制圧
「……一人目」
僕が開けた穴は一人の夜間警備兵が立っていたちょうど真後ろの位置だった。
音もなく夜間警備兵の後ろに立った僕はそのまま口元を抑えてすぐさま首の骨を折り、静かに遺体を地面に置く。
「……ハハ」
案外、変わらないものだね。
銃で撃ち殺すのと。
「後もう二人は少し離れたところで固まっている。僕についてきて」
僕に遅れて飛び出してきた後続の兵士たちへと小声で指示を出した後、この城門内を進んでいく。
「……発見」
門を解放する機構の前に立っている二人の夜間警備兵の近くにまで来たところで僕は足を止める。
そこは見晴らしの良い場所にあり、静かに見つからず忍び寄るというのは難しい。
ちょうど、門の上にあることもあって土属性の魔法を使って真下からひょっこり顔を出すのもちょっとばかり厳しい場所だった。
ここはもう勢いで行くしかない。
僕は右手を横に出し、三本の指を立てる。
その指を一つ、また一つと折っていく。
「なにやつ!?」
最後の指を折ったと同時に飛び出していったルノア王国の兵士たちを前に夜間警備兵たちは反応し、声を上げる。
だが、出来たのはそれまでだった。
「あぁ!?」
僕の手にある拳銃から銃声が響くと共に、夜間警備兵が侵入者を知らせるボタンへと伸ばしていた右手が吹き飛ぶ。
「ぐぁっ!?」
「うぉ!?」
その次の瞬間には二人の夜間警備兵が地面に組み伏せられ、そのまま首の骨をへし折られる。
「お疲れ」
これで起きていた夜間警備兵は全滅だ。
僕は構えていた拳銃を降ろし、実際に夜間警備兵との距離を詰めに行った兵士たちへと近づいていく。
「よくやってくれた」
「ありがとうございます」
「これでひとまずの制圧は出来たわけだ。第一の目標はクリアだね」
「これもすべてウィルアード准将閣下のお力によるものです。それにしても、随分と銃声の小さな拳銃ですね?」
「まぁねぇ」
秘密任務を行うよう特別に開発させたサプレッサー付きの拳銃だ。消音機能に全振りしたため、威力は低いが、こういう細かな任務では重宝する。
「とはいえ、……完全に消せたわけじゃない。起きてくる可能性もある。慎重に行くよ」
「「「ハッ」」」
まだ、別の場所で眠っている警備兵が起きてくる気配はないが、この音を起点に眠りが浅くなってそのまま時間の経過とともに目を覚ます───なんてことも考えられる。
油断は出来ないだろう。
「三人はここに残って城門の解放と、後方に陣地を控える自軍に合図を知らせる火を焚いて。そのタイミングは銃声が聞こえてきたらで」
「「「ハッ」」」
「残りは僕と共に寝ている警備兵を殲滅しに行くよ。都合がいいことに全員同じところで寝てくれているからね。簡単に殲滅出来るはずだよ」
「「「ハッ」」」
「行くよ」
僕は兵を二つに分け、また別の場所へと進んでいく。
「……ここだ」
音をたてぬよう気を付けながら、出来るだけ早歩きで進んでいった僕は一つの部屋の扉の前で足を止める。
「まだ、寝ている。一瞬で片付けるよ」
「「「ハッ」」」
僕は拳銃ではなく、短機関銃を構える。
そしてまた、今度は左手で三本の指を立てる。
「ゴーゴーゴー!」
その指が全部折られたと同時に扉の前に立っていた兵士がそれを蹴破り、部屋の中に入っていくと同時にその手にあった短機関銃の火を吹かせる。
突入していくのは一人じゃない。
何人ものルノア王国の兵士たちが続いていき、一気にこの小さな寝室を制圧する。
「ふぅー」
銃声に隠れていた悲鳴がすべて聞こえてこなくなると同時にルノア王国の兵士は息を吐くと同時に短機関銃を下げる。
「撃ち漏らしだ」
そんな彼らの後に部屋の中へと実際に入っていた僕は彼らが撃ち漏らしたたった一人の生き残りへと短機関銃を乱射する。
「ぁぁあああ!?」
最後の悲鳴があがり、完全な沈黙がこの部屋に訪れる。
「なっ!?」
「も、申し訳ございません。ウィルアード准将閣下。まさか、まだいたとは」
「運よく逃れたようだね。油断はしないようにね……さて、と」
僕は短機関銃を下げ、先ほどいた城門の方へと視線を向ける。
「これでワルミールの城門の一つを完全に制圧出来た。長らく続けた包囲を解除し、攻め滅ぼそうじゃないか」
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