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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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監禁

「知らないてんじょ───」


「あら?私は無視かしら?」


「……お決まりのセリフくらい言わせてよね」


 気を失ったところから目を覚まし、まず真っ先に視界へと入ってきたのがエマ第二王女殿下だった。

 その、エマ第二王女殿下を無視し、天井について言及しようとした僕を叱るように割り込んできた彼女の言葉に苦笑で返す。


「お決まりの言葉……?そんなもの、私は知らないのだけど?」


「あら。そう?有名だと思っているんだけどね」


 まぁ、有名なのは僕の世界だけ。この世界でのお決まりのセリフでは残念ながらなかった。

 そう言えば、あの元ネタって何なんだろうね?


「……私のこと見なさい?」

 

 余計なことを考えているの察知されたのだろう。

 僕は自分の顔をエマ第二王女殿下へと掴まれる。


「やめ……あれ?」


 それに抵抗する為手を伸ばそうとしたことでようやく気付いた。僕の手が今、何かに繋がれるということに。


「……どういうつもり?」


 今の僕は両手を手枷で繋がれ、寝かされていたベッドに固定されていたこれでは監禁状態だ。


「貴方が上官である私の話を聞かないのがいけないのよ?」


「それは答えになっていない気がするんだけど?」


「なっているわよ。私の知らないところにあっちこっち行っちゃうんだから、私の手元で管理しておくほかないでしょう?」


「僕はこれでも准将。管理されるような人間じゃないんだけどぉ?」


 いくら上官と言えども、こんなのパワハラだ。パワハラ。

 この世界の文明レベルが現代地球よりも低く、未だ貴族制を敷いているからと言って、流石に上官による下士官の監禁を許容するほど終わっていない。

 これは普通に抗議出来る案件だ。


「……大人しく、ここで私に守られていなさい」

 

 正当な抗議をする僕に対し、エマ第二王女殿下はそれだけを言いきり、ベッドから立ち上がる。


「夕食にしましょう。何がいいかしら?」


「自分で作りたいかな?」


「それは許さないわ」


「あらら酷い……僕は頭部に銃弾を受けたばかりの負傷者だというのに、暴力で意識を昏倒させられるわ、好きなものも食べられないわ。酷いと思わない?」

 

 既に僕の左目からは包帯が外れ、今は眼帯をつけている。

 もう体調もバッチリ。後遺症等はなく、元気いっぱい───ではあるものの、せっかくあった出来事も利用して僕は抗議する。


「安心しなさい。そんな手荒な真似はしていないわ」


「部屋に入るなり全力のタックルで僕の意思を一撃で消し飛ばすのは十分手荒な真似だと思うんだけど」


 あれが手荒じゃないなら、この世界から戦争が消えてしまうよ。


「貴方はシチューが好きだったわよね?作ってくれるわ。ビーフのよね?良いお肉が手に入ったのよ」


「……まぁ、好きだけど」


「ティーセットも用意しておくわ。貴方は私と違ってお酒よりも紅茶を好んでいるそうだし。良い茶葉をかっぱらったのよ」


「わぁ、野蛮人」


 僕のようにちゃんとあらかじめ自分の手の者を送り込んでおき、何時でも己の欲しいものを用意できるような状態にしておかなきゃ。


「言ってなさい。私はキッチンで料理を作ってくるわ。ここで大人しくしてなさい」


「えぇ~」


 僕を一人置き、エマ第二王女殿下はいなくなってしまう。


「ふぅむ」


 困った。

 普通に味方から闇討ちされて監禁されるとは思っていなかった。

 僕が取り残されたのは一つの小さな部屋。対魔法結界が展開されており、魔法を使っての逃亡は不可。まともに逃亡で使えそうなものはこの部屋にないし、そもそもとして僕の手を縛る手枷は中々に頑丈そうだった。


「……まぁ、抜け出せは出来るんだけど」

 

 僕は貴族の餓鬼の癖して商売に現を抜かし、色々なところを駆けまわっていた男の子だった。

 そんなんだから、何時誘拐されてもおかしくないということで僕は自らの商会の元でこういう時の為の訓練も積んでいた。


「今ではないな」

 

 抜け出すことはできる。

 でも、流石に今抜け出すと周りへの影響がね。

 ただでさえ、ワルミールの占拠で忙しいと右往左往しているというのに、ここで僕がここを抜け出してしまえば、エマ第二王女殿下は周りに僕を探すよう命令を下してしまうだろう。

 そうなっては大変なんていう言葉では済まない。

 別に今、僕の力が要求されることもないだろうからね。

 大人しくしておくのが吉かな。


「……それはそれで暇なんだけど」

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