は、静かに眠りについたのだった。この、一貫した方針は、こうして、これまでにない、確かな試練を経てもなお、拠点の、揺るぎない指針として、これからも、貫かれ続けていくこととなるのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。