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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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商店

「流石に人も起きてきたね。もう、夜には見えないや」


「こんな大騒ぎでしたら、そうもなりましょう」


 表ではルノア王国軍がワルミールの街を進み、それを止めようとする僅かなローシャ帝国軍の間で散発的な戦闘が起こっていた。

 銃声に悲鳴。怒号。

 最初の兵舎への一発の影響もあるだろう。明らかにローシャ帝国軍の抵抗は軽微。だが、それでも街中で戦闘が起きていることには違いない。真夜中であっても大騒ぎになっていた。


「で、聞くけど、包囲されている間、この街はどうだった?」


 表の喧騒を背後に、僕は一つの商店へと足を踏み入れていた。

 そんな僕の背後には連れてきていた傭兵団たちの姿があった。

 城門の占拠は別のもっと人員のいる部隊が引き継いだ。僕が選んで集めたあの兵士たちはそれぞれ元いた部隊に帰っていた。


「お時間はどれくらい?短くまとめた方がいいですか?」


「いや、せっかくだしゆっくりしていこうかな……みんなも休もうか」


 小規模とはいえ、戦闘が起こっている最中でも悠長に僕が訪れる商店なんて一つしかない。

 自分の傘下にある商会だ。こうなる日を想定し、ワルミールに建てた商店の店長としてここに派遣した男の言葉に僕は悠長な答えを返す。


「おっ?良いんですかい?まだ表では色々とドンパチやっていますが」


「君たちは准将である僕の護衛さ。大事な仕事だよ」


「へへ、それならお言葉に甘えさせてもらって」


 店内にあった席へと僕や傭兵たちが腰掛けていく。


「こちら、紅茶になります」


 店長が僕の座った席へとティーカップを置き、その対面の席へと座る。


「ありがとう。戦場では中々いい茶葉には出会えないからね」


「何時、ノア様がいらっしゃってもいいよう、茶葉は常に用意させていただきました」


「いい仕事だ……それで?」


「拡大政策を押し進めたローシャ帝国がポルン王国を占領してから百二十年以上経ちます。既にローシャ帝国への帰順を示している者もいます」


「すべてではないだろう?」


「すべてではありません。未だにローシャ帝国へと反発する者たちもいますが……」


「まぁ、ポルン王国を分割したのはルノア王国もか」


「えぇ、ポルン王国民と考えている者たちにとって、此度の件は支配者が変わるだけでしかない。我々の有利に働く要素とはなり得ないでしょう。しかし、王族ともなれば話は別です」


「ちゃんと話は出来たか?」


「はい。ここにいるポルン王国の旧王族の方々にもお会いすることが出来ました。ローシャ帝国へと与えられていた土地に限り、ルノア王国が独立を容認する用意があるとの話には前向きな姿勢をしめしてくれました」


「この地の人間でローシャ帝国側の人間を叩き潰すことは可能か」


「十分に」


「なるほど。それはいいことを聞いた。では、具体的にこの街の状況を……」


 僕が詳しく、ワルミールの状況を聞こうとしたところ。


「失礼します!」


 僕たちのいた商店に一人の兵士が入ってくる。


「……君は。伝令兵だね?何の用かい?」


「ハッ。自分の軍属を覚えてくださり光栄にございます!エマ第二王女殿下からの伝令です。臨時の司令部を設置したため、すぐに来るようとのことです!」


「……うへぇ」


 ここでちょっとばかり嫌な顔をしてしまったのは許して欲しい。

 絶対に怒られるからね。勝手に動いたことに対し……いやぁ、えぇ……もうちょっと時間経ってから会いたいなぁ。


「……わかった。ありがとう。行くよ」


 でも、ここで無視したら普通に怒りへと火を注ぐだけになりそうだしなぁ。あの人、時間経過で怒りが収まるタイプではない。


「すまない。今日はこの辺りで失礼するよ。みんなは休んでいて良いよ。部隊長である君は護衛だ。ついてきて」


 諦めて僕は席を立ちあがる。


「えぇ!?俺ですかい!?」


「当たり前でしょ。ほら、ついてくる」


「それじゃあ」


「……はい」


 商店を後にする僕へと店長は深々と頭を下げる。


「……それにしても、ノア様」


 その去り際、彼がゆっくりと口を開く。


「ん?」


「……お辛い、表情で笑われるようになりましたね」


「ハッ。人を殺して、殺されそうになって……そんな状況で満面の笑みを浮かべられる方が怖くない?」


「……それも、そうですが」


「安心してよ。僕は自分のやることをやり切るから」


 心配そうな彼を勇気づけるよう笑みを向けた後、僕は前を歩く伝令兵に続いて臨時時で置いたという司令部へと向かう。

 距離は案外短かった。


「ここです」


 1つの小さな小屋の前で伝令兵は立ち止まる。


「ありがとう。お前も外で待っていて」


「ハッ」


 伝令兵と連れてきた傭兵の部隊長を外に置き、僕は部屋の中へと入る。


「……あれ?え───ぐえっ!?」


 扉が閉まると共に、僕は衝撃を食らってそのまま意識を一瞬で吹き飛ばした。

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