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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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口八丁

「ふっ、何だ?」


 激昂し、立ち上がったカーランドをニュースベックは軽く笑って受け流す。


「そもそも女の君は軍事に口出しをすべき人間ではないと!それを貴族の淑女として肝に銘じておくべきだ!」


「あぁ、まさしくだな」


「わかっているのであれば……!」


「軍事は女の性分ではない。本当は黙っていたいところなのだが……生憎と、私以上に成果を出してくれる人間もいなくてな」


「……ッ」


「新大陸でもそうだった。西方とて、そうだったのではないか?一度は崩れかけた西部方面軍を立て直し、再びの反攻にまでもっていったのは私の元にいるウィルアード准将であると聞いている」


 戦争が始まってから、西方で最も大きな成功を収めたのはノアだ。

 だからこそ、それまで何の肩書も持っていなかった成人したての少年にいきなり准将の位が任じられたのだ。この場にいる中将、大将。そして、元帥の大役を担っている男たちではない。


「確実にルノア王国軍が勝つる。そう思えたのであれば、私も軍事から降りられるのだがな」


「侮辱だ!貴殿は今!この場にいる全員を侮辱しているのだぞ!?」


「私はただ、唯一明確な勝利を手にした東方を重要視してほしい、そう言っているだけなのだが」


 カーランドと向き合っていたニュースベックはその視線を国王陛下の方へと向ける。


「東方では旧ポルン王国領の大部分を解放。彼の国の首都であったワルミールを占領すると共に、旧ポルン王国の王家の方々への接触も完了しています。また、百万を超えるローシャ帝国軍を壊滅させました」


「ほうっ!」


 わかりやすい功績と数字を重ねるニュースベックの言葉に国王は食いつく。


「十万を超える捕虜を得ています。外交官の方々にはこの捕虜をうまく使っていただきたく……」


「それだけの捕虜をっ。それは外交官たちも喜ぶだろう」


「はい。これだけの勝利を得られたのはローシャ帝国が未だ近代化に乗り遅れた若輩の国家であるからこそなのです。ローシャ帝国は未だ通信文に暗号を使っておらず、我々は彼らの出す命令をすべて見ることが出来ます。前線には銃を持たない肉壁までいるのです。勝機は東方こそにあり、これより新兵として軍学校から上がってくる部隊を東方へと回してくれれば、もっと大きな勝利を約束できます」


「それは素晴らしい!」


 カーランドが語ろうとしていた西方での展望。

 それを押しつぶしたニュースベックは東方での圧倒的な功績を携え、誰であってもわかりやすい勝利への展望を語って見せる。


「確か、既にある予備役の動員は西方に決まっていたか?」


「はい。その予備役までは必要ありません」


「であれば、新兵の派遣先は東方でも良いかもしれんな。褒美も必須であろう」


「あり難く」


「なっ!?国王陛下!?それはっ!?」


 淡々拍子。

 元帥である己を端に置き、新兵の振り分けが代わる光景を目の前で見せつけられるカーランドは驚愕の声をあげる。


「カーランド」


 国王陛下との会話を邪魔するのは不敬に値する。

 その価値観よりこれまで黙っていたカーランドが口にした驚愕の声───それを、窘めるように国王は口を開く。


「……ハッ」


「私は貴殿を信用している。だが、先ほどの発言はいかん。女だから、そんな理由で下に見てはいかん」


 現国王の娘であるエマはのびのびと軍人として活躍している。

 それが許されているのはひとえに国王の持つ先進的な考えがあってこそ。未だ根強く男尊女卑の価値観が残る中、有用な人間は女性であっても積極的に登用せよ、という命令を下したのが今の国王であった。

 そんな国王の前で、ニュースベックはカーランドから女性蔑視の言葉を引き出したのだ。


「彼女は確かに功績を残したのだ。であれば、その考えにも耳を傾けてあげるべきだ」


「しかし……」


「ニュースベック大将。貴方もだ。先の挑発発言はよろしくない」


「申し訳ございません」


 喧嘩両成敗の態度を見せる国王陛下に対し、カーランドは納得が言っていなさそうな態度を見せ、代わりにニュースベックは迷うことなく謝罪の言葉を口にする。


「私は軍事にそう明るいわけではないが、私の元に集う将軍たる君たちが協力し合っていると信じている。予備役は、西方。新兵は、東方。そう公平に振り分ける。それでいいな?」


 御前会議の中心で重々しく告げる国王のその言葉は確定事項だった。


「……ハッ」


 言いたいことはごまんとある。

 だが、国王陛下が一度決めたことを変えるような人ではないことを知っているカーランドは頭を下げるほかない。


「(まっ、こんなものだな)」


 圧倒的にアウェー。

 そもそも、この場に集う将軍たちの中で東部方面を担当しているのはニュースベックしかいない。この場の半数が西部方面を担当している。

 そんなアウェーの空間で、出来レースとして元から決まっていた兵の振り分けを変えられた。

 十分な大金星だった。


「(これで堂々とウィルアード准将に胸を張れるな!私の大きなおっぱいを!)」


 ニュースベックは十五歳の、思春期な多感な少年を自分の女性らしい圧倒的な体つきで煩殺しようと本気で考える気狂いでもあった。

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