共依存
「まだ……私を頼ってくれるのねっ」
ただの、逃げの発言。
要はこの戦争の最後は太平洋戦争と同じ。核で無辜の民間人を焼き払って日本の心を折ったのと同じように、魔法で無辜の民間人を焼き払ってフリース王国の心を折ろうというのだ。
その、最後の役目をシーアお姉さまに押し付けた。
ただ、それだけの最低の発言───その言葉を受け、シーアお姉さまは僕の手を取る。
「何でもやるわ!」
その言葉は喜びに満ち溢れていた。
「ノアの為なら何でも!誰だって殺してみせる!どれだけ多くの人間でもっ」
瞳は光り輝き、頬は興奮で赤く染まる。
恍惚としたその表情からは、確かな狂気を感じさせてくる。
「……」
その様に、僕は少し息を飲む。
「私はノアのお姉ちゃんだからね!」
「……ありがとう」
果たして、僕が逃げてしまったのは……許されるのだろうか?
「だ、だから……だからと言うわけではないんだけど、今は……頼ってしまってもいいかしら?」
「……うん、もちろん」
先ほどの興奮した表情とは打って代わり、気弱な表情を浮かべたシーアお姉さまの言葉に頷く。
「ふふん!そうよね!」
その言葉で満足げに頷いたシーアお姉さまは僕の肩にその頭を乗せる。
「ノアは相変わらず小さいわね」
「うるさい!いつかは大きくなるから!」
僕とシーアお姉さまの背格好は大して変わらない。
相も変わらず僕が小さく、シーアお姉さまが大きい。僕の肩に頭を乗せるシーアお姉さまの格好はずいぶんと不格好だった。
「睡眠はちゃんととるようにしているのにっ」
栄養をしっかり取るのは厳しい。
というか、無理だ。戦場でそんな栄養いっぱいのものは食べられないし、もし、食べられてしても僕が食べ過ぎて吐いちゃう。
なので、せめて睡眠だけでもと睡眠時間は削らないようにしているのだが、全然僕の身長は伸びていなかった。栄養面以外はまだ耐えているはずなのに。一番大事なところが致命的に死んでいるから駄目なのか?
「睡眠はとれているようで良かったわ」
「……まぁねぇ」
あぁ、でもあれだ。ちゃんと睡眠時間は取ろうと思ってベッドには入っているけど、そこから悪夢で飛び起きたり。全然熟睡出来ていないのも駄目なのかもしれない。
あれ?僕ってばいいところなし?
「私もちゃんと睡眠はとれるようになってきたわ。ノアの服を抱いて寝ると貴方の夢を見られるからいいのよ」
「……おぉ?」
「でも、食事は別ね。やっぱり……両腕をなくなったからと他人から食べさせてもらうのは嫌ね。抵抗感があるわ。それもあって最近は一人で何とか食事しようとしているのだけど、今の状態でまともな食事は無理。口を皿に近づけてでしか食べられないから。それでも最低限みっともない食事しか食べていないから、中々栄養面はね」
「……やっぱり、あれは抵抗感あるんだね。僕の時も、嫌だった?次からは辞めた方がいい?」
「ノアは別よ!ちゃんと食べさせなさい!これはお姉ちゃんの命令よ」
「シーアお姉さまの命令なら仕方ないねっ」
「じゃあ、ご飯を食べに行きましょう。何時ものところいきましょう?最近は行けていないから」
「そうだね。そこにしようか」
僕たちは二人、くっついた状態のまま店から出る扉へと向かっていく。
「……ノア」
「ん?」
僕が扉を開ける直線、シーアお姉さまが僕の名前を呼ぶ。
「最後は、私を頼ってね?……私は、ノアの為に生きたいのっ」
「……ありがとう」
危険な、関係だと思う。
シーアお姉さまの精神は以前よりも立ち直っているように見える。でも、以前よりも増して僕への依存が強くなっているように見せる。
……そして、それはきっと僕もだ。
共依存。それが、良いものであるわけがない。
「じゃあ、行こうか」
「うんっ」
でも、僕はそれを変えようという気になれなかった。
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